徴兵を逃れたミット・ロムニー

2012.6.6


 military.comによれば、共和党の大統領候補、ミット・ロムニー(Mitt Romney)には兵役経験がありません。

 選抜徴兵記録によれば、ベトナム戦争を最初から支持していたにも関わらず、高校を卒業した後、ロムニーは戦争が激しい時に4回の徴兵猶予を申請することで兵役を避けました。それには大学に通うための徴兵猶予とフランスでの牧師としての31ヶ月の延期が含まれます。彼が徴兵の資格を得る時までに国は兵数レベルを引き下げ、彼が徴兵されることはありませんでした。

 バラク・オバマ大統領(President Barack Obama)も軍歴はありません。50歳の民主党員はベトナム戦争時には子供で、あとで軍に志願することもありませんでした。65歳のロムニーはベトナム戦争間の徴兵制度世代で、彼の軍歴の欠如は退役軍人の関心を集め、国に最高司令官に相応しいことを説明する時、新しい注目を浴びています。

 ロムニーとベトナム戦争の関係を見ることは、戦闘が最高潮に達したときに彼が戦闘を避けることを許した1960年代の世界への窓口を提供します。彼の物語はモルモン教会への関与も示します。彼はそれを滅多に公には語りませんが、彼の人生を助けたものでした。

 批判家は、ロムニーが徴兵資格がありながら戦時に軍務に就かなかった彼の父親ジョージ・ロムニー元ジョージア州知事(George Romney)と5人の息子を含むロムニー家の一員だと指摘します。

 2007年に大統領候補者としてロムニーはボストン・グローブ紙に、徴兵を逃れるための行動は一切していないと述べましたが、選抜徴兵記録はそれを示しています。1965年10月、スタンフォード大学で彼は学業を理由に最初の徴兵猶予を受けました。2年目には牧師や神学生として徴兵延期の資格を得ました。それは1966年7月〜1969年2月(彼がモルモン宣教者として大半をフランスで過ごした期間)まで続く地位でした。これは1960年代後期に議論の的になり、モルモン協会は最終的に宗教的な理由で兵役を免除できる宣教者の人数を制限しました。

 31ヶ月の猶予期間は1969年初期に切れました。ロムニーは次の2年間のほとんどを学業による徴兵猶予を受けました。彼は1970年末に猶予期間を使い果たして軍務に就く資格を得ました。しかし、この時までにアメリカは兵数レベルを引き下げ、比較的高い彼の抽選番号(365中の300)は選ばれませんでした。

 それでも共和党を支持しやすい退役軍人の間では、彼の人気は傷つかないかも知れません。先週のギャロップ調査では、ロムニーを支持する退役軍人は58%、オバマは34%でした。この層は大半が歳をとった男性で、成人人口の13%です。オバマ大統領は4年前に大統領選挙に勝ちましたが、退役軍人については元海軍パイロットのジョン・マケイン上院議員(Sen. John McCain)よりも10ポイントの差をつけられました。


 記事は簡単に紹介しました。

 かつて、アメリカで金持ちの子息が徴兵を逃れていたことは有名です。ミット・ロムニーの経歴はまさにその典型です。そして、こうした人たちは銃後で軍への支持を叫ぶもので、ロムニーは大学でそういう活動をしたと記事に書かれています。

 先日、現役兵士からオバマ大統領への個人献金が急増しているという記事が報じられました(記事はこちら)。この記事と合わせて考えると、現役と退役の間に大きな支持の差ができあがっている可能性がありそうです。

 ギャロップ社のホームページを見ると、退役軍人でも女性はロムニーよりもオバマを支持していることが分かります(記事はこちら)。比率は47対42です。

 選挙は国全体の傾向を反映します。目下のところ全有権者では両者は拮抗した勢力を保っています。これが最終段階で数ポイントどちらに流れるかで勝負が決まります。国内メディアは「オバマの魔法はもう消えた」とか書きたがるでしょう。国内にはアメリカに強烈な保守政権が誕生すれば、日本がその威光の陰で得をすると考える人たちがいます。そういう日本人はロムニーを支持するでしょう。メディアもその方向で報じるでしょう。そういうメディアの癖を先読みして、我々は冷静に数字の変化を見ていくべきです。



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