米陸軍は南軍旗使用を国防総省へ丸投げ

2020.6.26



 military.comに よれば、米陸軍の指揮官は木曜日、軍隊内の人種的なバイアスをへらす努力と多様性の受け入れを促進する活動を発表しました が、国防総省の承認がない限り、南部連合の旗を禁止するつもりはありません。

 人種的な不公平に抗議して国中に広がる国民の不安は、米軍の各軍に差別の根絶とレイシズムのシンボルを排除する措置をとる よう促しました。

 海兵隊と海軍は南部連合の旗を施設内で禁止する方へ動きましたが、陸軍は同様の行動をとっていません。

 陸軍はこの問題についてマーク・エスパー国防長官(Defense Secretary Mark Esper)に勧告し、長官の決定を待っているところだと、ライアン・マッカーシー陸軍長官(Army Secretary Ryan McCarthy)は木曜日に国防総省で記者たちにいいました。

 「国防長官は国防総省の方針を統一した決定にしたいと考えています」とマッカーシー長官はいいました。

 陸軍は木曜日、組織的なレベルで存在する無意識のバイアスを根絶するための有意義な対処をとることに焦点を置く活動、多様 性プロジェクト(Project Inclusion)を公表しました。

 そうした一つの変化として、軍は8月初頭にはじまる将校の昇進審査会の過程の要件として、公式写真を廃止します。陸軍も准 尉と軍曹について同様の動きを検討するでしょう。

 人種的不公平と警察の残忍な行為へ抗議する数週間のデモ活動に引き続き、陸軍指揮官たちは軍自体を厳しくみつめ、多様性、 公平性、包摂性を促進する取り組みを実施するために、兵士たち、民間人と我々の家族の話を聞く全体的な努力を行えることはす べてを行うと決めました。

 しかし、国防総省に迫るのは、南部連合の旗を禁止するかどうか、ノースカロライナ州のフォート・ブラッグ(Fort Bragg)、南部連合国のメンバーの名前を冠するジョージア州のフォート・べニング(Fort Benning)のような施設の改名をするかどうかの決定です。

 マッカーシー長官は6月初頭、彼はこれらの施設を改名することを検討しようとしているといいましたが、ドナルド・トランプ 大統領(President Donald Trump)は、政権は「立派で伝説的な施設の改名」は検討しないとツイートしました。

 「参謀長はバイアスに関連する具体的なガイダンスを出しました」マッカーシーはいいました。「国防総省で、エスパー国防長 官は我々に潜在的に我々の目の前にあるこれらの課題すべてを調べ、我々が可能な限り最善の勧告ができるようにするために慎重 な討議をすることを望みます」。

 陸軍当局によると、陸軍規則600-20条は、指揮官に良好な秩序と規律に資しないシンボルを決定し、適切と判断した場合 は取り除くことを認めます。

 しかし、軍指揮官たちは、南部連合の旗が陸軍全体で禁止すべきかについて態度を決めるに至りませんでした。

 陸軍参謀長ジェームズ・マッコンヴィル大将(Gen. James McConville)は、彼とその他の上級指揮官は軍の民間人のリーダーシップに最善の軍事的アドバイスをせず、これらの問題に長期的な解決に向けて活動しているところ です。

 「特定のもののシンボロジーであれ、特定の基地がどうあるべきか検討するのであれ、我々はこれを行うための最善の方法につ いて確実にいくつかのアイデアがあります。そして、それを検討する余地は確かにあります」とマッコンヴィル大将はいいまし た。「私は我々はこれらの事柄すべてを検討する必要があります。……私は我々が必要とするのは、これらの問題について懸念す るすべての人々を一つに結びつける長期の、永続的な解決策だと考えます」。



 陸軍が先のデモ対応でトランプの意向と反対のことをしたので、これ以上、大統領と対立しない方がよいと判断したのか、単に 決め切れないのかは分かりませんが、とにかくも国防長官に問題を丸投げしたようです。

 エスパー国防長官もまた、デモ対応でトランプの逆鱗に触れ、解任されそうになったので、今回も大統領の意向を無視すると、 また解任の話が出るかもしれません。

 しかし、大統領選挙が迫っている現在、トランプはむしろ弱い立場にいます。今度、国防長官を解任したら、誰があとを継ぐと いうのでしょうか?。トランプの評価はすでに落ちるところまで落ちていて、ジョン・ボルトンの暴露本も出版されました。その 中で後任が決まらないのは致命的です。

 もはや、泥舟と化したトランプ政権ですから、エスパー長官もむしろ思い通りにやった方が賢明だと考えるかもしれません。ど うせトランプの再選はない。どの道、自分の任期は長くないと踏んで、解任覚悟で米軍をあるべき姿に置いた方が、政治家として よりよい結果を残せると考えるかもしれません。

 記事に、エスパー長官が規則を統一したいと考えていると書いてありますから、彼はそのつもりなのでしょう。

 


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