米海軍が人種差別撤廃でタスクフォースを設置

2020.7.15


 military.comが 米海軍の中での人種差別撤廃の活動について報じました。

 ある将校は艦内でスペイン語を話すなといわれました。別の者はコーンロー(三つ編みを平行に配置するヘアスタイル)につい て下品なコメントを受けました。3番目の者には彼女の何年もの職業上の専門知識を無視して、彼女のボスとしか話さない上官が いました。

 これらの者たちは彼らがキャリアの中で直面したといった差別をする下士卒と将校の率直な実例のほんの一部です。このグルー プはレイシストや性差別の政策を決定する責任を持つ海軍の新しいタスクフォースのメンバーと体験を共有しました。

 「私は少数派にとっていたるところに障害があると仮定すべきだと考えます」と黒人の海軍航空将校のデスティニ・ヘンダーソ ン中尉(Lt. Destini Henderson)は月曜日にタスクフォースにいいました。「私にとっては、海軍のキャリアを通じて間違いなく事件であり、海軍兵学校に入学したころもそうでした」。

 海軍兵学校で彼女のヘアスタイルの見え方がひどい非難を受けたと言ったヘンダーソンは、新しく結成されたタスクフォース・ ワン・ネイビー(Task Force One Navy)の最初のバーチャル会議に参加するよう求められた海軍隊員約10人の一人でした。マイク・ギルディ作戦部長(Chief of Naval Operations Adm. Mike Gilday)は海軍に人種と差別に関する国家的な議論の中で、海軍の方針を検討するためにグループを立ち上げるよう命じました。

 グループは採用から昇進と海軍の刑法システムまで、すべてに影響する方針を検討しているところです。ギルディ作戦部長は、 レイシズムが海軍内に存在しないという思い違いはしていないといいました。

 参加者たちは同意しました。マス・コミュニケーション・スペシャリスト上級チーフのリア・スティルス(Senior Chief Mass Communication Specialist Leah Stiles)は、タスクフォースはレイシズムについては海軍がいかなる違反も許さない方針を採用するよう勧告することを検討すべきだといいました。プエルトリコ出身の上 級上等兵曹は黒人と結婚しています。

 「私は一度ならず、私のまわりのNワード(nigger等、nからはじまる言葉)を用いる隊員を正しています」と彼女はい いました。「黒人と結婚したからではなく、それは間違っているからです。処罰は罪に見合ったものであるべきです」。

 もうひとりの海軍兵学校卒業生、ローランド・マチャド少佐(Lt. Cmdr. Rolando Machado)は、彼がメリーランド州、アナポリス(Annapolis)に到着したとき、場違いだと感じたといいました。彼は新入生のクラスで2人のヒスパニック系の 1人だったと、海軍のヒスパニック系とラテンアメリカ系の採用、保有、昇進を促進する非営利団体、海事系将校協会 (Association for Naval Services Officers)で海軍の代表を務めるマチャド少佐はいいました。

 彼は、数年後にマチャドが初級将校として派遣されたとき、2人の隊員がスペイン語を話すのを耳にしたのを思い出しました。 彼は加わりましたが、3人の声を聞いた上等兵曹が隊員2人の前でマチャドを叱責してしまいました。

 「私はとても当惑しました。恥ずかしいと思いました。その時は、私はどうするのが正しいことかを知りませんでした。私はわ たしが間違っていたと考えました」と彼はいいました。「見張りについていて、直接の命令を実行したり受けていない限りは、海 軍で外国語を話すことはまったく問題ないことを知ってほしい」。

 「しかし、それは私にとって大きな出来事でした」と彼はつけ加えました。

 海軍で2人の黒人女性の掌帆長の1人、ラトレシャ・ウィリアムス兵曹長(Chief Warrant Officer LaTresha Williams)は、彼女が任官した直後に2016年にレイシズムを経験したといいました。ある将校が彼女がいるのを無視して、しばしば彼女に直接話すのではなく彼女の チーフに話をしました。ウィリアムスが22年間の経験があるにも関わらずでした。

