米陸軍がM4小銃の置換を検討中

2011.2.11


 military.comによると、米陸軍はM4小銃を別の銃に交換することを考えています。この記事はStars and Stripes紙からの転載です。

 陸軍は約500,000丁のM4小銃を持っています。

 M4小銃の致死性と信頼性は長い間疑われてきました。6月に公表された議会研究局の報告は、4つの研究はM4小銃の様々な欠陥を明らかにしました。

 2001年に公表された米特殊作戦軍の最初の研究は、悪条件や過度に発砲すると様々な要因が憂慮すべき故障を導くとして、M4A1の設計には基本的に欠陥があると結論づけました。特殊作戦軍は2009年にM4の置換を開始し、特殊部隊用戦闘アサルトライフル(Special Operations Combat Assault Rifle: SCAR)を選択しました。

 2006年に公表された陸軍に付託された海軍分析センター(the Center for Naval Analyses)による研究は、兵士の20%が致死性を増すためにより大きな銃弾を勧めていると言いました。戦地にいる一部の者は、複数回撃たれた者がまだ戦い続ける能力を持っていたと言い、この兵器の効果的に目標を阻止する限定的な能力についてコメントしたと研究は述べました。

 陸軍はそうした問題に対処するために、現在戦場にあるM4をアップグレードする一方で、置換を模索し始めました。

 陸軍当局者は3月30日にワシントンで、フィードバックを与え、この計画に関する具体的な質問に答えるために製造供給元に会う予定です。1月31日の計画事務局のメモによると、陸軍は5月に新しい武器のための要請書を出します。

 3段階に分かれた置換プロセスは少なくとも2年間かかることになっています。新しい小銃は少なくとも3年間は実戦配備されません。

 第1段階では、陸軍は企業が武器を計画事務局の必要条件に従って提供し、武器が信頼できるペースで製造できるかを決定します。必要条件は毎月4,200丁まで、最低で2,000丁を製造することを求めています。

 第2段階では、武器は約700,000発の発砲試験が行われます。武器はその物理的な特質と能力、現存する陸軍のアクセサリーとの互換性で等級分けされます。考察のその他の領域は正確性、信頼性、耐久性を含みます。一覧に載る必要条件の一部は、20,000発の銃身寿命、閃光抑制器、2,000フィートまでの正確な交戦を許す照準器の支援です。武器はグレネードランチャーを含む様々なアタッチメントを扱えなければなりません。弾薬が5.56mmと7.62mmのいずれかも決定されます。

 第3段階では、約850,000発が複数の標的に対して武器の致死性をテストするために撃たれます。

 現時点では、最高位の銃が現在改修中のM4小銃と置換されるかは不明です。M4のアップグレードは、より強力な銃身、両手利きでの操作、フルオートマチック射撃とより致命的な弾薬を含みます。この改善は今年部隊に統合されます。

 現行のM4と同じ費用と予測される最初の新しい小銃は歩兵部隊へ行きます。


 M4小銃の欠陥は過去に何度も取り上げられ、当サイトも陸軍の頑迷な態度を批判してきました。M4小銃の改修については昨年10月に紹介しました(記事はこちら)。 この記事に過去記事へのリンクもあります。この改修が2009年10月に報じられたM4小銃の置換計画の結論だったと思っていました。また、陸軍はより致死性の高い弾薬も用意しました(記事)。陸軍はあくまでM4小銃を置換する方針だったようです。しかし、先の記事では2012年までには実戦配備されると書かれていたのに、この記事では2014年までかかると変更されています。なんと2年間もの遅れです。

 問題は陸軍が同じ銃を大量に必要とすることです。性能がよくても、できるだけ早くにすべての部隊の小銃を置換するためには、大量生産が可能なメーカーの銃を選ぶ必要があります。これまでの経緯からして、銃のテストはすでに終わっているはずです。2009年に実弾テストを行ったという記事があるからです。

 あとは事務仕事や企業側の準備などだけのはずですが、こんなに時間がかかるのかと呆れるしかありません。大変な技術と労力を注ぎ込みながら、米軍が時々欠陥兵器を生み出す理由は、米軍自身が研究すべきです。多分、こういうテーマはこれまで誰も調査したことがないのでしょう。

 なお、日本語訳では書きませんでしたが、原文中で単に「Tamilio」としか書かれていない人物は、この計画の責任者、ダグ・タミリオ大佐(Col. Doug Tamilio)のはずです。

 ところで、エジプト情勢について、時事通信が警察官が姿を消した理由を報じています。警察車両と警察署への襲撃が急増したため、警察官は警察署と現場から撤収し、エジプト軍から「警察は恨まれているから身を隠せ」との連絡があったので、帰宅したということです。先に、私は警察官がデモ隊のリンチを受けたので逃げたという推測を提示しましたが、それに近い状況があったようです(記事はこちら)。今日、時間があれば、こうした事情についてもまとめて観たいと思います。



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