BW社がアフガン警察の武器を横領

2010.2.25


 military.comが再び、民間軍事会社ブラックウォーター社(現在はXe社)が起こした問題を報じました。今度はアフガニスタン国家警察の訓練用武器、弾薬を横領したのです。

 問題は米上院軍事委員会の調査で明らかになりました。問題になった事件は2件あります。パラヴァント社(Paravant)
は、ブラックウォーター社が完全に資金を提供する業務を行う請負業者で、レイセオン・テクニカル・サービス社(Raytheon Technical Services Company)との契約の下でアフガンで活動していました。

 ブラックウォーター社の訓練教官が、アフガン国家警察が使うことを目的とした武器と弾薬は、カブール近郊のポル・エ・チャルキ(Pol-e Charki)にある「22番壕(Bunker 22)」に保管されていました。米軍は請負業者やその下請けが、22番壕の武器や弾薬を使うことを、いかなる形でも許していません。レイセオン社は軍の契約担当将校に事件を報告しましたが、陸軍が調査した証拠はありません。委員会の調査では、ブラックウォーター社は500丁以上のAK-47を含む数百の武器を手に入れました。カール・レビン委員長(Sen. Carl Levin)は、ブラックウォーター社は、取り出したすべての武器を見つけて22番壕に戻したと委員会に述べましたが、レビン委員長は「事実ではありません。すべては返却されていません。数百が返却されていません」と主張しています。こうして持ち出された武器・弾薬は以下の事件で使われました。

 2008年12月、訓練チームは動く車の後部から発砲する「突飛なアイデア」による訓練を実行し、AK-47の銃弾を彼らの1人の頭部に命中させました。負傷者はドイツへ運ばれて治療されましたが、身体の一部が麻痺しました。

 2009年5月9日に起きたアフガンの民間人2人を死亡させた発砲事件に関して、2人のパラヴァント社員、ジャスティン・キャノン(Justin Cannon)とクリストファー・ドロットレフ(Christopher Drotleff)が司法省によって起訴されました。

 2001年12月に対処が行われれば、2009年5月の悲劇は避けられたとレビン委員長は述べました。

 破廉恥も極まれり、という感じです。過去に、イラクでもイラク軍の武器庫から装備品が大量になくなる事件がありましたが、それらにも民間軍事会社が関わっていたのかも知れません。この記事も、アフガン人の死亡事件については、その内容をまったく書いておらず、不十分だと感じました。イラクではブラックウォーター社はライセンスを失って撤退しましたが、アフガンでは訓練などの業務に就いており、未だに活動しています。しかも、ドロットレフは大した軍歴を持たず、犯罪歴まであり、キャノンはコカインの陽性反応があるのでは、到底、適切な人材が任務についているとは言えません。そもそも、なぜ訓練を民間に任せるのかが疑問です。請負業者はさらに下請けに任せ、彼らの行動はまったく監督されていません。これでアフガン復興が成功するのかという問題を考えざるを得ません。

 このように戦争のような国家的事業には特需が生まれ、そこに妙な連中が群がるものだということを、我々は知っておく必要があります。専門家に任せて、結果を待つのは最悪の選択です。ここに、民間人が軍事問題を監視する必要性があるわけです。

 お知らせです。明日と明後日は更新を行いません。よって、次の更新は3月1日です。

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