新型コロナで米軍が医療用兵舎の削減を保留

2020.4.12



 防衛保健局(the Defense Health Agency)によれば、新型コロナウイルスとの戦いは、軍保健システム(Military Health System)の医療用兵舎を削減し、退役軍人を転換する議論の的となった計画を保留にしたとmilitary.comが 報じました。

 「我々は国を支援し……COVID-19と戦うための利用可能な資源のすべてを充てるための重点を移しているところです」 とDHA当局者は3月31日のMilitary.comへの声明でいいました。「我々は国の医療提供者を支援を提供するため に使える利用可能な医療施設、軍隊と隊員すべてを評価しているところです」。

 軍医療施設の管理を取って代わるために議会がDHAに承認した計画は、現役部隊を治療することにより多くの重点を置くため に「状態ベース」であることを意味していたと、当局はいいました。

 声明によると「変更は意図的に段階的な形で行われていて、場合によっては最大5年間にたたって行われ、受益者全員が優れた 医療ケアに途切れなくアクセスし続けるのを確実にします」。

 しかし、退役軍人にとって「それらのケアの場所は将来変わるかもしれません」と声明はつけ加えました。

 DHA当局は、完全に実行された場合、約18,000の医療兵舎が削減される結果になる計画を否定しませんでしたが、「医 療兵舎の削減は防衛保健局ではなく、軍隊によって行われています」といいました。

 さらに、変更は退役軍人全員に影響を与え、外部の医療提供者に殺到する結果となるかもしれないと、当局者はいいました。

 「事実、ケアを受ける場所について受益者の98%は変更をみないでしょう」とDHA当局はいいました。「残る2%に影響を 与える変更は、3年から5年の期間の間に慎重に段階的に行われ、患者は軍医療施設の医療提供者からトライケア・ネットワーク の提供者へ引き継がれるでしょう」。(トライケアは軍人向けの健康保険制度)

 DHAの声明に応えて、「the Military Officers Association of America: MOAA」は、状態 ベースの計画の実行方針は安心なものの、「MOAAは現在の軍保健システムの改革戦略を単純に停止するだけでは不十分だと信 じます」といいました。

 「COVID-19のパンデミックは政府、国の医療システム(国防総省、復員軍人援護局、高齢者向け医療保険制度とネット ワーク)全体と、潜在的には、将来の国家規模の医療機器における国防総省の新しいビジョンが学んだい多くの教訓を生むでしょ うと、MOAAの保健問題担当、カレン・ルディスエリ(Karen Ruedisueli)は声明でいいました。

 「この危機が過ぎ去ったとき、我々はCOVID以前の軍保健システムの評価で設計された改革を単純に前へ進めることはでき ません」と彼女はつけ加えました。「現在の状況は、COVID-19の国家による対応の完全な評価が行われ後で、医療提供者 の兵舎と軍病院、診療所の能力を削減するすべての計画を再考することを求めます」。

 2月19日の議会への報告の中で、DHAは計画の下で再編成されるために指定された50の施設の内、すべての受益者のため に開院している37の外来診療所は、最終的に現役隊員のみを中心に診るだろうといいました。

 「これらの施設で現在治療を受けている現役兵士の家族、退役軍人とその家族は、時間の経過とともにトライケアの民間医療提 供者ネットワークへ転換されるでしょう」と報告は述べました。

 軍保健システムの総点検のためのDHAの計画は議会と国防総省自体の中で懸念を呼んでいます」。

 国防総省副長官、デビッド・ノルクィスト(David Norquist)への12月の覚書の中で、ライアン・マッカーシー陸軍長官(Army Secretary Ryan McCarthy)は、DHAによる「転換に関する実績と計画の欠如」に疑問を呈しました。

 1月15日、記者との国防担当記者朝食界でマッカーシー長官は、計画の実行における「動きが速すぎ、台無しにするかもしれ ない」と警告しました。

 軍人とその家族のための医療施設を削減する計画が新型コロナウイルスの影響で、保留にされるかもしれないとの報道 です。ウイルスの影響を実感させられる話です。不思議なのは、アメリカではこういう大きな動きがあるのに、日本ではみられな いことです。しかし、「医療崩壊」という言葉だけは両国に共通して叫ばれていて、この「医療崩壊」の切迫度は同じように見え るのが疑問です。

 

 


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