金正恩がロケット打ち上げを視察する可能性

2012.4.11


 38north.orgは金正恩が12〜16日の打ち上げを視察するかどうかについて、4月8日時点での状況は不明なものの、2009年の打ち上げの際に金正日が舞水端里発射施設を訪問したことを指摘しています。

 2009年に放送された北朝鮮のニュース映像には、ロケットエンジニアを祝福する金正日が写っていました。報道では金正日は4月5日の夜をトンイ(Tonghae・kmzファイルはこちら)の本部で過ごしたと言われており、映像は6日の朝か打ち上げ前の朝に撮影されたと考えられます。人物の陰から、写真は発射の日の午後に撮影されたとは考えられません。


 記事はごく簡単に紹介しました。記事には写真がいくつか掲載されていますから、ご参照ください。

 トンイの本部の位置は、舞水端里のロケット組み立て施設の南西約800mにあり、建物は斜面に南に向けて建てられています。打ち上げは12〜16日の間に行われるとされますが、現在のところ、大きな天候上の問題はなく、15日に記念式典があることから、12〜14日に行われる可能性が高いように思われます。

 12日に打ち上げを行うとすれば、すでに金正恩は現地に向かっている可能性があります。彼が陸路で移動するなら、専用列車が平壌を出たかどうかで、打ち上げ時期が判断できます。韓国筋から、この情報が出るかどうかに注目が必要です。

 昨夜、沖縄県のホームページにアクセスして、ここにも政府と同じ「北朝鮮による『人工衛星』と称するミサイル発射」という表現が見られたことには失望しました。東京も沖縄も一緒になって、ごく小さな危険で大騒ぎをしているのです。いまから日本が方向を変えるのは無理かも知れませんね。

 昨日の記事(記事はこちら)で示した地図を再度掲載します。これが銀河3号が実際に通ると思われる軌道です。

 北朝鮮が発表通りの軌道で打ち上げるのなら、所定の軌道に人工衛星は乗りません。この場合、北朝鮮は元々人工衛星を打ち上げるつもりもなく、弾道ミサイルの発射実験をする気はなかったということになります。打ち上げを行ってみせるのだけが目的であり、粗大ゴミを空に向けて打ち上げるだけということになります。

 しかし、こういう考え方もできるかも知れません。銀河3号は実際には1トン程度のペイロードを搭載していて、報道陣に公開した光明星3号は偽装のための偽物かも知れません。この場合、発表済みの方向に打ち上げても、弾道ミサイルとしての実験は部分的に行えることになります。計画通りにロケットが飛ぶことを確認できれば、それで目的の半分は達成です。弾頭の着弾点の確認をしないと完璧とは言えませんが、それをアメリカに探知されると、人工衛星だという主張が通らなくなります。

 ですが、この推定にも疑問が湧きます。それならば、嘘がばれないように、人工衛星の軌道傾斜角や高度について辻褄の合う数字を発表するはずだからです。100kgという人工衛星の重量も、誤魔化そうと思えばできたはずです。何もかもが支離滅裂で、訳が分かりません。この謎は銀河3号が飛んだとしても、すべて解決しそうにありません。

 現地から北西55kmにある新義州市の気象状況は下のアイコンをクリックして確認してください。11日朝の時点では、16日は若干天候が崩れるものの、大きな障害になるような悪天候はない見込みです。

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