バグダールの有罪撤回で動議

2020.9.24



 military.comに よれば、元米陸軍軍曹バウ・バグダール(Sgt. Bowe Bergdahl)の裁判に提出された新しい動議は、もともと有罪を宣告した裁判官の利害の対立の疑いを主張して、軍の最上級上訴裁判所に彼の有罪の撤回を求めています。

 金曜日に提出された動議は、バグダールに判決を申し渡した軍裁判官、ジェフリー・ナンス退役大佐(Col. Jeffrey Nance)の公平性を、軍の上訴裁判所に再審査をするよう求めています。動議は、ナンス大佐がバグダールの裁判を担当していたときに司法省の仕事を手に入れるために活動 していたといいます。

 2017年、バグダールは脱走と敵前での守地放棄で有罪を認めました。2009年6月、アフガニスタンでの5カ月の後、彼 がパキスタン国境に近い僻地の歩兵前哨から姿を消し、大規模な捜索活動を起こさせたとき、バグダールは23歳の上等兵でし た。

  バグダールが疾走した直後に、タリバンが彼を監禁したことを示す映像が現れました。何年も、舞台裏の交渉が散 発的に行われ、アメリカはバグダールをスパイと人工衛星で監視し続けました。2014年5月の時点で、グアンタナモベイの収 容所のタリバン収容者5人との交換で、彼は米特殊部隊に引き渡され、彼が英雄か脱走兵かを巡り、感情的な国内議論に火をつけ ました。

  上訴審の判事は今年早くに、故ジョン・マケイン上院議員(Sen. John McCain)と2017年に遡り、ホワイトハウスのローズガーデンでドナルド・トランプ大統領(President Donald Trump)が出したバグダールについてなされた批判のコメントは彼の起訴を無効にしないと判決を出し、3対2の僅差でバグダールの有罪を支持しました。

  トランプ大統領は元兵士を「うす汚い腐った裏切り者」とよび、銃殺隊によるバグダールの処刑を求め、最後の選 挙周期に選挙運動で、バグダールはパラシュートなしで飛行機から投げ落とされるべきだと冗談を飛ばしました。

 10月16日、ナンス大佐がバグダールの有罪を認める主張を受けたのと同じ日、法廷書面は大佐が連邦移民担当裁判官の地位 を申請したのを示します。  トランプ大統領のコメントに引き続いて、バグダールの弁護士は、トランプのコメントはバグダールを中傷しているので、ナン ス大佐に裁判を終了するよう求めました。

  法廷書面によれば、ナンス大佐は「私は現在の階級を越えた望みや野心はありません。私はトランプ大統領がバグ ダール軍曹について述べたいかなる意見にも左右されません」といって、トランプのコメントは判決に影響しないと、バクダール の忠告に保証を与えました。

  しかし、動議によれば、ナンス大佐は司法省の仕事に応募する間に、バグダールの裁判を取り仕切る役割を強調 し、バグダールの非合法な指揮の影響力の議論を却下する決定を文書のサンプルとして含めすらしまし た。

  法廷書面はナンス大佐が移民担当裁判官としての地位に応募していたことをまったく開示しないと述べます。しか し、プレスリリースは2018年9月に、ジェフ・セッションズ司法長官(Attorney General Jeff Sessions)が、彼をその地位へ指名したと発表しました。

 ナンスを裁判官として名簿に載せるジョージア州移民裁判所の連絡を担当する司法省の広報職員は、電子メールによるコメント の要請に応えませんでした。

  動議は軍司法情勢を報じるCAAFlogのウェブサイトに最初に報告されました。バグダールの弁護士、ユー ジーン・フィデル(Eugene Fidell)は、ブログに投稿され動議が正確だと認めましたが、電子メールでのさらなるコメントは拒否しました。

  2017年11月、ナンス大佐は、不名誉除隊、降格、いくらの給与没収を含む判決の中でバグダールの刑期を免 除しました。2009年に彼が失踪した後、バグダールを探した隊員が負傷したため、検察官は10年以上の投獄という厳罰を求 めていました。当時、トランプ大統領はすぐに、判決は「恥ずべきもの」と呼びました。

  判決の前にナンス大佐は、トランプが非合法の指揮の影響力を行使したのだから、起訴は棄却されるか処罰は限定 されるべきだという弁護団の動議を却下しました。弁護団を支持しなかったものの、彼は当時、軍司法システムの大衆の理解に影 響するトランプのコメントについて懸念を表明しました。それから彼は、トランプのコメントは寛容さを促進すると考えるといい ました。


 もう終わったと思っていたバグダールの裁判はまだ先がありそうです。この裁判は何度紹介したか分からないくらい追求してき ました。

 持ち場を放棄した件の議論はすでに終わっていますが、最近はトランプ大統領による司法介入が取り上げられるようになり、弁 護段の関心もそこへ移っています。今回、ナンス大佐が司法省に出した書面が明らかになったことで、新しい動議が出されたよう です。

 ここがアメリカの軍事裁判弁護士のすごさでしょうね。よくこんな書面をみつけて、それが判決の再審査につながると判断した ものです。東京裁判でも日本人弁護士より米軍の弁護士の方が弁舌が鋭かったくらいです。結果が気になりますね、

 


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