軍人から大統領への個人献金が急増

2012.4.26


 military.comによれば、米軍人と米軍に関係する人たちから大統領候補者への政治献金がテキサス州の共和党下院議員ロン・ポール(Ron Paul)からバラク・オバマ(Barack Obama)へ移行しました。

 『the Center for Responsive Politics』のデータによると、ポール下院議員は長く軍人のお気に入りでしたが、3月に献金の集中はオバマに移行しました。アナリストのラス・チョマ(Russ Choma)は、「最近まで、共和党候補者ロン・ポールの支援の熱烈な供給源でした」「しかし3月に、軍から最大の支援を、ポールの約2倍をかき集めました。ミット・ロムニー(Mitt Romney)は軍からの支援に関して言えば、落伍者のままです」。

 2011年1月~2012年3月の間、200ドル以上を献金した軍人は約333,134ドルをポール陣営に寄付しました。比較して、オバマは約184,505ドル、ロムニーは45,738ドルでした。今年3月中、オバマへの献金は36,448ドル、ポールは17,733ドル、ロムニーは8,630ドルでした。

 数字は200ドル以上の個人献金を反映し、提供者はより少額の人と共にさらに情報を提供する必要はなく、軍務との関わりを示したのは志願した者だけです。陸軍の看護士は「兵士」ではなく「看護士」と記され、陸軍の献金者とは記録されません。このため、軍内の正解な数字と分析を提供する方法はありません。

 オバマの最大の献金源は国防総省で、ロムニーとポールは陸軍でした。他の候補者の献金額は分析に含まれていません。

 オバマの軍内の資金集めの優勢が続けば、2008年に軍人が対立候補ジョン・マケイン(Sen. John McCain)の6倍を提供したことの再来になるかも知れません。

 これは歴史的に団結力が強い軍隊のでは転換です。かつては軍の献金者は共和党に寄付する傾向があります。2000年、テキサス州知事ジョージ・W・ブッシュ(George W. Bush)は軍人の寄付を、副大統領アル・ゴア(Al Gore)の約2倍集めました。


 一部を省略して記事を紹介しました。

 軍人の意向は大統領選挙に大きく影響します。先般から報じられているように、ブログで大統領を侮辱する事件を起こすことは「表現の自由」の発露ではないということです。なにより、普段から政治をよく知り、投票に行くことです。政治献金は軍服を着ていてもできますし、議員のホームページからクレジットカードを使って送金できるのです。

 それにしても、この転換は大きいものがあります。ポールが共和党の大統領候補者になる可能性は低く、ロムニーが選ばれることになるでしょう。そうなれば、共和党候補者への献金はさらに減り、オバマが有利になる可能性が高まります。

 military.comは先日、ロムニーの政策について「Romney on Spending: Guns Trump Butter」というタイトルの記事を掲載しました。ロムニーは生活の基本的分野での予算を削減して、軍事予算を増額するという内容でした。これは一般国民にも受け入れがたいことです。軍人は富裕層の代表ではなく、これに同調するかも知れません。

 さらに、ロムニーは「タリバンを殺せ」と主張しています。十年間かけても殲滅できないタリバンは大統領のかけ声だけでは倒せません。これを一番分かっているのは兵士です。米軍内でロムニーが大きな支持を受ける可能性はありません。

 オバマの再選はかなり確実になってきたと言えそうです。



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