米でコロナウイルスに病院船活用の問題

2020.3.19


 military.comに よれば、米海軍は急速に拡大する新型コロナウイルス危機に激しく襲われた地域へ病院船を送る準備をしていますが、ニューヨー クに向かう一隻はそこで活動するのに数週間準備が整わないだろうと、国防当局者はいいました。

 ドナルド・トランプ大統領(President Donald Trump)は水曜日に、海軍の二隻の病院船は、アメリカの医療施設に対するストレスを緩和わせるために、すぐに東海岸と西海岸に配置されるだろうといいました。医師と専 門家は、アメリカの病院はすぐに突然に増えたコロナウイルスの症例によって圧倒されるだろうと警告しています。

 アメリカにおけるコロナウイルス陽性の症例は、7,000件以上に急増しています。呼吸困難と臓器を攻撃する、 COVID-19と名づけられたウイルスで110人以上のアメリカ人が死亡しています。

 バージニア州を拠点とするコンフォート号(Comfort)は、2,300人以上のコロナウイルス症例があるニューヨーク へ向かうことになっています。サンディエゴに拠点を置くマーシー(Mercy)は西海岸の未定の場所へ向かいます。トランプ は病院線のマーシーとコンフォートは現在準備中で、来週くらいに出発するだろうと言いました。

 しかし、コンフォートは現在、ノーフォーク州で整備中だと、国防総省報道官のジョナサン・ホフマン(Jonathan Hoffman)はいいました。指揮官たちは作業を急ぐために活動中ですが、それは完了するために数日ではなく、数週間かかりそうだと、彼はいいました。

 「少々時間がかるでしょう」とホフマンはいいました。

 マーシーは数日内に西海岸沿いの某所へ派遣する準備ができるでしょう、と彼は付け加えました。準備が整い次第、どこへ送る かを決定します。

 各船は1ダースの完全装備の手術室があり、1,000床のベッド、検査室、薬局、酸素生成装置を収容できます。

 「巨大な船で、側面に赤十字のマークを付けた大きくて白い船だ」とトランプは水曜日のコロナウイルスのアップデートでいい ました。「……申し分のない形をしています。すぐに到着するでしょう」。

 米軍はそれぞれの船を人員配置のレベルで評価していると、統合参謀本部の外科医のポール・フリードリッヒ空軍准将 (Brig. Gen. Paul Friedrichs)は記者にいいました。国防総省は、船が適切に配置されるように、必要性を評価するために、地元の指揮官と共に活動しているところだと、彼は付け加え ました。

 「目的は船がコロナウイルスではない患者を連れていくために使われると、我々は理解しています。それをするために我々のス タッフが最善に配置され、組織されます」と准将はいいました。「そういう状況なら、我々は地元の指導者から学んだことに基づ いて、人数とスタッフの構成を調整します」。

 最も早く動員して、派遣できるので、乗員は現役隊員を含むことになりそうだと、ホフマンは付け加えました。

 コロナウイルスのおかげで、日本でも病院船の議論が出ています。しかし、この記事が明らかにするように、船は定期 的に整備が必要で、その最中に必要性が生じた場合は使えません。つまり、最低でも数隻は用意しないと意味がないということで す。

 日本で行われている議論は、コロナウイルスの患者が一般の病院にいると院内感染とか厄介な問題があるから、病院船に乗せて 沖合に出してしまえば安心だという、要は「厄介払い」の理屈に見えます。しかし、アメリカではコロナウイルスではない患者を 収容して、陸上の病院にはコロナウイルスへの対処に専念してもらう方針です。

 病院船へ患者を搬入するには、車で運んで港で乗せるか、ヘリコプターで運ぶかのいずれかです。船が沖合にあるときには、ヘ リコプターしか使えず、船にヘリポートは一つしかないので、一度に運べる患者は限られます。

 船の整備などの費用面も問題になるでしょう。

 日本の病院のほとんどは大規模な感染患者に対応するようにできていません。すべての通院者が同じ入口から入ることを強いら れ、待合室で感染する危険が常にあります。

 大きな病院の駐車場の一角に、臨時のテントを建てて、そこで疑わしい患者の検査を行うような方法の方が病院船よりも現実的 です。テントの中は減圧し、排出する空気は消毒するようなシステムが必要です。そこで陽性になった人を収容して治療する施設 を造っておくしかありません。

 自衛隊病院が多くのコロナウイルス患者を受け入れて回復させながらも、院内感染が起きていない事実からも、設備と訓練があ れば対処できることは明らかです。日本の医療は最初から医療崩壊していたといわざるを得ません。

 その結果、PCR検査を極力行わないという、愚かな方針がとられました。WHOは、疑わしい事例はすべて検査するよう求め ているのにです。

 日本の医療は、医療関係者が儲かるためのシステムであって、この程度の伝染病に対処する体力すらありません。

 医療体制の改善こそ、真っ先にやるべき課題です。病院船の議論は忘れるべきです。

 

 


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