北朝鮮が銀河3号の打ち上げ延期を示唆

2012.12.9
追加 同日 12:10


 銀河3号の打ち上げについて、毎日新聞は、北朝鮮の朝鮮宇宙空間技術委員会報道官が8日、「時期を調整する問題を慎重に検討している」と述べました。

 報道官は「発射のための準備作業を最終段階で進めている。その過程で一連の事情が生じた」とも述べました。


 記事は一部を紹介しました。

 北朝鮮が10〜22日の間で打ち上げ時期を調節するのなら、この段階で延期を発表する必要はありません。時期を調整すると述べたのなら、10〜22日の間では打ち上げない可能性があるということです。

 しかし、23日以降はさらに天候が悪化するので、打ち上げはいよいよ難しくなります。つまり、来年の4月まで待たないと、新しい打ち上げはできないということです。

 毎日新聞は北朝鮮が「日米韓をはじめとする国際社会からの厳しい反応を考慮した可能性がある」と評しています。しかし、北朝鮮が3ヶ国からの反対だけでくじけないことくらいは、これまでの経緯で明らかです。気象条件の問題を真剣に検討すべきです。読売新聞は「東倉里から約100キロ・メートル離れた平壌で5日に18センチの降雪を記録。北西部でもある程度の降雪があった模様で、発射準備作業に何らかの影響を与えた可能性もある」と、気象条件に触れています。1段機体は組み立ての最初に派射台に据え付けられます。氷点下の大気に長時間さらすことで、故障が起きる可能性が高いのです。何度も行われるチェックにパスできないこともあります。

 北朝鮮は延期する可能性を示唆しただけで、中止したとは言っていません。それでも、私が指摘したように、12月の打ち上げは準備も実施も非常に困難だという点は、北朝鮮も認めたわけです(関連記事はこちら)。

 それから、銀河3号が弾道ミサイルだとしても、冬は使えない兵器だという点も、いい加減に誰か指摘してくれないでしょうかね。あり得ない脅威で大騒ぎするのは、もう止めなければなりません。

 もう1つの可能性は、北朝鮮が最初から打ち上げるつもりがなく、単に韓国の羅老ロケットに対抗した示威行為だったということです。打ち上げ準備中に問題が起きたのではなく、最初から打ち上げる振りをして、適当な段階で適当な理由をつけて中止する計画だったのです。

 これまで報じられてきた打ち上げ準備は、すべて偵察衛星などからの情報でした。普段はない動きが発射施設付近に見られることから推測していたわけです。燃料トラックを配置したり、VIPを向かえる準備をしたり、実際に発射台にロケットの機体を据え付ければ、誰だって打ち上げが行われると考えます。しかし、燃料トラックは空で、ロケットも発射台に乗せただけだったということも考えられます。

 北朝鮮は過去に、ソウルオリンピックを妨害しようとして、1987年に大韓航空機爆破事件を起こしました。韓国が国際的に目立とうとすると足を引っ張るのが彼らの行動癖です。羅老ロケットは正規にロシアから研究者を招いて開発したロケットであり、打ち上げが成功する見込みも高いものでした。それに成功されては銀河3号の存在価値が激減すると、北朝鮮が考える可能性があります。

 そうだとすると、国際機関よりも先に日本とアメリカに打ち上げを通告したのも、悪影響を最小限にするための工夫だったように見えます。先に「通告の順序が逆」と私が指摘したのは、こうした違和感を覚えたからでした(関連記事はこちら)。

 それから、準備期間が以前よりもかなり早かったことも、打ち上げつるつもりがないことの表れかもしれません(関連記事はこちら)。今回の準備期間を忘れず、北朝鮮がこの次に打ち上げをする時に比較してみる必要があります。

 どちらがより真実に近いと考えるかと言えば、私は示威行為説をとります。北朝鮮が期間を延期してでも打ち上げるなら、この推測は誤っていたことになります。何が起きるのか、まだ注目し続けなければなりません。完全に中止なら、すぐに機体の解体と撤去が始まるはずです。その情報がどう出てくるかに注目してください、



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