 彼女は彼は他の女性将校とはコミュニケーションで問題はなかった
彼女が黒人だから彼は彼女と話したくなかったのだと、彼女を悩ませたと指摘しました。

 「キャリアの後半で、その時点でレイシズムや性差別を経験したことに私は驚きました」と彼女はいいましたが、キャリアの初 期に、もうひとりの上官が、任務を完了するよう隊員にいったあとで、彼が彼女をNワードで呼ぶのを重視しなかったことを指摘 しました。

 「我々が海軍で非常に大きい人種層のアフリカ系アメリカ人に向けられたレイシズムに対して、このとても大きな問題の原因認 識を持ち、取り組み、対処するのなら、あらゆる種類のレイシズムを経験するほかすべての人種層は、一度これらの問題が知られ れば、どれくらいの問題があるのか、彼らが感じる抵抗がどれくらいあるかを想像します」とウィリアムスはいいました。

 タスクフォース・ワン・ネイビーが方針を調べ、変更のための勧告を出すと、チームはさらに追加の下士卒と将校から聞き取り をするバーチャル会議を開催する計画です。

 タスクフォースの上級下士卒の顧問、ヒューベン・フィリップス海軍最先任上級兵曹長(Force Master Chief Huben Phillips)は経験を共有する下士卒と将校に、軍隊内の差別を終わらせるために彼らの情報が極めて重要だといいました。

 「我々は話を聞きたいのです」と彼はいいました。「我々は海軍の中に問題を抱えていると認識していて、それを追跡している ところです」。


 いまは主にアフリカ系や中南米系のアメリカ人に対する差別が焦点を当てられていますが、肝心なのはすべての人種が平等に扱 われることです。たとえば、アジア系の隊員に対する差別も対処されるべきです。

 アメリカには人種を超えた連帯で国を作り上げるという理想がある一方で、差別が依然として残っています。ときには、人種差 別に基づいた事件が起きることもあり、そうした事件は当サイトで何度も取り上げてきました。

 一方、自分たちは単一民族だと誤解している日本の自衛隊ではどうなのでしょうか?。そうした問題はないように見えるかもし れませんが、それは取り上げられないだけです。「大人の遊園地」と隊員が内輪で呼ぶ自衛隊には、多くの問題があります。現場 指揮官の権限が強すぎて、不合理な処罰が横行しています。

 太平洋戦争中の捕虜取り扱いでは、米軍が公式には捕虜への虐待を一切認めなかったのに対して、日本軍は組織として虐待や拷 問を行いました。日本海軍には大船に拷問の専門施設もありました。捕虜にする人道敵扱いは隊員の個人的な行為によってのみ行 われていました。たとえば、キリスト教徒の軍人や通訳で徴用された軍人は、こっそりと捕虜に便宜を図りました。米軍の情報部 はジュネーブ条約を守りながら捕虜から情報をもらうという方針を貫いていて、CIAがやるような拷問は行いません。実際、当 時の日本人捕虜の話を聞くと、米軍の尋問官が積極的に話を聞いたことが分かります。

 捕虜に対する虐待の原因は、軍事的な理由ではなく人種差別です。べ軍は隊内に人種差別はあっても、捕虜に接する情報部が ジュネーブ条約を守るので、人道的取り扱いが確保されています。

 現在、自衛隊が敵の捕虜をとることはありませんが、そうなった場合、隊員同士の差別が強い自衛隊で、歴史の評価をもらえる ような対処ができるのかは疑問です。

 隊員の待遇と捕虜への待遇は裏腹で、その国の文化が反映されます。日本にある問題を解決しないと、自衛隊は隊員同士、捕虜 の取り扱いで問題を起こします。敵は常に自分の中にあると考え、内部から改善するしか進歩はありません。
 

 


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