ベネズエラ政府転覆に元米軍兵士が関与?

2020.5.6
追加 2020.5.7 17:40


 military.comに よれば、ベネズエラ大統領のニコラス・マドゥロ(President Nicolás Maduro)は、当局が挫いたという社会主義指導者を逮捕することを目的とした海岸急襲の翌日、月曜日に当局が「傭兵」グループに同行する米国市民2人を逮捕したといい ました。

 マドゥロ大統領は国営テレビの国内放送で、氏名と誕生日が読み取れる2つの青いアメリカのパスポートをさらしました。彼は マドゥロが激しい2日間と呼んだものの中で収集した、攻撃者たちが乗ったとされる漁船と無線機と暗視ゴーグルのような装備の 映像を示しました。彼は攻撃がトランプ政権と隣国コロンビアに責任があるといいましたが、両国は関与を否定しています。

 「合衆国政府はこの敗北した急襲に十分に、完全に関与しています」とマドゥロ大統領はいい、プロのアメリカ人傭兵を一網打 尽にしたことで漁村のメンバーを称賛しました。

 高速ボートで上陸しようとした最初の2人を逮捕し、他8人を殺したとき、日曜日の夜明け前に、当局者は最初の攻撃がベネズ エラの港町、ラグアイラ(La Guaira)の海岸に対して始まったといいます。

 月曜日に逮捕された2人の米国市民は、元米特殊部隊兵士のルーク・デンマン(Luke Denman)とエラン・ベリー(Airan Berry)と分かりました。

 フロリダに拠点を置く元グリーンベレー、ジョーダン・グードロー(Jordan Goudreau)は月曜日早くに、彼は2人の男たちと共に、マドゥロを拘束してベネズエラを解放することを意図した任務で働いたことがあったといいました。グードローは この作戦の責任を主張しています。

 2人はイラクとアフガニスタンで米軍の中で彼と共に勤務したとグードローはいい、彼らはギデオン作戦(Operation Gideon)とよばれるベネズエラでのこの任務とするものの一部だといいました。狙いはマドゥロを拘束することでした。

 ベネズエラはマドゥロの統治の下で深刻な政治的経済的危機の中にあります。崩壊しつつある水道、電気と医療は約500万人 を移住へ追いやりました。しかし、彼を追放するためのアメリカが主導するキャンペーンにも関わらず、マドゥロは未だに権力の すべての手段を統制しています。マドゥロを麻薬密輸で起訴し、彼の逮捕に1500万ドルの懸賞金をつけました。

 ベネズエラとアメリカは昨年、膨れ上がった緊張の中で外交関係を破棄したので、カラカス(Caracas)に米大使館はあ りません。米国務省の当局者は月曜日、AP通信からのコメントの要請に答えませんでした。

 「私はすべてのレベルで私が知る者すべてを接触を試みました」と、拘束された仲間を助ける試みについてグードローはいいま した。「誰も電話に出ません。悪夢です」。

 ややこしい急襲についてのグードローの説明は、時々矛盾します。たとえば、彼は1ペニーも受け取っていないといいながら、 何ヶ月間か反乱を計画していたといいます。一方、自画自賛のマドゥロは、国家主権を完璧に守ったという映像を国営テレビで放 送して成功しています。

 アメリカ人の一人の母親のケイ・デンマン(Kay Denman)は、彼女が最後に息子の声を聞いたのは、明かされていない場所から彼女がどうコロナウイルスのパンデミックに対処しているかを尋ねるためにメールを書いた数 週間前だったといいました。彼女は息子がベネズエラのことを聞いておらず、彼の友だちがソーシャルメディアで報道を見たとき に電話したあとで、そこで拘束された可能性があることを知っただけだったといいました。

 「最初に私がグードローの名前を聞いたのは今日でした」と、テキサス州、オースティン(Austin)の自宅に連絡したと きに、彼女はいいました。

 グードローは、アメリカが支援するベネズエラ人の反体制派指導者、フアン・グアイド(Juan Guaidó)とマドゥロを打倒することで意見が一致したといっていて、グアイドは否定しています。反体制派指導者は、彼は日曜日の急襲について何もしていないといいまし た。

 グードローはグアイドは決して合意しなかったものの、元グリーンベレーは米退役軍人2人を含めた、たった60人の戦闘員で 資金不足の作戦を推し進めたといいます。

 彼は、彼らがベネズエラのカリブ沿岸に沿ってボートで漂流しているときに、デンマンとベリーと最後の通信を行ったといいま した。彼らは日曜日早朝のベネズエラ海軍との最初の戦いのあとで、まだボートに乗っていたと、彼はいいました。

