聖書展示の続行に高まる批判

2018.4.28


 military.comによれば、先週のサンディエゴ市に拠点を置く海軍の提督がなした、沖縄の行方不明者の展示の中でキリスト教の聖書を用いたことの調査を拒否した決定は、世界中のその他の軍部隊少なくとも31ヶ所を舞い込んだ論争を取り除くものではなさそうです。

 問題になっているのは、戦時捕虜、戦闘行方不明者を称えるために聖書を用いた海軍、海兵隊、陸軍による展示が、信仰としてキリスト教を公に推薦しているかどうかです。批判者は、それは宗教差別を禁じた合衆国憲法と国防総省の規則に抵触するといいます。

 「軍隊の信仰の自由財団(the Military Religious Freedom Foundation)は現在、海軍の最大の海外病院である沖縄の米海軍病院内の展示は1ダース以上の別の宗教から同様の神聖な文章を含めて拡大し、 無神論者と不安定者が支持する本を加えるよう求めています。

 「聖書がなにかの宗教のためにそこにあるのではないと主張するのは、明らかに馬鹿げています」と、元空軍将校で財団の創始者であるマイケル・“ミルキー”・ウェインシュタイン(Michael "Mikey" Weinstein)は言いました。「海軍が我々に合意するか、テーブルが重たすぎて崩れ落ちるか、それが嫌なら、テーブルは礼拝堂かどこか別の場所へ移されるかです」。

 議論はウェインシュタインの非営利団体が4月初旬に、沖縄の隊員、国防総省民間職員とその家族が提出した不満から始まります。

 最初、サンディエゴに拠点を置く太平洋地域の海軍病院すべてを監督する部署である海軍西部医療部(Navy Medicine West)当局は、財団に不満を調査すると言いました。しかし、先週、指揮官のポール・D・ピージェン少将(Rear Adm. Paul D. Pearigen)は方針を変え、書簡で財団に「この問題のさらなる評価や調査は不必要です」と述べました。

 木曜日、ピージェン少将の幕僚は、彼らは他の宗教の文章をテーブルへ追加するという財団の水曜日の要請を評価していましたが、軍規で妨げられることを心配していると言いました。17年ほど前に書かれた海軍の手続き教本は「行方不明者」のテーブルの上に聖書を命じていて、代替や追加の本に言及しませんでした。

 「テーブルの上の9つの象徴的な意味の1つとして、本の意味と追加の説明は宗教を推進しませんが、最も困難な時の捕虜と行方不明者に必要な力と決意を追悼するためです。テーブル上のそれぞれの物品は宗教の教書としての本を強調することなく、追悼と厳粛さの雰囲気に寄与します」と海軍西部医療部の報道官、レゲナ・E・コーウィッツ(Regena E. Kowitz)は電子メールで「The San Diego Union-Tribune」へ説明しました。

 ウェインシュタインは「大事なのは、陸軍や海軍や復員軍人援護局のマニュアルの中に何があろうと、憲法が切り札になるということです」といって反対しました。

 最近、空軍、米国在郷軍人会、復員軍人援護局、その他の部局と組織は、彼らの展示からキリスト教の本を示すのを止めました。部分的には、それは国防総省がすべての兵士の宗教的多様性を尊敬する必要があるためです。

 本当に尊重するために、彼は沖縄の「行方不明者」の展示が、ローマカトリック教、プロテスタント教、悪魔崇拝、イスラム教、ユダヤ教、神道、仏教、ヒンズー教、モルモン教その他に神聖な本を含み、無宗教指向の人間中心主義者、世俗主義者の著作物を加えるのを望みます。

 ピージェン少将は答えませんでしたが、それは過去に財団に功を奏した戦術です。

 2016年初期、復員軍人援護局はオハイオ州、ヤングズタウン(Youngstown)で、患者がトーラー(ユダヤ教の聖書)と無神論者の宣言「神は妄想である(生物学者リチャード・ドーキンスの著書)」を対等に扱うよう求めた後で、同様の展示から聖書を取り除きました。

 ウェインシュタインは沖縄のニュースから議論が起きたと言い、彼の財団は展示の中の聖書で迷惑しているという世界中の31ヶ所の部隊の兵士から不満を受け取っていると言いました。それらは彼は名前が付されない海軍の潜水艦上の展示と、クウェートのアリフジャン陸軍基地(Arifjan)のものを含みます。

 宗教的な論争を抜きにしても、国防総省の規則は前から私的組織への指揮官の承認をほのめかすことを禁じていて、それがウェインシュタインがアリフジャン基地の展示を指した理由です。

 クウェートの基地の聖書は、無料の聖書とキリスト教音楽を世界中の兵士へ配布するプレイサー郡の非営利グループ「Operation Worship」のロゴで飾られています。ウェインシュタインは、これは兵士に指揮官が他のグループよりも「Operation Worship」を支持していると告げると言います。

 「軍隊はフォードやゼネラルモーターズを宣伝できないのですから、「Operation Worship」を他のキリスト教グループよりも、ましてユダヤ教、イスラム教その他よりも宣伝はできません」とウェインシュタインは言いました。

 「the Union-Tribune紙」への電子メールで「Operation Worship」の共同創立者、ジェフ・ヒリアード(Jeff Hilliard)は、彼は彼の組織の聖慮についていかなる不満も承知していなかったと言いました。

 「我々は無料の軍用の聖書を何年間も苦情を受けずに従軍聖職者に提供してきました」と彼は言いました。「海外への配布に関しては、我々はたまにいくらかを配布しますが。それらが行き着いた場所は承知しません。我々は我々の聖書に軍の支持を求めたり受けたりはしていません」。

 ウェインシュタインは、彼は「組織を批判していない。我々はそれをそこに置いた指揮部を批判しています」と言いました。

 彼は、軍が多くの米軍基地が配置される海外の民間人の宗教的な感受性を、あまりにも頻繁に真剣に受け取らないともいいます。

 ウェインシュタインによれば、米兵を配偶者とするいくらかの神道と仏教の信者は、英語と日本語で、聖書は「神の下に一つの国を創設し、我が国から失った人たちを支えるために、信仰を通じて得た力を表しています」というプラカードを「行方不明者」の展示に置くことに反対しました。

 アリフジャン基地の展示に関しては、ウェインシュタインは大半がイスラム教徒の中等の国々で市民を侮辱しかねないことを心配します。

 「クウェート人が我々はそこにコーランを置くべきだと考えたらどうします?」と彼は尋ねました。

 国防総省は木曜日に公式のコメントを求めるメッセージに返信しませんでした。


 この事件は先に紹介していました。(過去の記事はこちら

 結局、海軍は批判をまともに受け取らず、黙殺の構えのようです。理由は有効なマニュアルにそうしろと書かれているからです。

 米軍は宗教的な自由を保証する一方で、圧倒的に多いキリスト教が他の宗教に優先されてしまう状況を作っています。

 これはアメリカ社会全体にもあり、大統領の就任宣誓では、最後に「神よ照覧あれ」で締めくくるのが慣例です。

 キリスト教が優先されるために様々な問題が起きていることを、当サイトは繰り返し紹介してきました。

 米軍を考える上で、こうした面に目を向けることも重要と思っています。

 

 


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