シルトで民間人が砲爆撃の被害多数?

2011.10.4


 BBCによれば、シルトから逃げる住民は、食糧と水、電気が僅かしかないままで、都市の状況が悪化したと言いました。国際赤十字社のチームはシルトにおり、医薬品が切迫していると言います。

 ジョナサン・ヘッド記者(Jonathan Head)は市民の脱出が増え、暫定政権軍は最後に街を確保できると望んでいると言います。

 報告はNATO軍がこの地域を目標にし続けていることを示唆します。ある男性、アリ(Ali)は、彼の一家が「私たちはNATO軍の爆撃と暫定政権軍の砲撃に捉えられた」ために逃げていると言いました。「特に、NATO軍は無作為に、しばしば民間の建物を攻撃しています」と彼は言いました。

 暫定政権軍の戦闘員、マスード・ジェマ・アル・アマーリ(Masoud Jema al-Amari)は、NATO軍が彼らにシルト南部郊外のカダフィ大佐が生まれた村から引き上げるように求め、NATO軍は空爆ができると言いました。

 一家でその村から逃げているイマム・マフムード・ハムード・アル・カレニ(Imam Mahmoud Hammoud al-Kaleni)は、カダフィ軍が彼らに急いで逃げなけなければならないと言ったと言いました。「彼らは私たちの家に来て、一時間で逃げろと言いました。彼らは逃げるのが安全だと言いました」。

 赤十字国際委員会は約10,000人の人たちがシルトを去り、少なくとも3分の1は、家からあまり遠くに行くのを望まず、街から数キロの砂漠にキャンプを設置していると言います。

 シルト市内では、酸素と燃料の不足で、主要な病院で死んでいると言います。

 赤十字社のチームは両者から検問所を通過する許可をもらい、土曜日にイブン・ジマ病院(the Ibn Sima hospital)を訪問しました。「病院には大量に患者が流入し、医療品が欠乏し、酸素が渇望されています。それに加え、貯水槽が損傷しています」と赤十字社は声明で言いました。チームは戦線を通過して、医療品を配達できました。しかし、彼らは病院が攻撃を受けたために、病室の負傷者を訪問できませんでした。「私たちがそこにいる間に、数発のロケットが病院の建物に着弾しました」「私たちは沢山の無差別の攻撃を見ました。私はそれがどこから来ているのかは分かりません」と赤十字社のリーダー、ヒッチェム・カドアラウイ(Hichem Khadhraoui)は言いました。


 この記事を読むと、やはりNATO軍や暫定政権軍の砲爆撃が、かなり民間の生活圏に接近しているようです。

 攻撃がどちらの側によるのかは断定できないものの、カダフィ軍には市内を攻撃する理由はありません。空爆ならNATO軍しかできませんが、目撃者には空爆と砲撃を正確に見分けることは困難です。

 それでも、大半は暫定政権軍とNATO軍による攻撃と考えられます。NATO軍が交戦規定を変更したとは聞きません。大義名分を保つために、繰り返して民間人を保護するための空爆を主張するNATO軍が、こうした攻撃を行うとは考えられません。暫定政権軍がやっている可能性が高いと思いますが、カダフィ大佐の村を爆撃しているとの証言も出ているので、以前よりも狙いを民間地域に移しているのでしょう。

 特に、カダフィ大佐が生まれた村を攻撃中の暫定政権軍に撤退を求めたのは、村に立て篭もるカダフィ軍を攻撃するためですから、当然、民間人が残っている場所を攻撃していると解釈できます。イブン・ジマ病院(kmzファイルはこちら)を攻撃しているのは、最も近い軍施設は2km以上離れているものの、南東側に隣接してカダフィ大佐の住居があるので、これを狙った弾が病院に命中したのだと推定できます。Google Earthを使い、kmzファイルで病院の位置を確認したら、南東にある豪華な庭付きの建物を見てください。それがカダフィ大佐の住居です。巨大なテントがあるのも確認できます。周囲に建物が何もないのは、狙撃などを防ぐためです。病院の住所は大佐の住居に近すぎ、ここを砲撃するのは非常に危険です。

 なお、赤十字が両者から通行証をもらって、戦地に入っているのはジュネーブ条約(国際人道法)に定められたことです。本来なら、政府側だけの許可で足りるのですが、現在のリビアの状況では、カダフィ軍が許可の合理性を認めない可能性があるので、両方の許可を取り付けているわけです。このように、支援団体が戦地に入ることは国際法に定められた権利だということを覚えておきましょう。



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