監視団体によるF-35計画報告(1)

2019.3.24


 先日の記事に引用された「The Project On Government Oversight: POGO」のF-35の問題についての記事「F-35 Far from Ready to Face Current or Future Threats, Testing Data Shows」を紹介します。A4版に印刷すると23ページの記事ですが、今回は最初の4ページ半です。

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編集者注記 この記事は印刷開始時刻のあとに来たロッキード・マーティン社からのコメントで更新されました。

 

 「the Project On Government Oversight: POGO」の国防情報センターが得た書面によれば、最近、戦闘準備が宣言されたF-35統合打撃戦闘機の海軍版は、事実上、戦闘のための完全な準備がほとんどないことを意味する、受け入れがたいほど低い「完全任務能力」レートを獲得しました。

国防総省の作戦試験部は2018年の時点で、F-35の計画は依然として、ここ数年間で見つかったサイバー脆弱性を修正できていないと報告。

 海軍が戦闘の準備がなく、そのために戦闘に参加するためにそれに依存する兵士はもちろん、任務が危険にさらされる証拠にも関わらず航空機を推し進めている事実は、国防総省の2018年度年次作戦試験報告と同じときにやって来て、歴史上最も高価な兵器システムであるF-35計画全体が現在や未来の脅威に直面する準備ができていないことを示します。

国防総省の作戦試験部は2018年の時点でF-35計画は未だに過去数年間で見つかったサイバー脆弱性を修正できていないと報告します。

 安っぽい多用途戦闘として約束された一機につき3千8百万ドルで2001年に売られ、問題の多いF-35は現在、複製品一機に平均一億5840万ドルで、利用可能性、信頼性、サイバー脆弱性のテストと生存テストを含む重大な部分で劇的な悪性能を続けます。

 ほぼすべての不可欠の分野でのF-35の進展の欠如を明らかにする2018年の作戦試験・評価部(DOT&E)からの報告と同じ程度に、それは過去の報告よりも著しく不透明です。報告はここ数年で強調された致命的な欠陥の更新を提供せず、初期の報告よりも遥かに少ない計画の危機の調査結果を報告し、F-35の最も緊急の問題に対する量的な成果をほとんど含みません。報告は海軍の展望だけで、戦闘部隊が戦闘に加わるための準備ができているかどうかについての最も重要な手法である、計画の完全任務能力レートへのいかなる言及も含みません。

 国防総省からの楽観的なプレスリリースの進行中の流れにも関わらす、作戦試験・評価部(DOT&E)が提供した情報は、F-35が依然としてこれらの重要な分野で問題があることを示します。

  • 主要な利用可能性、信頼性、過去数年間にわたる飛行時間が僅かか改善がないことは、現在または近い未来に、ごく僅かなF-35しか必要とされる時に戦闘の準備ができていないことを意味します。
  • 耐久力試験の間、海兵隊と海軍のF-35はかなり多くの亀裂ができて、試験機が8,000時間の平均寿命試験を完了できず、かなり多くの修理と調整を受けました。海兵隊版の機体の寿命は、今日のF-35Bが早ければ計画が予定した2070年末期よりも44年早い2026年にガラクタ置き場で終わりかねないほど短命かもしれません。
  • 何年もの修繕と更新にも関わらず、整備とパーツを発注ネットワークの自動兵站情報システム(ALIS)、戦闘機と情報源の間の標的と脅威情報を表示、統合および交換するデータリンクを含む、F-35の最も戦闘で不可欠なコンピュータシステムは故障し続けます。
  • 計画は任務達成とサバイバルを制御するオンボードの任務データ・ファイルを製造、試験、認証するために必要な資源を提供していません。
  • 過去数年間の時点で、サイバーセキュリティ試験は、多くの過去に確認されたF-35の脆弱性が修正されておらず、敵のハッカーが潜在的にALISネットワークをシャットダウンし、ネットワークと搭載コンピュータから秘密のデータを盗め、おそらくはF-35が飛行したり、任務を達成するのを妨げられることを示します。
  • 航空機が戦闘に適し、フルスケールでの生産の準備ができているかどうかを評価する、極めて重要で著しく遅れたF-35の初期作戦試験・評価報告は遅れるかもしれませんが(おそらく2020年にはいる)、計画されたよりはずっと戦闘の現実性の薄い試験に基づくかもしれません。これは試験の要員が不完全に開発され、欠陥だらけの航空機で間に合わせるのを強いられ、F-35計画は何年も適切な試験用ハードウェアと現実的な複数の航空機、複数の脅威のシミュレーション施設に資金を提供していないこと両方のためです。

 しかし、報告は整備性、利用可能性、飛行時間、武器試験結果、ALISに起因する整備問題、センサーとディスプレイとのパイロットの障害、試験資源の不足と現実性に関する本当に僅かな信頼できるデータを示します。過去数年の報告に含まれた計画の完全任務能力の情報を省くことで、DOT&Eはこれらの航空機が計画した任務すべてを実行する準備ができている時間のパーセンテージを大衆が知ることを阻止します。なぜこれが報告から欠けているのか不明ですが、それは性能が実際に悪化したのではないか、国防総省が事実を隠そうとしているのではないかという疑問を生みます。

 DOT&Eは報告のいかなる面についてもコメントを拒否しました。

 2018年夏のF-35とA-10との近接航空支援の性能比較飛行試験を含む、いくつかの重要な試験活動の結果にも言及しません。試験はPOGOが報告したとおり、それは非現実的な状態の中で行われ、F-35に有利に仕組まれたようです。

 報告によれば、DOT&Eは最新の試験の詳細と結果を、それらを最後の初期作戦試験・評価報告に含めることを約束することで伏せています。その報告は最短でも来年の初めまで公表されそうにありません。

 一方、F-35 統合計画部(JPO)は現在のスケジュールに固執しています。それは、数百の致命的で未解決の設計上の欠陥にも関わらず、今年末までに飛行隊全体のためにフルレートの生産をはじめる計画を持ちます。

 DOT&Eの報告について統合計画部は「言及されたすべての問題はJPO、米軍と国際的なパートナーと同盟国および工業会のチームに十分知られていて、積極的に対処されています。F-35の事業は2018年中にあまたの重大な画期的出来事を成し遂げ、それは初期作戦試験・評価を完了することで計画のための確固とした基礎を築き、2019年後期に予定されたフルレート生産へ移りました」と言いました。

 米軍はDOT&E報告に関するPOGOのコメントの要請に答えませんでした。

 POGOは報告の深い分析を行いました。結論はPOGOの報告とともに、F-35計画は今までより一層深刻な問題を抱え、着実に増える金を払っている国防総省、議会そして納税者へ重大な懸念となるであろうことを示します。
(続く)


「監視団体によるF-35計画報告(2)」はこちら
「監視団体によるF-35計画報告(3)」はこちら
「監視団体によるF-35計画報告(4)」はこちら
「監視団体によるF-35計画報告(5)」はこちら
「監視団体によるF-35計画報告(6)」はこちら

 

 


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