日本人男性が中国でスパイ容疑で逮捕

2015.10.4


 読売新聞によれば、中国で「スパイ活動」の疑いで拘束されている愛知県の50歳代の男性が今年5月、浙江省温州市平陽県沖の南キ列島にある軍事施設周辺で大量の写真を撮影していたことが分かった。

 施設は約300キロ離れた沖縄県・尖閣諸島の周辺海域を所管しているとされ、中国当局が日本人の行動に極度に神経をとがらせている実態が浮かび上がった。

 地元当局者によると、男性は中国人とみられる通訳を連れ、記念撮影のレベルを超えた「大量」の写真を撮影していたことから、拘束されたという。

 同列島はリゾート地で海外客も上陸が可能だが、島の一角には日本の自衛隊、海上保安庁の活動を監視するレーダー施設などがあるとみられ、施設周辺は立ち入りが厳しく制限されている。中国軍幹部は国内メディアに対し、「戦略的意義のある数か所の島嶼(とうしょ)の一つ」として、同列島に軍事基地があることを認めている。


 この記事は内容を精査していませんでしたが、南キ列島と聞いて驚きました。ここは以前に取り上げたことがあります。(過去の記事はこちら 

 尖閣諸島方面をカバーするレーダー基地があり、男性はその写真を撮っていたようです。別の報道だと、この男性は公安調査庁の依頼で動いていたとのことです。

 フリージャーナリストなどが公安調査庁によりスパイにさせられることがあります。彼らは外国に行き、写真を撮る能力があるので、スパイとして使いやすいのです。しかし、高報酬で雇われるという訳ではないと聞いています。

 たとえば、服役中の暴力団組員の妻を使って、彼らをスパイをせざるを得ない立場に追い込みます。彼女たちには、旦那の刑期を短くするという報酬が提示されています。対象者と一緒に酒を飲み、競馬で大金を当てた。持っていると使ってしまうから預かって欲しいと持ちかけます。こうして接点を作り、抜き差しならない立場に追い込むとのです。

 しかし、このスパイ活動は意味があったのでしょうか?。基地の写真なら、インターネットにも多数掲載されています。Yahoo!で「南麂諸島」のキーワードで写真を検索したら、レーダー基地の写真が何枚も出てきます。最近、島の中心部にヘリコプター基地らしきものを建設中ですが、それもGoogle Earthで分かります(過去記事にkmzファイルへのリンクがありますので、ご利用ください)。基地の能力を推測するなら十分な内容と思います。特殊部隊の攻撃用に詳細な情報が欲しかったというのでしょうか?。

 単に公安調査庁が撮影した写真が欲しかったという話なら、逮捕された男性が気の毒です。

 


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