ロシアが釈放した海賊が全員死亡

2010.5.12


 military.comによると、先日、ロシア軍はソマリアの海賊が占拠したタンカーを急襲し、海賊1人を殺害し、10人を拘束しました(記事はこちら)。その後、国際法上の不備を理由に、ロシア軍は逮捕した海賊を釈放したと報じられていました(記事はこちら)。しかし、釈放された海賊は全員が死亡しました。

 ロシア当局者は、釈放された海賊はソマリアへ戻る途中で死亡したと火曜日に主張しました。氏名を明かさない上級国防相当局者は、海賊が死んだ理由について詳細を述べず、海賊が特殊部隊によって処刑されたのではないかというミステリーをより深めました。当局者は、海賊のボートは釈放されてから1時間後にレーダーから消えたと言いました。「彼らは海岸に着かず、全員が死んだようです」と当局者は言いました。ロシア国防相の広報官は広報室と携帯電話に何度電話してもでませんでした。ロシア当局は、特殊部隊がタンカーを急襲した時、11人の海賊の1人が死に、ロシアの駆逐艦に連れてこられた者の数名は負傷していました。当局者は最初、彼らは裁判のためにロシアに連れてこられると言いましたが、金曜日に国際法の欠陥のために釈放されたと言いました。この声明はロシア大統領のコメントによって、懐疑的な見方がなされました。タンカーが海賊に襲われた日、ドミトリー・メドベージェフ大統領(Dmitry Medvedev)は、国際社会が彼らを訴追する法的手法を見つけるまでは、「我々の祖先が海賊に遭った時にしたことをやらなければならない」と言いました。

 記事には最近の海賊事件についても書かれていますが省略します。

 海賊が釈放されたニュースを目にしたとき、ロシアにしては珍しく穏健な対応だと思いました。ロシアは国連に海賊を裁判にかける方法を検討するよう提案していますから、それに合わせた判断かとも思いました(関連記事はこちら)。しかし、今回の記事を読むと、なぜか納得できました。ロシアが海賊をただで帰すはずがないと。特殊部隊がヘリコプターで海賊のボートを追いかけて銃撃したのでしょうか。ボートに時限爆弾を仕掛ける方法もありますが、これは海軍の装備品にはないでしょう。海賊たちにはよい警告になったでしょうが、ロシアには国連の一員として、国際法を守ってもらわなければ困ります。よって、評価できない行動と言うしかありません。


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