ネバダ州のオスプレイ墜落は既知の問題が原因か?

2013.9.2


 沖縄タイムスによれば、米ネバダ州で起きた海兵隊のオスプレイ着陸失敗について、米国防分析研究所(IDA)の元主任分析官、アーサー・リボロ氏は31日までに本紙の取材に応じ、「海兵隊は着陸失敗を『ハードランディング』と説明しているが、『ハードランディング』と『墜落』に大差はない」と指摘。

 「それよりも、なぜそうした状況が発生したのか、原因究明に向けて真剣に議論すべきだ」と問題提起しました。

 リボロ氏は「オスプレイは回転翼航空機のため、ハードランディングは技術的に不可能」と海兵隊側の説明を否定。現在、海兵隊が公開している限られた情報では原因の特定は難しいとしながらも、「VRS(ボルテックス・リング状態)で制御不能になった可能性が高い」との見解を示しました。

 一方で、リボロ氏は、「製造元のボーイング社は、こうした機体構造に起因する現象や対応について、パイロットらへの指導を避けており、把握していないパイロットも多い」と危惧しました。


 記事は一部を紹介しました。

 リボロ氏が言う問題は、以前に当サイトで紹介した問題に合致します。(関連記事はこちら

 4月にMV-22がモロッコで墜落した事故の原因もボルテックス・リング状態と考えられています。これは降下限界を超えない範囲でも起こる問題です。有効な降下率で降下しても、突然、十分な速度で回転している回転翼が揚力を生まなくなり、墜落するのです。だから、パイロットは必要以上に注意をしながら降下せざるを得ないのです。計器を強化し、音声警告システムで、この問題は解決しません。

 オスプレイの欠陥に関する別の重要記事もあります。ここにはリボロ氏が言うように、オスプレイの本当の性能がパイロットに十分に伝わっていない問題が書かれています。(関連記事はこちら

 海兵隊は自分たちにしかできない技術を持つことで存続を図りたいためにオスプレイを導入したのです。この機体はどう見ても、限られた場面でしか使えそうにありません。

 日本政府もオスプレイを導入する計画です。我らが政府の性格からして、オスプレイの問題は、原発事故と同じく「起こり得ないこと」として扱われることになるでしょう。


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