シリア軍が首都とホムス間を制圧中

2014.2.14


 BBCによれば、シリア軍はカラモウン山脈(the Qalamoun mountains)の反政府派最後の拠点、ヤブルード(Yabroud・kmzファイルはこちら)に砲爆撃を再開したと、活動家は言いました。

 水曜日以来、軍用機が空爆を行い、大砲が戦略的な街を攻撃しています。住民は攻勢を恐れて、近くのレバノンへ逃げています。  同じ日、シリア政府と反政府派はジュネーブで一般的議題にすら合意できなかった後、国家連合は政治的移行のビジョンを含む書面を発表しました。計画はシリアからすべての外国人戦闘員の追放、国連による停戦監視を求めましたが、シリア政府のファイサル・メクダッド外務副大臣(Deputy Foreign Minister Faisal Mekdad)は「ショーだ」と切り捨て、それを検討することを拒否しました。ラダハル・ブラヒミ特使(Lakhdar Brahimi)は、米露当局から、状況から障害を除こうとしているとの保証を受け取ったと言い、より楽観的でした。

 ホムスの知事、タラル・アル・バラジ(Talal al-Barazi)によれば、ホムスの停戦は、さらに3日間延長されました。

 政府派民兵とヒズボラのメンバーに支援されたシリア軍は、反政府派兵士をカラモウン山脈から追い出し、国境を越える補給路を遮断するために、11月中旬に攻勢を始めました。シリア軍はすでに、ダマスカスとホムスを結ぶ幹線道路に沿ったヤブルードの北東にある、カラ(Qara・kmzファイルはこちら)、デリ・アティエ(Deir Attiya・kmzファイルはこちら)、ナブク(Nabak・kmzファイルはこちら)を制圧しました。3年間の反乱の大半を反政府派に支配されたヤルブードは、今週まで大きな攻勢を逃れてきました。しかし、水曜日に軍用機と大砲が街を攻撃し始めました。

 地元反政府派のリワ・アル・ゴラバ旅団(Liwa al-Ghuraba)の公報は、ヒズボラ戦闘員と政府軍兵士が近くの丘に陣地を築こうとしていると言いました。「彼らは国境の道路を取ろうとして、戦力を集めています」とアブ・アナス(Abu Anas)は言いました。「いまやヤブルードでは動く者はいません。反政府軍は攻勢を防いでいます」「病院は怪我人でいっぱいです」。

 ヤブルードの砲爆撃と郊外での戦闘は、大勢をレバノンへ逃げることを余儀なくし、水曜日に人と彼らの持ち物を詰め込んだトラックとバスが国境のワディ・マイド(Wadi Hmaied)で越境するのがみられました。母親、妻、子供4人と共に来た難民のアーメド(Ahmed)は「今朝から飛行機と戦車で砲撃されました」と言いました。彼は5人が砲撃で殺されるのを見たと言いました。

 国連難民エージェンシーのダナ・スレイマン(Dana Sleiman)は木曜日、4日間にわたり、約400家族がレバノン北東のアーサル(Arsal・kmzファイルはこちら)に到着したと言いました。

 バラジ知事は、停戦が始まった金曜日以降、旧市街にいる3,000人と見積もられる人々が1,400人避難できたものの、220人が未だに調査中のままだと言いました。15〜55歳の男性は、国連とシリア赤新月社のバスから降りた後で、治安部隊が尋問するために拘束され、女性と子供、若い男性は解放されました。アメリカ国務省はシリア政府に兵役可能な男性を解放する約束を守るよう主張しました。「シリア政府の過去の行動からして、国際社会はこれを容認できず、これらの男性の運命を監視する必要があります」とエドガー・バスケス(Edgar Vasquez)は言いました。シリア政府は多くの拘留者を悲惨な状況で拘留し続けています」。


 記事は一部を紹介しました。

 この周辺の戦いは、これまで何度か紹介してきました(過去の記事はこちら )。昨年12月からこの周辺では戦闘が続いていたのが、ようやく決着がつきそうだということです。このままでは、首都とホムスの間を、政府軍が自由に行き来できるようになります。ホムスを陥落させると、次はアレッポの攻略です。言うまでもなく、非常にまずい展開です。支援国の支援は一体どうなっているのかが疑問です。

 ただし、政府軍の進展も、通常の軍事行動に比べるとかなり遅く、政府軍も戦力を欠いている可能性を示しています。それが唯一の希望です。

 反政府派が主張した 、外国人戦闘員の排除は、シリア政府が反論するとおり、絵に描いた餅でしょう。反政府派とシリア軍が休戦して、共に外国人戦闘員と戦うといった約束は、現状では成立するはずがありません。互いに、隙を見つけて相手を倒そうとしているのに、共同作業はできません。却下されて当然の話です。

 拘束された男性たちが、まだ解放されていない点も不安です。

 ジュネーブで米露とシリアの外交官が会談し、打開策を探ったようですが、特に進展があったという記事はありません。


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