上院が軍の業者監督を批判

2010.4.24

 military.comによれば、米陸軍シミュレーション・訓練・機材計画実行部(The Army Program Executive Office for Simulation, Training and Instrumentation: PEO STRI)がブラックウォーター社(現在のXe社)との関係を調査されています。

 計画実行部は昨年30億ドルの防衛契約を行いましたが、同社との火器訓練契約に関して調査を受けています。米上院軍事委員会による調査では、この機関はアフガニスタンで同社の訓練業務を監督できていません。上院軍事委員会は、PEO STRIが半年間以上、同社の部門「パラヴァント社(Paravant)」が、2,500万ドルの契約の一部として、アフガン軍を訓練する間、現地での監督を行わなかったことを見出しました。国防総省の広報官は、PEO STRIはアフガンでの火器訓練の監督を強化し、パラヴァント社との契約を放棄したと言いました。軍事委員会は、2008年後半と2009年中頃にパラヴァント社の社員が2件の銃撃事件に関与していることを見出しました。その結果として、アフガンの民間人が殺されたとしています。また、パラヴァント社はアフガン警察に属する火器を許可なく取得し、使用した嫌疑もかけられています。委員会の調査では、PEO STRIは契約後8ヶ月間、銃撃事件が起きてからそうするまで、この会社を監督するためにアフガンに誰も派遣しませんでした。PEO STRIの訓練当局者ジェームズ・ブレーク博士(Dr. James Blake)は、2月に委員会で証言し、同部はアフガンの米軍当局およびレイセオン社(Raytheon Technical Services Co.)とのテレビ会議と電子メールを通してパラヴァント社を監視していたと証言しました。レイセオン社は下請けのパラヴァント社を直接監督する主要な契約者です。ブレーク博士は2009年3月まで、パラヴァント社を監督する者を選ばず、銃撃事件が起きた後、5月中頃まで将校を派遣しなかったと認めました。ブレーク博士は、同部が5月の銃撃事件の調査を行い、パラヴァント社との契約を終わらせるためにレイセオン社に働きかけたと言いました。上院委員会は、陸軍の契約監督における他の不注意を取り上げました。PEO STRIは最初から、パラヴァント社が実質的にブラックウォーター社の一部だという手がかりを持っていませんでした。また、同部は一部のパラヴァント社の教官が犯罪歴を持ち、軍隊で非行歴を持つことも知りませんでした。国防総省の陸軍広報官ジミー・E・カミングズJr.中佐(Lt. Col. Jimmie E. Cummings Jr.)は、上院の調査がパラヴァント社という社名はブラックウォーター社の社名を避けるために作られたことを示すことを認めました。パラヴァント社を調査する際、PEO STRIは契約から除外されるか停止されている国防総省の契約業者のデータベースをチェックしましたが、ブラックウォーター社もパラヴァント社もリストに見かけなかったと言いました。現在まで、国防総省はPEO STRIのパラヴァント社事件の取り扱いで明らかな誤りを見出していません。レイセオン社に処罰は行っていませんが、契約履行評価に記録され、将来の入札に影響するかも知れないと、国防総省は述べています。上院委員会の調査は続いています。非営利の予算監視グループ「ナショナル・プライオリティ・プロジェクト(the National Priorities Project)」のアナリスト、クリストファー・ヘルマン(Christopher Hellman)は、同部はアフガンとイラクで民間業者と問題を抱えている唯一の軍事部門ではないと言います。「これらの戦争における民間業者による支援のレベルは前例がありません。軍隊よりも多い民間業者がいます」「これほど多くの軍の機能を下請けに出せば、十分な監視ができず、トラブルに陥ります。単純なことです」。上院委員会のカール・レヴィン議長(Sen. Carl Levin)によれば、アフガンだけで100,000人以上の請負業者がいます。「我々が問題を解決せず、ブラックウォーター社のような契約業者をルールに従って行動させなければ、我々はすでに危険な仕事をさらに危険にすることで、我が軍に危害を加えるでしょう」と彼は言います。

 上院が批判する問題の一端は2月にここで紹介したことと同じです(関連記事はこちら)。まったく不適格な者たちがアフガン軍や警察を指導し、問題を引き起こしているという、信じられないような実態です。昨年9月には、別の会社が裸でパーティに興じていたなどの問題が発覚しました(関連記事はこちら)。あまりにも問題が出てくるので、議会も放置しておけなくなったわけです。PEO STRIは、訓練用の機材を開発するのを任務の1つにしており、何かと物品を発注するので、民間業者が突き刺さっているものです。それも、社名を変えれば不良業者のデータベースから消えることができるといった裏技に翻弄されているのでは、存在意味すら疑われます。しかも、陸軍はPEO STRIに問題はなかったと判断しているのです。記事に書かれているように、異常な数の契約業者がアフガンにいることが原因の1つです。軍人たちが再就職先を確保するために、業務の外注に精を出した結果、こうした状況が生まれました。当サイトは主に米軍の活動に目を向けていますが、本当のアフガン戦の全体像は、こういう契約業者の活動も含めて考えないと見えてこないのです。

 米軍は民間業者に一部の業務を請け負わせることに積極的で、そうした論文も書かれています。私は以前から、それが本当に業務の合理化や経費の節約につながるのか疑問に感じてきました。イラクとアフガンで、あまりにも多くの問題が起こったので、そろそろ軍人の間にも批判的意見が増えてきていることと想像しています。今回のように、議会から追求を受けることが増えると、その傾向は加速されるでしょう。いずれ、軍自身が民間業者を制限するよう方針を変更することになると考えています。


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