 「彼らは燃料を危険なほど使い果たしているところでした」とグードローはいいました。「上陸していたら、彼らは隠れ家に 行ったでしょう」。

 グードローは、2人はカリブ海のアルバ島(Aruba)で、彼らを救出するのを助けるために緊急用の燃料を待っているとこ ろだったといいました。

 ベネズエラ国営テレビは手錠をかけられ、通りにうつ伏せに横たわる身元不明の男性数人の映像を示しました。ある映像は当局 者が手錠をかけたシャツを着ていない男を示しました。

 彼は1年前にマドゥロに反乱を起こした兵舎に加わった国家警備隊員、アントニオ・シクイア大尉(Capt. Antonio Sequea)と身元が特定されました。グードローはシクイア大尉は、数日のうちにベネズエラの地上で彼と共に活動する指揮官だったといいました。

 マドゥロの同盟者でタレク・ウィリアム・サーブ検事総長(Attorney General Tarek William Saab)は、彼らは襲撃未遂容疑で合計で114人の人々を逮捕し、その他92人を追跡しているといいました。

 青銅章を3回受勲している米軍の戦闘部隊の退役軍人であるグードローは、コロンビアからの命懸けの海上からの急襲を組織す るのを助けていたと主張します。グードローは、作戦はグアイドやアメリカやコロンビア政府からの支援を受けていなかったとい いました。

 反体制派政治家と米当局は、マドゥロの同盟者は国の問題から注意を逸らすために襲撃を捏造しているとの声明を出しました。

 グードローは電話で、月曜日の早朝、他52人の戦闘員がベネズエラの領域に潜入し、彼らの大義に参加する保安部隊の隊員を 徴用する任務の第一段階にあったといいました。

 金曜日に公表されたAP通信の調査は、グードローが隣国コロンビア国内の秘密の基地でベネズエラの保安部隊からの数十人の 脱走兵を訓練するために、現在はアメリカの麻薬密輸で起訴される、退役したベネズエラの陸将とともに活動していたことを見い 出しました。その目標は、マドゥロの逮捕で終了する国境越えの急襲をしかけるためでした。

 その後、democracynow.orgの 記事で、さらに作戦の詳細が分かったので追加します。

 マドゥロを追放する計画は、イギリスの億万長者リチャード・ブランソン(Richard Branson)がベネズエラの野党党首フアン・グアイドを支持するために主催したコンサートでグードローが警備を提供したときに始まりました。AP通信によると、グード ローはトランプの長年のボディーガード、キース・シラー(Keith Schiller)と関係があり、昨年5月にマイアミでグアイドの代表と会談したキースに同行しました。

 不満を抱いたベネズエラ軍、元警察官、脱走兵、マドゥロ政府の政敵が関与し、コロンビアで訓練を行い、2隻の船を空港と港 のすぐ隣のマクト(Macuto)に、もう一つをアラグア州(Aragua)のチュアオ(Chuao)に上陸させ、カラカス (Caracas)を占領し、大統領を拘束し、新政府を設立することでした。
 


 話に矛盾はありますが、2人の元米軍兵士が拘束されているのなら、急襲はあったのでしょう。グードローは金を受け取ってい ないという点では嘘をついていて、それ以外は本当でないと、兵士たちが逮捕された理由がつきません。グードローが嘘をつく理 由は分かりませんが、それはとりあえずは無視してよいでしょう。金はおそらく、麻薬密輸で起訴されているという元ベネズエラ 軍の陸将が麻薬で稼いで作ったものと考えられます。

 ベネズエラで昨年1月に反乱が起きていて、グアイドが「大逆罪」などで検察から逮捕されそうになっているのも既知の事実で す。一方、グアイドは約50カ国から暫定大統領として承認されていて、国際社会からの信任は厚い。クーデターの可能性は高 まっていました。

 2人が逮捕されたアルバ島はコロンビア国境から130km、首都カラカスからは400kmほどの場所にあります。アルバ島 は首都から離れていて変だと思ったら、そこは彼らが逃走して逮捕された場所だったようです。北端の海岸に上陸して、反乱部隊 と合流し、首都を目指す予定だったと考えられます。作戦の内容については、さらに情報を集めて分析をしたいと思います。

 最初の戦闘の模様が分かりませんが、単に洋上でベネズエラ海軍に発見されたのなら偶然の露見でしょうが、計画が漏れていた 可能性も考えます。コロンビアでの訓練がベネズエラ側に漏れているのかもしれません。

 米政府がどう動くのかが気になりますね。米国民が拘束されている以上、救出に動く可能性はありますが、それはベネズエラ内 戦に直接介入することにつながります。南米からの移民が大嫌いなトランプ大統領が、大量に発生するベネズエラ難民を受け入れ るとは考えにくい。それでも、米国民を保護しないと威信が失われるのも間違いありません。

 急速にベネズエラの政情に興味がわきました。今後、注視していきたいと思います。

 


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