監視団体によるF-35計画報告(5)

2019.4.8


最も深刻な脅威に対する試験ができないF-35


 開発から作戦試験への移行はあらゆる兵器計画における画期的出来事です。F-35にとって、それはほぼ十年遅れでした。現在、追加の時を得てすら、計画は大きくて命の脅威がある可能性がある設計の欠陥を解決するために、航空機の戦闘の有効性や戦線で勤務する兵士の手腕との適合性を適正に評価するためのツールがなく、明確なプランを持たずにプロセスをスタートさせています。計画部はこの試験段階を適切な評価を可能にすることなく完了するよう計画されているところのようです。

 作戦試験段階をはじめるに先立ち、同部はプログラムの死亡や重傷を起こしかねず、航空機へ大きな損傷につながりかねず、戦闘の有効性を深刻に妨げかねない「カテゴリーⅠ」として一覧表に載った102カ所と共に、開発段階の間の 941カ所の設計の欠陥に適切な対処もしませんでした。POGOが報じたとおり、適切な改善行動をとるよりも、計画部は2018年の夏の間に、緊急トランスポンダーに関係する一つとF-35Aの緊急テールフックに関係するもう一つのもののような、いくつかの設計の欠陥をより深刻でない「カテゴリーⅡ」の欠陥に見えるようにするため書類仕事の調整をしました。

 これらの102カ所の欠陥のそれぞれは航空機を飛行禁止にしたり、任務を中止させかねません。これらの設計の欠陥は計画の貧弱な利用可能率の一因ともなりそうです。DOT&Eによれば、作戦試験過程へ影響し、これは作戦試験のための装備を備えた23機の航空機に80パーセントの利用可能率を必要とします。飛行隊は月間率で80パーセントをかなり下回って平均しているところで(率は報告の中で明記されていません)、それは(作戦試験の)効率のよい実行と時期を得た完了に課題を残すでしょう。

 作戦試験計画は、複数機の敵と友軍の編隊と、あらゆる戦争でほとんど同等の敵対者に対して不可避な密度の高い脅威の環境を再現する能力がある複合的なシミュレーション施設の活用次第でもあります。これは利用可能な試機と合衆国西部の戸外の試験場が6機以上のF-35の飛行隊が直面するかもしれない現代の脅威を再現できないために必要不可欠です。

 しかし、厄介なことにDOT&Eはシミュレーション施設は現在の作戦試験のスケジュールがちょうど終わる2019年末まですべての機能が使えない予定だと報告します。「(シミュレーターなしでは)、DOT&Eは戸外の試験で利用できない密度の高い現代の脅威に対抗するF-35を適切に評価することはできず、作戦上の危険となるでしょう」と報告は述べます。

 統合シミュレーション環境と呼ばれ、メリーランド州のパクタセントリバー海軍航空基地に位置する施設は誤って管理され失敗したロッキード・VSim・シミュレーター開発計画の後を引き継ぎました。プログラマーは現在、パイロットのために仮想の複数の敵ミサイルと防空網に対する複数機の任務を飛ぶための正確で、実証され、有効なF-35のコックピットのシミュレーターと地上・航空の脅威のシミュレーターを開発しようとしているところですが、報告によると、これは深刻な問題に陥っています。

 シミュレーション施設は、そのコンピュータプログラムがF-35のデモ飛行、センサーと兵器の性能の正確なデータに基づく場合にだけ信頼できて有益な試験結果を作れます。そして報告によると、それらは明らかではありません。必要不可欠なデータは飛行試験の間に収集され、シミュレーションプログラムに統合されます。それはそれから検証と確認過程を完了するとされます。しかし、DOT&Eはシミュレーター開発が重大な検証と確認の手順が完了されることなく始まったことに気がつきました。その上に、自宅のコンピュータでフライトシミュレーターを使う人は誰もがよく知る基本的で本質的な地形モデリングは、まだ完了していません。最も悲惨なことに、コックピットと視覚装置を含む、このすべてが稼動する物理的な施設は、建物自体までが、作戦試験の開始までに完成すらしませんでした。

 それでもF-35計画部は現在の作戦試験のスケジュールを維持しようとします。シミュレーターはスケジュールの最後まで完成しそうにないため、 F-35の戦闘適合性を評価する結果の報告はF-35が密度の高い、複数の脅威の環境に対して生き残れるかや、現実世界の4機や8機の編隊で効果的に機能するかを判断するための根拠のある理由はなさそうです。(続く)

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