軍人の自殺と睡眠遮断の関係

2011.2.7


 military.comによれば、長時間の睡眠遮断は慢性不眠症、精神的疾患を含む破滅的な結果をもたらしかねないことを研究家が見出しました。

 陸軍の軍医は現在、睡眠遮断になった兵士が戦場で、よりゆっくりとした反応時間、曖昧な記憶と低下した判断により、彼ら自身をより危険にすることを認めています。しかし、軍隊内での自殺は急増し続け、より多くの隊員がPTSDと診断されており、一部の研究者や医師たちはこうした問題を生む原因として睡眠遮断に注目しています。

 ウェストポイント士官学校の心理学者であるデーヴ・グロスマン退役陸軍中佐(Dave Grossman)は慢性的な睡眠不足が軍隊内での自殺率の増加の原因であると革新しています。「自殺は非常に複雑なトピックです」「しかし、慢性的な睡眠不足は新しい要因、主要な新しい要因です」と彼は言いました。

 戦闘における睡眠不足の兵士に対する懸念は、陸軍の軍医が昨年、兵士は毎晩7〜8時間の睡眠を取る必要があるという新しいガイドラインを作るのを導きました。以前のガイドラインはその半分を推奨するだけでした。しかし、ガイドラインがどう言おうと、戦闘において適切な睡眠をとることは容易ではありません。

 アフガニスタン、マニワンド地区(Maiwand district)の第2ストライカー騎兵連隊第3中隊のコリン・ストローク技術兵(Spc. Colin Strook)は、今回の派遣で最大24時間眠らなかったことがあると言いました。「私に睡眠に関する問題は起こりませんでした」「私は目覚めているために大量の栄養ドリンクを飲んだだけでした」。

 研究者は、カフェイン、デキストロアンフェタミン、モダフィニルのような興奮剤は睡眠不足のすべての影響を緩和しないことを示したと、軍の睡眠研究の中枢、ウォルターリード陸軍研究所(Walter Reed Army Institute of Research)の行動生物学部門の長、トーマス・バルキン博士(Dr. Thomas Balkin)は言いました。

 睡眠薬に頼る他の兵士は、アンビエン剤や類似する睡眠導入剤の処方数を急増させました。2004年、隊員は約70,000回、睡眠薬の処方を求めました。2009年、米軍の健康保険に相当する「トライケア(Tricare)」の薬剤師の処方数以上に跳ね上がりました。

 これらの薬剤は兵士が良好な夜の休息をとるのを助けますが、長期間の使用を想定していません。

 「夜の眠りが良好なのと同じほど、良好な薬はありません」バルキン博士は言いました。

 元レンジャーのグロスマンは兵士に睡眠遮断について、彼のメッセージにしばしば逸話をまぶして語ります。第一次大戦、第二次大戦時の兵士は彼らの塹壕から離れる時に眠ったと、グロスマンは著書「戦争の心理学 人間における戦闘のメカニズム」の2008年版で説明しています。たまに戦友とビールを飲む以外、リラックスする方法はそうなかったのです。比較して、現代の兵士はパトロールから、テレビゲームをやり、ファーストフードを食べ、テレビを見て、インターネットをできる設備のよい基地に戻ります。

 グロスマンは、たくさんの下士官から、兵士がテレビゲームをするために睡眠をとらないことを学びました。たまにゲームをするグロスマンは、ゲームは本質的に有害ではないが、それらは鬱病のための保証付きのカクテルである睡眠遮断と社会的隔離しか引き起こさないと言いました。


 訳したのは記事の3分の1程度で、一部省略したり、分かりやすくするために追加した部分があります。後半にも非常に興味深い情報が載っていますが、時間がないのでここまでにします。

 睡眠遮断と自殺の関係に対する研究が進んでいるという記事です。

 テレビゲームをやり過ぎた兵士がよけいにストレスを溜め込むことは、以前に紹介した記事に書かれています(記事はこちら)。ゲームは2〜4時間が適当で、それ以上にやった場合は逆効果だというわけです。今回は、テレビゲームに熱中するあまり、睡眠時間を減らしてしまう兵士の話です。それだけが睡眠遮断の原因とは思えません。テレビゲームをしない兵士もいるでしょう。

 私個人の経験から言うと、睡眠薬は使わない方がよく、自分の工夫で自然な睡眠を取る方が数段良好な回復が期待できます。記事の後半には安眠の方法も書かれているのですが、正にその通りなのです。刺激を避け、安定した状態を作り出してから眠るべきです。苛立ったまま眠り、それが癖になると、多分性格にも影響が出ます。他人から「リラックスしろ」と言われて、その通りになるのなら苦労はありません。自分でリラックスして、眠るのに相応しい状態を作り出す工夫が必要です。眠るなんて、当たり前のことのようですが、よりよい眠りには工夫がいるのです。



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