暫定政権軍がシルトへ大攻勢を開始

2011.10.7


 BBCによれば、リビアの暫定政権軍はシルト(Sirte)に対する大攻勢を開始しました。

 何百台もの車両が東西から市へ進み、中心部へ接近しています。数千人の市民はすでにシルトを去りましたが、それ以上が居残っていると考えられています。市郊外にいるジョナサン・ヘッド記者(Jonathan Head)は、ここ数日ではるかに大きな攻撃だと言います。持続した戦車と迫撃砲の砲火がシルトを狙い、街全体に巨大な煙の柱があり、多くの建物が燃えていると記者は言います。これはカダフィ大佐の生誕地に対する最後の一押しであるように見えると言います。

 暫定政権の部隊はミスラタとベンガジから来ています。ベンガジの部隊は市中心部から1km足らずにありますが、街の中の狙撃兵からの激しい抵抗に遭っています。カダフィ支持者の多くが集まったと考えられているコンファレンス・センターは集中砲火を受けています。

 BBCによれば、カダフィ大佐の音声メッセージがシリアに拠点を置くアル・レイ・テレビ(Arrai television、al-Raiとも表記されます)から放送されました。カダフィ大佐の最後の演説は9月20日でした。木曜日の低品質の放送がいつ記録されたかは不明ですが、その中で彼は次のように言いました。

 「私はリビア国民、男性と女性に、すべての街で、数百万人で、広場や通りに出て行くよう要請します」「平和的になり、勇気を持ち、立ち上がって通りに行き、緑の旗を空に掲げてください」「誰も怖がらないでください。あなたは国民です。あなたの側に正当性があります。あなたがこの国で正当性を持つ国民です」。暫定政権について彼は尋ねました。「暫定政権はどうやって合法性を得ましたか?。リビア国民が彼らを選出しましたか?。リビア国民が彼らを任命しましたか?」「この評議会を認める人たちにとっては、今後あなたを1人ずつ取って代えるために、艦隊の力(西欧の大国のこと)に強要された暫定評議会を作るための準備ができています」。

 激しい戦いはシルトで続いています。暫定政権の指揮官、ナセル・エル・ムガビシ(Nasser el-Mgasibi)は「今日、我々はカダフィ軍の戦士多数がいるモーリタニアン・クォーター(Mauritanian Quarter)を切り取って、彼らの背後を断つために挟撃行動を行いました」。

 銃撃戦が臨界地区に沿って起こりました。別の指揮官はカダフィ軍の狙撃兵が、前進しているように見せかけるために絶え間なく位置を変えていると言いました。

 逃げた人々の一部は、NATO軍と暫定政権軍の無差別な爆撃と砲撃に不満を言いました。NATO軍は週末以降はシルトを攻撃せず、地上ではどの軍の味方もしていないと主張します。

 バニ・ワリド(Bani Walid)を打開するために1,000人強の部隊が増強されているという報道もあります。


 カダフィ軍がどう布陣して、どう戦っているかはよく分かりませんが、この記事にはその一部が表れています。

 コンファレンス・センターとモーリタニアン・クォーターは同じ場所を意味しているように思われますが、断定ができません。コンファレンス・センターは4日の記事(記事はこちら)で紹介した病院の東隣にある巨大な施設です。私は病院の西隣にあるカダフィ大佐の住居を狙った砲弾が病院に落ちたと言いましたが、コンファレンス・センターも狙っているようです。ここがモーリタニアン・クォーターだとすると、暫定政権軍はここを孤立させようとして挟撃を行ったということになります。その西にある巨大な駐屯地は占領できたのか、住民が多く住む市街地はどうなのかなど、分からない点が多すぎます。しかし、推定の通りなら、コンファレンス・センターは包囲して、街を先に占領しようとしているのだと思えます。抵抗力を減らすためにコンファレンス・センターは砲撃の対象となっているのでしょう。



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