リビア反政府派がさらに首都へ接近

2011.8.7


 BBCによれば、リビアの反政府派指揮官、ジュマ・イブラヒム大佐(Col Jumma Ibrahim)は、首都トリポリから80kmに距離にあるバー・アル・ガンナン(Bir al-Ghanam・kmzファイルはこちら)を解放したと言いました。

 リビア政府からの公式コメントはありません。

 数百人の戦士が山中の街、イフラン(Yafran・kmzファイルはこちら)から激戦の前線に移動しました。

 反政府派戦士は、初期目標は50km離れた地中海沿岸街、ザウィヤ(Zawiya・kmzファイルはこちら)へ移動する前にバー・アル・ガンナンを解放することだったと言いました。

 一方、ロイター通信は、反政府派広報官、モハマッド・ザワウィ(Mohammad Zawawi)は、戦士は、東部の石油街、ブレガ(Brega・kmzファイルはこちら)の背後に前進したと言いました。

 「ブレガ周辺のすべての戦線で大きな動きがありました。我々は三方向から攻撃しています」。

 しかし、カダフィ軍が街への接近路に地雷を敷設したので、兵士はゆっくりと前進していると付け加えました。

 イブラヒム大佐は「いまや、彼(カダフィ大佐)は彼自身で我々に対して防御できるだけです」と言いました。

 「我々の主たる目的はトリポリですが、我々はトリポリに直接ジャンプできません。我々は一つずつ行きます」。

 この攻撃は新しい戦線を開き、軍事的行き詰まりを破るための試みと見られています。

 週の始め、カダフィ軍はズリタン周辺の反政府派に反攻を仕掛けました。反政府軍は、街の郊外に到着していますが、弾薬不足に悩まされています。


 バー・アル・ガンナンの陥落は、約束からかなり遅れたものの、どうにか実現しました。7月7日の記事で、アーメド・オマル・バニ大佐は「次の2日間で答えを示します」と言っていたのですが、すでに1ヶ月以上経っています(過去の記事はこちら)。これがリビア内戦の展開速度です。バー・アル・ガンナンはトリポリの西にあるザウィヤに直通する道路上にあります。ガリヤン(Garyan・kmzファイルはこちら)も陥落すると、南側から首都へ攻め上る道路が2本確保されることになります。これは、カダフィ政権にとって、強烈な圧力になります。

 ブレガ戦線もかなりの時間がかかりましたが、多分、西、南、東からカダフィ軍を包囲しているのでしょう。ここまで助けに行く援軍は多分ないでしょうから、カダフィ軍には、死か降伏しかありません。反政府軍に直接照準型の火砲があれば、時限型の降伏勧告を行い、投降しない者は上の階から下の階へと順に砲撃することになります。建物に入り、中を掃討すると味方に犠牲者が出るので、長距離兵器を使うのです。

 ズリタン戦線での本格的な戦闘はこれからのようです。多分、反政府軍は街の東側にいます。「反政府派はカダフィ軍の攻撃を受ける前に、市中心部を支配するためにズリタン内部へ前進した」という記事は、市の中心部に進出したことを意味しないのでしょう(過去の記事はこちら)。先日の記事で、特派員が反政府軍の兆候を見なかったとしても、変ではありません。ハミス・カダフィの死亡が本当なら、ズリタンを守るハミス旅団の指揮は混乱し、意外に簡単に敗北するかも知れません。そうなると、トリポリはほぼ包囲されてしまいます。

 支援国からの武器援助はどうなっているのでしょう。未だに戦線で物資不足が解消されないのは疑問です。

 まだ完全ではないものの、外堀は埋まりつつあります。しかし、外堀は広大で、反政府軍が勢力をトリポリに向けるには数ヶ月の準備が必要でしょう。この調子では内戦は来年初頭まで続きます。



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