中国が尖閣諸島近くに基地を建設中

2014.12.23


 military.comによれば、中国軍は尖閣諸島の近くの島に大規模な基地施設を建設中です。

 建設は尖閣諸島から北西300kmの浙江省(Zhejiang)の南麂諸島(Nanji)で建設中です。この基地は、昨年11月に東シナ海の一部に宣言した防空識別圏の監視強化と共に、潜在的な軍事危機への中国の即応体制を強化すると期待されます。

 情報源によれば、いくつかの大型レーザー施設が中心となる南麂島(kmzファイルはこちら)の高地で建設中です。いくつかの仮設発着場が舗装され、戦闘艦やパトロール艦に搭載される航空機が使うとみられます。さらに来年あたりから南麂島に隣接する島で発着場が建設される準備ができています。

 52の島の群島と小島は、自衛隊と米軍が拠点を置く沖縄本島から尖閣諸島までよりも約100km近く位置し、新しい基地は尖閣諸島に関する日米安全保障戦略をかき乱しそうです。

 軍拡は民間人約2,500人(群島に住む大半は漁民)の再配置と夏の観光拠点へのツアーの制限を必要とするかも知れません。

 国連教育科学文化機関は、群島の海洋生物の多様性を反映し、1998年に15の島を生物圏保護区に指定しました。


 記事は一部を紹介しました。

 Google Earthの写真は2013年8月に撮影されていますが、軍施設と思えるものは見ることができます。yododo.comには、南麂島の立ち入り禁止区域が赤線で示されています(サイトはこちら)。南麂島西部は最も高いところが200mほどあり、道路を麓で封鎖すると、森で接近を阻める地形です。ここの高地にレーダー施設があります(kmzファイルはこちら)。黒っぽい円形の施設が3つありますが、それがレーダードームです。

 これが建設されたドームなら、2013年8月には少なくとも建設完了していた訳で、そう目新しい情報ではないことになります。

 発着場は設置位置が分かりませんが、ヘリコプター用と思われます。島の南にある小島も立ち入り禁止区域ですが、多分、ここに予備のヘリポートを設けるのでしょう。固定翼機用の滑走路を建設するのは、東部に用地が確保できそうですが、かなりの量の整地を必要とするので難しそうです。また、現在のところ、燃料を搬入するための大型船が停泊する港はなく、建設するのは難しそうですから、固定翼機の滑走路は建設されることはないでしょう。

 現在建設中の基地なら、住民の移設は必要がなさそうです。軍民の区分は簡単にできそうです。

 以上から、この基地は尖閣諸島への攻撃の出発点ではなく、監視能力の強化が目的と考えられます。防空識別圏を確立するためのものであって、尖閣諸島が中国に侵略されると騒ぐのは筋違いです。

 それでも、沖縄本島よりも近いと言いたい人がいるかも知れません。現在進行中の石垣島と与那国島への自衛隊駐屯地の建設であることを思い出しましょう。石垣島と与那国島から尖閣諸島までは150km程度。南麂島からは半分の距離です。どちらの島にも滑走路と大型船が停泊できる港があり、その軍事的潜在力は南麂島とは比べものになりません。与那国島は沿岸監視部隊が予定されていますが、もっと規模を大きくすることは可能です。沖縄本土には陸自第15旅団と米海兵隊がいます。つまり、日本はその気になれば、中国以上に尖閣諸島に実力を行使するよう態勢を変えることができるのです。

 これだけ条件があれば、むしろ、台湾に無用の懸念を抱かせることを心配する必要があるほどです。

 


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