ナチスのフレーズ引用で徴募指揮官が停職へ

2019.8.28


 military.comに よれば、米陸軍の徴用部の指揮官が、より多くの新兵の契約を取るよう徴募官たちを鼓舞するためのメモの中で、第2次世界 大戦の死のキャンプの入り口に吊るされた悪名高いフレーズを用いたとされて停職となりました。

 ツイッターのアカウント「Truth of Army Recruiting」は最近、「Arbeit Macht Frei(Work Will Set You Free)」というフレーズを含むメモのスナップ写真を投稿し、徴募官たちに新兵を軍へ連れてくることに対して休暇を約束しました。

 メモの中で中隊指揮官は「契約1件=土曜日の勤務なし」「契約2件=中隊に1日休み授与」と約束したとされます。

 「6契約かそれ以上で……君は神であり、君のために神殿を建てる」とメモは読めます。

 「Task and Purpose」とニューズウィーク誌が8月22日に停職について最初に報じました。

 このメモは、陸軍が今年度の徴用目標を達成するのにあと数週間というところで明らかになりました。昨年、目標には兵 士約6,500人が足りませんでした。

 「Arbeit Macht Frei」という言葉はもともと、1940年にポーランドに設けられたナチスの強制収容所、アウシュビッツ収容所入口の上に展示されました。歴史家によれば、「アウシュ ヴィッツ=ビルケナウ強制収容所(Auschwitz-Birkenau)」としても知られ、巨大な施設は第2次世界大 戦中に110万人が死んだとされるサブキャンプ40ヶ所で構成されました。

 同局の声明によれば、「米陸軍徴用部はヒューストン地区の徴用中隊指揮官が送ったメモについて承知しています。指揮 官は状況の調査の結果が出るまで停職処分となりました」。

 「陸軍徴用指揮官たちは調査が完了して、すべての事実が分かれば、適切な行動をとるでしょう。個人が軍隊に入隊した ら、彼らは高いモラルと倫理規範を守ります。我々の価値観に従って行動しないのを選ぶ兵士たちは、行動について責任を問 われます」と声明は続けました。

 昨年10月、陸軍は22ヶ所の主要都市を狙い、約700人の新しい徴募官を通りに配置する大規模な新しい徴用戦略を 開始しました。

 7月、陸軍指揮官たちは、彼らは軍隊が9月30日までに68,000人の新兵を採用する徴募目標を達成することを確 信していると言いました。

 より多くの街により多くの徴募官に加えて、陸軍は新しいビデオ映像とZ世代の若者に届くミームを作り、ソーシャルメ ディア上での存在も増やしました。

 陸軍は、トランプ政権が効果的でない2016年度中のマーケティング計画の数百万の金を発見した内部監査に対応し た、約9ヶ月後に来た大きな改革の結果、シカゴへマーケティング・オペレーションを移しているところです。


 こんな風に米軍は軍の「価値観」に合わない行動をする者を常に処罰します。

 自衛隊はどうなんでしょうか?。こういうことで処罰された人は過去にいたでしょうか?。空幕長を務めた田母神 俊 雄氏は、第2次世界大戦を肯定する論文を書いて解任されましたが、空幕長がこういうことをするのだか ら、それが航空自衛隊の「価値観」ということでしょう。

 その伝統は引き継がれてていて、最近も航空自衛官の中に路上で国会議員にタメ口を叩いたのがいました。しかし、彼は とても軽い処分で終わりました。

 田母神氏も防衛大臣が解任したのであって、航空自衛隊の規則によっての処罰ではありません。

 つまり、自衛隊は「自衛官には表現の自由があるのだから、民間人と同じように自由に発言できる」と考えているし、そ ういう規則になっているということです。

 残念ながら、これは世界の軍人たちから笑われてしまうことです。軍人の表現の自由は制限を受けるのが当たり前です。 井の中の蛙、大海を知らず。他の軍隊なら直ちに休職、軍事裁判にかけられ、軍刑務所に送られて、最後には軍隊から放り出 されるのが常識です。

 そもそも、自衛隊の「価値観」は何なのでしょうか?。そんなものがあるのでしょうか?。自衛隊の中で議論されたこと はあるのでしょうか?。単に任務に邁進するのが価値観だというのなら、それは「不十分」というものです。

 私には、自衛官の価値観は「自民党に従っていれば間違いはない」というくらいしかないのだろうと考えています。そし て、その価値観は、いまやネトウヨ化していて、韓国や中国を下に見て、アメリカに従っていれば間違いがないと信じている ように思われます。これも、自民党に従うことと意味は同じですけど。

 価値観はない。任務に邁進することだけが価値観だという自衛官しかいないのなら、それはすでに目的を見失った自衛隊 しかないということです。

 


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