米海兵隊が南軍のアイテムを禁止へ

2020.4.24



 military.comに よれば、米海兵隊の最高位の将軍は海兵隊員へ、彼がすべての施設で南部連合の旗を禁止するため、分断ではなく結束するシンボ ルへ統一するよう号令を発しています。

 司令官のデビッド・バーガー大将(Gen. David Berger)は木曜日に、南部連合のアイテムを公に展示することを禁止する理由を説明する書簡を海兵隊へ出しました。部隊の結束を真正面から脅かすすべてのものに対処す るのは指揮官の責任だと、彼はいいました。

 「私は、あらゆる社会的地位から来て、隣り合って活動することを学ばねばならないメンバーの、稀有な能力をもつ戦闘チーム をつくることに集中させられているだけです」とバーガー大将は書きました。「このシンボルは分断の感覚をかき立てることを示 しています」。

 「私は海兵隊にその分断を持ち得ません」。

 基地に南部連合の旗とその他のアイテムを禁止するバーガー大将の意図は、彼の最優先事項に関する2月の覚え書きに含まれま した。彼は先月、Military.comに海兵隊を分断するあらゆるものに注意する必要があるといいました。

 基地で南部連合な展示物を取り除く決定は、我々がいかによい方向に向かうか、組織としてよい方向に向かうかに集中すること だと、彼はつけ加えました。

 この問題を重視するのは、バーガー大将だけではありません。南部連合の旗、彫像とその他のアイテムが残るべきかは、近年、 国家的な議論をかきたて、州と地方の指導者が旗の掲揚をやめたり、通りの名前を変えたり、政府の建物と敷地から彫像を取り除 くことを促進しました。

 議論は、2017年に自称白人至上主義者が自家用車をバージニア州のシャーロッツヴィル (Charlottesville)で抗議の群集に突っ込み、女性一人を殺した後に増えました。その事件は2015年のサウ スカルフォルニア州の教会での攻撃を行ったガンマンが南部連合のナンバープレートがついた車の前でポーズをとる写真に引き続 きました。

 多くの人は旗を、バーガー大将が書簡で認めた、南部の歴史的伝統の誇りとみなします。

 「私は、文化的記憶を受け継いだ者たちの苦痛と拒絶反応の感覚と、我が国の奴隷制度の惨劇の影響が存在することも心に留め ます」と指揮官は書きました。「私の意図は、誰かがそのシンボルに帰する特定の意味を判断したり、誰かの個人的な見解を不正 確であると宣言したりすることではありません」。

 彼は、そうではなく、すべての社会的地位から来たメンバーが隣り合って活動できる戦闘チームを作ることに焦点を置くだけだ といいました。

 「私は戦闘が我々に求める結束を低下するシンボルやサブカルチャーを特定しなければ成りません」とバーガー大将は書きまし た。

 軍隊は近年、軍隊の中の人種差別主義者と過激主義者の信念に対処することと戦っていて、連邦議員たちに問題に対処し始める ために指揮風土の調査を命じるよう促しています。議員たちもこの問題で公聴会を開き、それと戦うために何がさらに必要かを尋 ねています。

 先月の時点で、他の軍の指揮官たちは基地から南部連合のアイテムを取り去るという彼の決定について要求していないとバー ガー大将はいいました。陸軍は2月に「Task & Purpose」に、南部連合の指揮官を讃える基地と施設の名前を変える計画はないといいました。

 報道によれば、これらの名前は「和解の精神」を理由に選ばれ、いかなる特定の主義なイデオロギーを示すためではない、と当 局はいいました。

 バーガー大将は木曜日、すべての海兵隊員に、他者の目を通じて物事を見て、他者の靴で歩くことを推奨しました。

 「我々は共に訓練し、食べ、眠り、汗をかき、成功し、また失敗します」と彼は、いいました。「自分自身を越えたチームを。 それが我々が戦い、勝つために活動しなければならない方法です」。

 南部連合(Confedelate States of America)は、1861年に始まった南北戦争で、奴隷制度撤廃に反対して、合衆国からの分離独立を求めた南部11州のことです。南軍は南部連合の軍隊でした。この旗 は、いまでは白人至上主義者にとっては一つのシンボルです。

 割と保守的に見える海兵隊ですが、先んじて奴隷制度を想起させる南部連合の旗を禁止する決定を下しました。

 日本でも旭日旗の問題がありますが、自衛隊はこの種の問題に取り組む気はまったくありません。

 米軍では政治的発言は厳しく制限されていて、同じ規則を自衛官に適用したら、逮捕者続出となるのは間違いがありません。

 過去にも、士官学校の生徒が撮影した記念写真でのポーズが政治的意味があると疑われた事件がありました。幸い、政治的意味 はないと判断されましたが、調査にはFBIも参加して、生徒が過激な団体との接点がないかが調査されました。(過去の記事はこ ちら

 また、海兵隊員が所属する部隊のために作成した旗がナチス時代の親衛隊の旗と同一だったときも調査が行われました。(過去 の記事はこちら

 米軍ではこの種の事件は繰り返し起きています。

 米軍は許される政治的活動のガイドラインを示していて、それに反する行動はすべて軍司法による処罰の対象です。

 そうしないと、過激主義の団体と軍隊に接点ができてしまいます。そのため、軍人は合衆国憲法と国際法に従えと米軍は教えま す。合衆国憲法は民兵の存在を推奨しますが、白人至上主義団体などは、当然、それらには含まれません。

 民兵の問題は日本にはありませんが、政治的な中立を守るための工夫は、自衛隊にはほとんどありません。旭日旗を用いること にも抵抗感はなく、旧日本軍の指揮官の追悼式をやったり、ほぼ諸外国への配慮はないといえます。この状態では、自衛隊はいつ まで経っても世界をリードするような武装組織にはなれず、ロシア軍みたいな活動をやるのが関の山です。米軍のように、軍隊に 社会実験の要素を認めない限りは、希望はありません。

 


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