デモ対応で同盟国の評価を気にする米軍

2020.8.5



 military.comに よれば、陸軍参謀長、ジェームズ・マッコンヴィル大将(Gen. James McConville)は金曜日、全国的な抗議への対応で法執行活動に関与するようになるという同盟国の懸念を和らげたいといいました。

 「我々が他国と他の軍隊と話をするとき、我々は彼らが、国を取り締まるのではなく、国を守るという米陸軍の目的を理解する のを確実にするための議論をします」と彼はいいました。「我々は法執行機関に国を取り締まるのを任せるべきです」。

 「軍隊に関しては、我々はあらゆる環境で、正しいことを、正しい方法でやる必要があります」とマッコンヴィル大将は、戦 略・国際問題研究所(Center for Strategic and International Studies)でのインド太平洋地域での陸軍の役割についてのフォーラムで、質問に答えていいました。

 彼は、国全体にわたる混乱が海外で「アメリカ・ブランド」に影響しているか、軍隊同士のパートナーシップについて疑問があ がる可能性があるかと尋ねられていました。

 「我々は騒動の間に陸軍の正規兵をワシントン特別区やその他のどこにも派遣しませんでした」とマッコンヴィル大将は、そう した部隊が6月初旬に少しの間、特別区郊外の基地に配置されたにも関わらず強調しました。

 国内の法執行に「陸軍兵を用いることに関しては、絶対的に最後の手段としてのみ行われます。州軍ですら最後の手段として使 われるべきです」と彼は続けました。

 インド太平洋地域では、陸軍の最優先事項は中国に対抗するために長射程の精密射撃砲とミサイルを展開し、兵器のために基地 使用の権利を確保することだと、マッコンヴィル大将はいいました。
 
 射程延伸型砲を含め「我々が長射程の精密射撃を必要とすることを、我々は知っています」と彼はいい、来る数年間に国防予算 が減少するなら、陸軍は兵器を守るだろうとつけ加えました。

 長射程兵器を後押しするため「我々は新しい組織を立ち上げているところです。長射程精密効果を行うための能力を提供するマ ルチドメイン・タスクフォースと呼ばれます」とマッコンヴィル大将はいいました。新兵器がこの地域のどこに行くかはまだ決 まっていないと、彼はつけ加えました。

 「それが我々が未だに開発しているものです」と彼は説明しました。「位置調整に関しては、我々は確実な効果を与える超長射 程精密射撃の能力を持ちますが、位置調整の能力はまだ決まっていないということです」。



 マッコンヴィル大将の発言を聴いても、いかに米軍が合衆国憲法の基本に忠実で、逸脱を認めないかが分かります。

 アメリカの同盟国の中で、ここまで国民の権利を大事にする国はないでしょう。だから、米軍の懸念はむしろ考えすぎともいえ ます。特に、治安維持法での出動が米軍よりも緩い自衛隊は、大将の発言を理解できないかもしれません。

 日本の場合、合衆国憲法のように治安よりも表現の自由が大事だという概念がありません。公共の安全が脅かされたと総理大臣 が判断して、防衛大臣に治安出動を命じれば、自衛隊は警察権を持ち、取り締まりをはじめられます。

 米軍は国内での法執行が禁じられているから、警察権はありません。

 日本人で、こういうことを知る者は少なく、治安出動に対する拒否反応は小さいでしょう。ある自民党支持者とネット上で議論 したとき、その人は、アメリカで米軍がデモ鎮圧をしないのは騒乱法があるのだからできるはずだといいました。デモ鎮圧が民主 主義に反するという考えはなさそうでした。アメリカの常識では軍隊は国民を取り締まらないということも分かっていませんでし た。

 自衛隊のデモ鎮圧がどのように教育されているかは知りませんが、デモ隊を敵として扱えと教えている可能性は高く、一般隊員 の意識な中では、命令されたら何でもやりそうです。

 高官たちも井の中の蛙で、命じられたらやるだけだと単純に考えているでしょう。それが海外の政府や軍隊から白い目で見られ かねないとも知らずに。
 
 

 


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