まともな防衛態勢がとれない自衛隊は「腹を切れ!」

2016.1.30

 毎日新聞によれば、北朝鮮が長距離弾道ミサイルを発射する兆候があるとして、政府は28日夜、自衛隊に対し、ミサイルを迎撃するための破壊措置命令を出しました。

 政府関係者が明らかにしました。命令を受け、自衛隊は警戒態勢を整えています。政府は破壊措置命令の公表はしない方針。

 自衛隊は弾道ミサイルに対し、洋上の海上自衛隊のイージス艦から発射される迎撃ミサイルと、航空自衛隊の地上配備型のパトリオット(PAC3)で迎撃態勢を取ります。今回は29日午前時点でPAC3の展開指示は出ていないとみられます。

 中谷元(げん)防衛相は29日の閣議後会見で「北朝鮮が事前の予告なく、弾道ミサイル発射を含む何らかの挑発行動に出る可能性は否定できない状況にあると分析しています。情報の収集分析に努め、米軍や関係機関と緊密に連携を取って万全の体制で臨みたい」と述べました。

 また、破壊措置命令を公表しないことについては「手の内を明らかにすることによって、支障がでてくる場合がある。我が国の手の内を明らかにすることなく、いかなる事態にも対応できるよう対応を取っている。一つ一つ明らかにするのは事柄の性質上控えている」と説明しました。

 時事通信によれば、北朝鮮でミサイル発射に向けた兆候がある中、航空自衛隊の地対空誘導弾パトリオット(PAC3)の部隊が29日夜、東京・市谷の防衛省に展開し、首都に弾道ミサイル迎撃態勢を敷きました。

 海自は27日夜に横須賀基地(神奈川県横須賀市)からイージス艦「きりしま」を出港させており、2段構えの防空態勢を整えています。

 防衛省には29日午後8時すぎ、第1高射隊(千葉・習志野分屯基地)のPAC3部隊の大型トレーラーが次々と敷地内に入りました。グラウンドに迎撃ミサイル発射装置を2基展開しました。

 同省は、北朝鮮の長距離弾道ミサイルの発射に対し、海上配備型迎撃ミサイルSM3を搭載したイージス艦数隻を洋上で待機させ、PAC3を予想される飛行経路沿いなどに配備しました。 


 記事は一部を紹介しました。

 28日付けの記事で、2012年4月に自衛隊がテポドン2号の探知に失敗した件に触れました。今度は迎撃態勢で失敗はしないだろうと、まだしも残っている信頼を自衛隊に寄せました。しかし、その期待は完全に打ち砕かれました。

 2012年4月18日に、私は「テポドン探知失敗:海自は恥を知るべき」という記事を書きました(過去の記事はこちら)。しかし、また性懲りもなく、意味のない迎撃態勢を敷いた自衛隊はもはや「腹を切るべき」です。「お前らなんか、サーラックの巣穴に落ちてしまえ!」と言いたい。(註 サーラックは映画『スターウォーズ 帝国の逆襲』に登場する生物。こいつに食べられると苦痛が千年続く)

 何が何だかさっぱり分かりません。

 政府は破壊措置命令を出したと言いながら、破壊措置命令の公表はしない方針とのこと。発表しておいて、公表しないとは、どういうこと?。

 具体的な迎撃態勢は発表しないということでしょうか?。それならすでに発表しています。しばらく考えて分かったのは、今回は以前にやったような全国瞬時警報システム(J-ALERT)での告知はしないことだろうということです。2012年12月に、このシステムでテポドン2号の打ち上げを沖縄県と県内全41市町村に提供したものの、2市村で伝達できないというトラブルが起こりました。同年9月に行った事前試験では約280の市区町村で音声が流れないなどの不具合が起こりました。

 本当にJ-ALERTの話なら、迎撃態勢とは間接的な関係しかないことです。「手の内を明らかにすることによって、支障がでてくる場合がある」との説明は嘘ということです。

 もともと、迎撃態勢なんか必要ないのです。J-ALERTによる告知も不要です。テポドン2号は故障でもしない限り日本領域には墜落しません。バラバラになって墜落する機体が被害を出す可能性はほとんどありません。燃料がかなり残っているテポドン2号は爆発して、粉々になって墜落するからです。有害な燃焼剤と酸化剤は空中で燃えるか散逸します。スペースシャトルが米本土に墜落した時に、被害がまったくでなかったことを思い出しましょう。

 その不要な警告システムを止めるために、「手の内を明かさない」と理由をこじつけているようにしか見えません。

 あるいは、逐一、迎撃態勢の詳細を公表しないということでしょうか?。それもまた意味不明です。国民は自衛隊がどんな態勢を敷いているかが分からないことになります。この防衛態勢が国民を守るためのものだとすれば、テポドン2号が落ちてきたら、国民はどうしてよいのか分からないことになります。

 記事を総合すると、イージス艦きりしまなど数隻が迎撃のために出稿し、防衛省敷地内にPAC-3を配置したようです。

 ピント外れも最たる配置です。

 東倉里からは真南へロケットを打ち上げるのです。東京に向かう可能性はありません。優先順位が低いことに、数少ない資源を割くのが、自衛隊の戦略のようです。愚かしいにもほどがあります。

 きりしまの定係港は横須賀なので、これは沖縄に向かったのでしょう。また、東京を守るために日本海にもイージス艦を配置するのでしょうか?。前に批判を浴びたから、今回は止めますか?。また、2隻を沖縄近海に配置して、打ち上げが失敗したときに探知に失敗することはないのでしょうか?。いいえ、またやりそうですね。こうしたことを逐次、国民に知らせると「手の内が見えてしまう」ので、しないということですね。自衛隊には国民も敵なのです。「敵は本能寺にあり」。

 PAC-3は沖縄にこそ配置すべきです。というか、もともとテポドン2号が落ちてくる危険はほとんどなく、配置する必要性はないのですが、「国民の安全を守る」ために配置するのなら、ロケットが通過する沖縄しか考えられません。しかし、沖縄は普天間基地の辺野古移設に反対しています。地方交付金も削ることになっています。従って、それに比例して、沖縄県民の安全も削らないと、移設に賛成している他都道府県の皆さんに対して申し訳ない、不平等だと自衛隊は考えているのでしょう。流石です。東京は守るけど、沖縄は守らない。これだけはしっかりと主張しなければなりません。そのための配置です。きりしまが打ち損ねたら、あとは運を天に任せるのです。それは沖縄県民の自己責任なのです。

 こんな選択しかしない自衛隊が日本を守れると、誰が信じるのでしょうか?。いい加減に目を覚ませと言いたい。それができないのなら、直ちに全員腹を切って果てて欲しい。それが日本に対する最大の貢献になるでしょう。

 


Copyright 2006 Akishige Tanaka all rights reserved.