反政府派の攻勢で、政府軍に焦りか?

2012.11.2


 military.comによれば、シリアのダマスカスで爆弾事件があった数時間後、反政府派はイデリブ州(Idlib province)の検問所を攻撃して、政府軍兵士28人を殺しました。

 人権団体「The Syrian Observatory for Human Rights: SOHR」は、反政府派がサラケブ(Saraqeb・kmzファイルはこちら)近くにある軍の検問所3ヶ所を攻撃しました。反政府派兵士5人も銃撃戦で死亡しました。現地の活動家が報告しました。シリア政府からは正式な死亡発表はありません。

 ダマスカスでは水曜日夜遅く、アル・マッジー地区(Al-Mazzeh district)で、モスクとスポーツクラブ、店舗、国営通信社「SANA」を狙った3つの爆弾事件がありました。アル・ホウダ・モスク(Al-Houda mosque)の近くで1人が爆発で殺され、2人が負傷しました。他の2つの爆発で、子供1人を含めた6人が負傷しました。

 SANAによると、当局はシーア派イスラム寺院があるダマスカス郊外で起きた水曜夜の別の爆弾事件で、負傷者が死亡した後で、死者の数を12人に増やしました。

 ワエル(Wael)という名前のある店主は「私は3つの爆発が、完全にシリア軍の支配下にある住宅地で起きたことが奇妙だと思っています」と言いました。「アル・マッジー地区の入口と出口には検問所があります。まったく奇妙です」。

 SOHRは水曜日に全土で116人が殺されたと言いました。その内41人はアレッポで、35人はダマスカス郊外の戦闘で死亡しました。

 BBCによれば、サラケブの検問所は戦略的に重要ですが、反政府派はそこを維持しようとはしないと、ジム・ミュアー(Jim Muir)は言います。検問所は露出した場所にあり、政府軍は間違いなく砲撃や空爆で反撃するだろうとミュアーは付け加えました。反政府派がマアッラト・アル・ヌーマン(Maaret al-Numan・kmzファイルはこちら)に近いサラクィブを手に入れたことは、最近、政権が空爆を強化した主要な理由と考えられています。


 やっと、停戦中に起こった空爆の理由が出てきました。先月31日に、私は「何か戦局がとても大きく動いているような印象を持ちました」と書きましたが、やはり反政府派が前進していることが、この記事で確認できました(関連記事はこちら)。反政府派は進展を発表しませんが、空爆が行われた付近に反政府派が進出して、活動しているということです。

 サラケブはダマスカスとアレッポとをつなぐ幹線道路上にあり、マアッラト・アン・ヌウマーンよりは北にあります。ここに反政府派が進出したということは、アレッポの戦闘は一段落しており、反政府派が首都に向けて近づいていることを連想させます。

 BBCの記事は政府軍が航空機からTNTの束を落としているとも書いています。かなりローテクなやり方で、軍隊は普通やらない方法です。これは軍事用の爆弾が底をついたことを連想させます。

 ひょっとすると、シリア軍はかなり追い詰められているのかも知れません。



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