シリア反政府派がアレッポの軍用空港を占領

2013.2.13


 BBCによれば、シリアの反政府派はアレッポの近くの空軍基地を占領しました。

 人権団体「The Syrian Observatory for Human Rights」は、反政府派がアル・ジャラヒ空軍基地(al-Jarrah air base・kmzファイルはこちら)を占領するときに、政府軍兵士約40人を殺すか捕虜にしたと言いました。同団体の理事、ラミ・アブドル・ラーマン(Rami Abdel Rahman)は、初めて使用可能なミグ戦闘機を獲得したと言いました。インターネットに投稿されたビデオ映像には、基地を占領した反政府派が駐機場とシェルターにあるヘリコプターと戦闘機と共にあることを示すように思われました。先月、反政府派は、何週間にも及ぶ激戦の後に、タフタナズ空軍基地(Taftanaz military air base・kmzファイルはこちら)を占領しました。この基地は補給上の重要基地で、反政府派の支配地域に爆弾を投下するヘリコプターを収容していました。

 aljazeera.comによると、アレッポの政府軍筋は、基地が48時間の激戦の後で占領されたことを認めましたが、アル・ジャラヒ基地の重要性は低いと言いました。「とても小さい空港で、訓練のために使われています」「そこには使えない弾薬が少しと、長いこと使っていない航空機が数機あるだけです」。反政府軍は政府軍兵士約40人を死傷、もしくは捕虜にしました。残りの兵士は弾薬と航空機を残して撤退しました。占領した直後、政府軍は反政府軍を追い払おうとして、ジェット機で空港を爆撃しました。軍用機は反政府派が攻撃している近くの国際空港の近くも攻撃しました。

 アレッポの人権活動家は、北部の反政府派は市街戦から軍用空港と基地を占領することに焦点を移したと言いました。「それらは弾薬と補給品の即席の供給源なので重要で、それらを捕獲することは我々を爆撃する軍用機を使用できなくすることを意味します」とアレッポに拠点を置く戦闘員はインターネット経由で言いました。

 反政府派はシリアの北部と東部で勝利を収めたものの、主要都市をまだ手に入れていません。アル・ジャラヒ空港の確保は、北部で最大のタフタナズ空軍基地の占領の1ヶ月後に起こりました。インターネット経由で公表されたビデオ映像は、空港の滑走路に軍用機が並んでいるのを映しています。カメラマンが「神に感謝します。(武装グループの)アーラル・アル・シャム(Ahrar al-Sham)は軍用空港を占領しました」と言いました。彼は「ミグ戦闘機はいまやアーラル・アル・シャムの手にあります。ここには弾薬があります」と言い、昨年夏に反政府派を爆撃したのと似たロシア製ジェット戦闘機2機を撮影しました。ビデオ映像の信憑性は確認されていません。


 アル・ジャラヒ空軍基地の位置は、12日に占領を紹介したダブカダムから北東へ約60kmの位置にあります。ダムを占領したら、次がここを攻撃するのは常識的な判断だったと思われます。

 シリア政府はこの基地の価値は低いと言ったとしても、肝心なのはダブカダムからアレッポに至る幹線道路が反政府派の手に落ちていることは否定しようがありません。アル・ジャラヒ空軍基地はこの幹線道路の近くにあり、その西にあるアル・ターネヒ防空基地は昨年10月に陥落しています(関連記事はこちら)。この基地の東側にクェリス軍用空港がありますが、いずれも同じ幹線道路の近くにあります。ダムからアレッポの幹線道路には、もう1つアレッポ国際空港があり、ここはまだ戦いが続いています。つまり、アレッポ国際空港が陥落すれば、東部からアレッポに至る道路を空爆するのが困難になるということです。

 写真を見る限りでは、アル・ジャラヒ空軍基地には練習機のような機体と戦闘機の両方が見られます。戦闘機はキャノピーが開いていますが、翼にはシートがかけられており、しばらく使っていないように見えます。航空機が利用できるかどうかに関係なく、東部からアレッポに至る幹線道路が反政府派の手に落ちていることが確認できたことは大きな収穫です。反政府派はこの道路を自由に使用できることになるからです。

 戦果自体は小さくても、着実に勝率を積み重ねている点で、これは反政府派に大きな利益をもたらすでしょう。


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