米士官候補生の白人至上主義疑惑が晴れる

2019.12.28


 military.comに よれば、米海軍兵学校とウエスト・ポイント米陸軍士官学校によって素早く結論が出された調査は、士官候補生と海軍兵学校生徒 数人によってカメラ撮影された、議論を呼んだジェスチャーは「白人至上主義」のシンボルではなかったと結論しました。

 金曜日の声明で海軍兵学校は、12月14日に陸軍対海軍の試合で2人の兵学校生徒がやったハンド・ジェスチャーの調査を完 了したといいました。

 「ビデオ映像の評価、2ダースを超える尋問を含んだ調査、海軍犯罪捜査部と連邦捜査局による背景の確認を含んだ調査は、生 中継の間に兵学校生徒4年生2人が「サークル・ゲーム」として一般に知られる士官学校とのゲームに参加していたことを特定し ました」とアカデミーは声明でいいました。「調査は差別主義の意図の証拠をみつけませんでした」。

 アカデミー当局は、意図の中に差別主義はないものの、撮影されたジェスチャーは適切に対処されるであろう未熟な行為を示し た、とつけ加えました。

 問題のハンド・ジェスチャーは、親指と4本の指で円を作るものです。

 事件はインターネット上ですぐに議論をかもしましたが、一部の候補生の弁護側は、サークル・ゲームは軍隊でよく知られてい るといいました。

 「海軍兵学校は、米海軍と海兵隊において、若い男女を能力、性格、思いやりのプロの将校にする準備をするために全力を尽く しています。この事件では、我々は行われるべきより多くの作業があると認識します」と、海軍兵学校の最高責任者、ショーン・ バック海軍兵学校中将(Vice Adm. Sean Buck)は声明でいいました。

 海軍作戦部長も調査に加わり、いかに恥ずかしい騒動が持ち上がっているか、いかに軍当局が品位の評価を守ることについて懸 念しているかを強調しました。

 「海軍として、我々は隊員に常に品位と人格をもって行動するように期待します。それがこの事件に引き続いて即時の調査を完 了した理由です」と、ミカ・ギルデイ提督(Adm. Michae Gilday)は声明でいいました。「誤解のないようにいうと、海軍はいかなる形でもレイシズムを容認しません。調査はこれらの行動の背後に差別の意図はなかったと判断し ましたが、我々の行為は常にプロフェッショナルでなければならず、他者に名誉、勇気、責任という基本的価値観に疑念を抱かせ てはなりません。我々は主唱者でなければなりません。我々は非難を超えなければなりません。それが戦闘部隊として我々を際立 たせているのです」。

 ウエスト・ポイント当局は同時に、彼らの調査に関して似た声明を出しましたが、何人の候補生がジェスチャーをしてカメラに 捉えられたかや、所属する学級が何年かは明らかにしませんでした。
 
 「調査官は候補生たちは、今日サークル・ゲームとして十代の間で知られた一般的なゲームに興じていて、その意図はイデオロ ギーや陸軍の価値観と対立する運動と関連しないと結論しました」と、彼らは声明の中でいいました。

 声明によれば、ゲームは観客席の中で、主催者のエプソンが観衆に加わる前に行われていました。

 「調査結果に基づき、これらの候補生たちは適切な管理・規律対策を受けるでしょう」と声明はいいました。

 ウエスト・ポイントの責任者、ダリル・ウィリアムス中将(Lt. Gen. Darryl Williams)は声明の中で、候補生にとって、名誉ある生活と指導は常にプロフェッショナルに振る舞うことを意味するといいました。

 「先の土曜日、我々はこれらの行動が罪のないゲームであり、過激思想とつながりがないと信じる理由を得ました」と彼はいい ました。「しかし、我々はこうした申し立てを非常に深刻に受け止めなければなりません。我々は候補生の大人げないふるまいに 失望しました」。

 陸軍のトップの将官、ジェームズ・マコンビル大将(Gen. James McConville)も調査結果を承認しました。

 「レイシストの声明、ジェスチャーとシンボルは我が陸軍には居場所がありません。調査は候補生によるレイシストの意図はな かったと結論しました」と彼はいいました。「アメリカ国民は正しいことを正しい方法で行と、我々の兵士を信頼します。我々は その信頼を疑問視する行動に留意し、我が国がアメリカの兵士が守ることを期待する高い倫理的および職業的基準を満たすように しなければなりません」。


 少し前の記事なのですが、米軍は学生の段階から差別主義を排除するために何をしているかを知るために紹介します。

 この事件の調査が単に学校による聞き取りだけでなく、軍の犯罪捜査部やFBIまでが参加して、徹底的な身辺調査が行われた ことに注目してください。実際、士官学校では不祥事も多いのですが、それに対する対処もまたハイレベルです。日本の防衛大学 ではパワハラが横行しているのに、大して対策はとられていません。

 過去にも似たような事件が起きています。ウエスト・ポイントの女性士官候補生が記念撮影で示したジェスチャーが、ブラッ ク・ライブ・マター運動のものと疑われた事件がありました。(関連記事はこ ちら

 ここに自衛隊と米軍の質の差が表れています。

 基本的価値観(core value)に厳格な米軍と、価値観らしい価値観を持たない自衛隊は、似ても似つかぬ組織なのです。

 


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