ロシア軍が海賊が占拠する船を急襲

2010.5.7


 military.comによれば、ロシア軍の特殊部隊がソマリアの海賊が捕獲したタンカーに突入し、乗員23人を救出しました。海賊は10人が逮捕され、1人が死亡し、数名が負傷しました。

 急襲はリベリア船籍の「Moscow University」が海賊に捕獲されてから24時間後に行われました。乗員は自分たちを隠し部屋に閉じ込めていました。この船は約5,000万ドルの価値がある原油86,000トンを搭載していました。特殊部隊はロシアの対潜駆逐艦シャーポシニコフ元師(Marshal Shaposhnikov)に乗船し、ヘリコプターが調査のために派遣され、海賊の攻撃を受けました。ロシア艦船は海賊に反撃しました。特殊部隊はタンカーにラペリング(ロープによる垂直降下)で乗り込みました。乗員は海賊がエンジン室に入ろうとしていると連絡していました。船は使用不能で、動いていませんでした。乗員がシェルターにした隠し部屋は食糧、水、通信機材が備えられ、内側だけから開けられるドアで補強されていました。襲撃はソマリア海岸東500マイル(800km)で起こりました。

 この記事には、2月にもデンマークの特殊部隊が、乗員が隠し部屋に隠れた船を急襲して、救出に成功していると書かれています。この方法も、海賊を撃退する有効な手段の一つとして確立できたといえそうです。こうした隠し部屋を船に設けておけば、少なくとも輸送船のように、乗員しか乗らない船の防衛力を高められます。以前に、ロシアの武器を積んだファイナ号が海賊に捕獲されたとき、ロシアは特殊部隊を派遣しながらも、実力行使をためらいました。乗員が海賊の人質になっていたからです。こういう場合、どんな手を使っても、乗員を無事に救出することはできないからです。しかし、安全な隠れ場所に避難しているのなら、特殊部隊の独壇場となります。船内をしらみつぶしに掃討していく戦術は、彼らの得意とするところです。つまり、隠し部屋は有効な海賊対策なのです。


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