カダフィ軍がチュニジア国境を攻撃

2011.6.15


 BBCによれば、リビアの反政府派はカダフィ軍がチュジニア国境で攻撃を始めたと言います。目撃者は、カダフィ軍が国境を越えてロケット砲を発射したと言いました。

 トリポリの近くでは、NATO軍はいくつかの軍事目標を攻撃したと言い、空襲が首都のカダフィ大佐の住居の近くで空襲が報告されました。

 特派員は数週間の軍事的な手詰まりの後で、戦闘が復活したと言いました。リビア西部のネファウサ山脈(Nafousa mountains)の反政府派広報官、オマル・フセイン(Omar Hussein)は、カダフィ軍がダヒバ国境検問所(Dahiba・kmzファイルは こちら)に続く道を砲撃したと言いました。今月初め、反政府派はこの地域のいくつかの町を制圧しました。ダヒバはそれらへの重要な補給路です。目撃者はカダフィ軍がグラートロケットをチュジニア国境の内側に撃ったと言いました。

 ミスラタではロケットが港近くの石油施設発電機に損害を与え、燃料供給ラインを途絶させました。NATO軍は月曜遅くにミスラタで空襲を行い、トリポリの東方でロケットランチャーや対空砲を搭載した走行車両を含む目標を攻撃しました。反政府派はミスラタの西方にあるジルタンに向かっていると言われていました。東部戦域では、反政府派指揮官は21人の反政府派戦士が月曜日に死んだと言いました。

 トリポリでは、目標が何かは不明ですがカダフィ大佐のバブ・アル・アジジヤ(Bab al-Aziziya)の近くで煙が上がりました。NATO軍は繰り返し、この住居の周辺を攻撃しています。

 NATO軍高官のステファン・アブリアル大将(Gen Stephane Abrial)は、リビアでの軍事行動が継続するなら、連合国の資源が「危機的」になりはじめるだろうと言いました。月曜日、イギリス海軍のサー・マーク・スタナップ大将(Admiral Sir Mark Stanhope)は任務が6ヶ月を越えるなら、優先順位が変わると言いました。

 イギリス軍のトップ、サー・デビッド・リチャーズ大将(General Sir David Richards)はBBCに、「我々は我々が望む限り、この軍事活動を継続できます」と言いました。NATO軍は3月31日にリビアの任務を引き継ぎました。

 南アフリカのジェイコブ・ズマ大統領(President, Jacob Zuma)は、3月に民間人を守るために武力を行使するよう承認された国連決議は「政権交代、政治的な暗殺と外国軍の占領」のために乱用されていると言いました。

 火曜日に世界チェス連盟のキルサン・イリュムジノフ(Kirsan Ilyumzhinov)は、カダフィ大佐が彼に、MATO軍が空襲を止めれば交渉を行う準備があるが、彼を退任させようとする国際的な努力を否定しました。2人は日曜日にトリポリでチェスをしました。「私はどこにも行きません。私の親戚はここで死に、私もまたこの土地で死ぬでしょう」とイリュムジノフ氏は大佐の言葉を引用しました。

 リビアは、ドイツのグイード・ウェスターウェール外務大臣(Guido Westerwelle)がベンガジを訪問したことを「国家主権と…国際法の露骨な侵害」を避難しました。カナダとドイツは国家暫定評議会(National Transitional Council)をリビア国民の合法的な代表と承認する最新の国です。「我々は同じ目標―カダフィのいないリビア—を共有します」とウェスターウェール外務大臣は言いました。


 カダフィ軍の反撃は散発的です。いまになっても大規模な反撃を行わないのは、すでに手持ちの部隊がなくなっている証拠です。

 ダヒバ国境検問所付近では、以前にもカダフィ軍の越境攻撃がありました(記事はこちら)。彼らは、ここから西部の反政府派に補給物資が届くのを防ぎたいようです。カダフィ軍に勢力があるののなら、道路がチュニジアに続く町を占拠して、居座ることで補給路を遮断します。それをしないで道路を破壊するのは、力がないからです。それもあまり効果がある方法とは思えません。

 ミスラタ港を攻撃したのも同じです。街を再占領しようとするどころか、西部を反政府派に突破されました。以前に私が指摘したように、首都に向かう西部側が反政府派の攻撃すべき場所です。カダフィ軍はそこを突破され、まだ反撃したという話が出てきません。これも力のない証拠です。そこで、砲撃だけやって、反政府派に圧力を加えようとしています。発電機が壊れたのは偶然で、正確に狙ったからではありません。港の施設が集中する地域を狙っただけです。NATO軍に見つからずに街に近づければ、港を狙って砲撃して逃げるというやり方です。数が少ない攻撃ヘリコプターでは、こうした接近を防ぎきれません。長時間同じ場所で砲撃すれば、NATO軍の航空機が駆けつける恐れがあります。反政府派が対砲兵レーダーを持たない限りは、こういう攻撃は続きます。NATO軍がカダフィ軍の自走砲をすべて破壊しても同じことですが、それは困難です。

 アブリアル大将とリチャーズ大将の意見が食い違うのは気になります。今後、どの程度まで軍事行動を強化するかは議論の対象となるでしょう。反政府派が対砲兵レーダーを操作できない場合、民間軍事会社に行わせ、砲撃を反政府派が行うといった対策が行われるかも知れません。あるいは、その準備はすでに始まっているかもしれません。それによって、カダフィ軍の砲兵隊が街に近づきにくくなります。



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