化学兵器廃棄に米政府所有の輸送船を活用か

2013.11.29


 alarabiya.netによれば、オバマ政権はシリアの化学兵器を国際水域で廃棄するために、約213mの米政府所有の船を使う方法を提案しています。

 計画はまだ最終的承認を得ていませんが、「MV ケープ・レイ(MV Cape Ray )」を地中海に浮かべ、周囲を米海軍が警備しながら化学兵器を廃棄するものです。この手法は陸地で廃棄することで起きる、外交的、環境的、保安的問題を避けます。

 水曜日の声明で、化学兵器禁止機関はシリアの化学兵器廃棄は地上の治安問題のために難題を起こし続けていると言いました。

 計画を明らかにした米当局者は権限を与えられていないため、匿名を希望しました。

 大統領の国家安全保障会議の広報官、ジョナサン・レリー(Jonathan Lalley)は、シリアの化学兵器廃棄に関しては何も決まっていないと強調しました。「我々と国際的パートナーは廃棄の代替手段を追求しており、我々はその他の国々と、どのようにその活動のために最善の貢献をなせるかについて議論をし続けています」「我々は合意した期限までに計画を完了すると確信しているままです」。

 ケープ・レイ号は、国防総省が開発したものの、実際の作戦では使われたことがないプロセスを使って、最も危険な化学兵器を廃棄するホスト役を務めます。アメリカは化学兵器を武器として使えなくするように中和する、野戦展開加水分解システム(Field Deployable Hydrolysis System)を使います。このシステムは国防総省の脅威削減局(the Defense Threat Reduction Agency)が開発しました。チタニウム製のリアクターは、化学兵器を不活性にするために、熱水とその他の化学剤を使います。米当局者によれば、ケープ・レイ号には分解システム2台が取り付けられます。船の改造と作業の訓練のためには時間がかかります。任務が承認され、ケープ・レイ号の準備が整えば、国防総省の軍事海上輸送司令部(Military Sealift Command)の指揮下へと移されます。船は米運輸省の海事管理局が所有し、乗員は民間人です。

 水曜日の時点で、化学戦用物質をどうやってケープ・レイ号まで運ぶかを決めようとしていると、米当局者は言いました。彼らは別の国がその作業を行う船を提供すると予測していると言いました。彼らはすぐに最終的決定をして、活動は年末までに始まると言いました。


 記事は一部を紹介しました。

 これはほっとさせられるニュースです。有望な具体的手段が固まりつつあるのです。(関連記事はこちら

 船首部分に加水分解システムを取り付け、その後方にヘリポートを設けるような形になるのでしょうか。分解する化学兵器は船で洋上のケープ・レイ号まで運んでくるのか、港で積み込むのかは分かりません。化学物質の輸送は、ノルウェーが船の提供を申し出ていますから、そのまま役目が与えられるでしょう。


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