次期統合参謀本部議長もTGを支持

2019.7.13


 military.comによれば、陸軍参謀長マのーク・ミレー大将(Gen. Mark Milley)は、現在の制限を守って派遣の基準に合うならば、トランスジェンダーの人が軍隊に入ったり、勤務を続けることは問題ではないといいました。

 「私は軍隊で勤務することを妨げるために誰かのアイデンティティに固有のものがあるとは思いません」と、次の統合参謀本部議長になるための上院軍事委員会の指名承認委員会でいいました。「それは基準であってアイデンティティではありません」。

 メイジー・ヒロノ上院議員(Sen. Mazie Hirono・民主党・ハワイ州選出)からの質問に、ミレー大将はトランスジェンダーの人に対する現在の制限政策の解釈に微妙な意味合いを持たせました。それは彼をドナルド・トランプ大統領(President Donald Trump)と対立させかねません。

 「私見では、ご指摘のとおり、我々は基準に基づく軍隊です」と彼はヒロノ上院議員にいいました。「我々はすべとの隊員の派遣が可能かと有効かを考慮します」。

 「医療・行動保健学、行動基準、肉体的基準などに合致すれば、入隊は歓迎されるべきというのが私の意見です」とミレー大将はつけ加えました。

 オバマ政権下(Obama)で、トランスジェンダーの人は公に志願し、勤務し、別の性へ転換することを選ぶなら治療を受けられました。

 2017年7月、トランプはオバマの政策を完全にひっくり返そうとしていると発表しました。一連のツイッターのコメントの中で、彼はアメリカは「米軍のトランスジェンダーの人がどの立場でも勤務することを受け入れたり、認めない」といいました。

 統合参謀本部議長のジョセフ・ダンフォード大将(Gen. Joseph Dunford)はすぐにトランプの発表にブレーキをかけました。

 「大統領の決定が国防長官(ジム・マティス Jim Mattis)が受け取り、実施ガイダンスを出すまで現在の政策に変更はありません」とダンフォード大将はトランプの発表の翌日に軍の参謀長と先任下士官の顧問へのメモの中でいいました。

 マティス長官は起草を命じ、それは2018年4月に施行されました。その前に、ミレー大将とその他の軍の参謀長は下院と上院の軍事委員会への証言で、オバマの政策に問題はないと明言しました。

 ある公聴会で、ミレー大将はクリステンセン・ギリーブランド上院議員(Sen. Kirsten Gillibrand)に、陸軍参謀長として、彼はトランスジェンダーの人が起こした、団結、訓練、規律に関する問題はまさにゼロだという報告を受け取っていたといいました。

 新しい政策の下で、彼または彼女の生物学的性別に関連した基準を含む該当する基準を守れないか、その意思がないか、もう一つの性への転換しようとする場合、隊員は性別違和感に基づいて除隊させられることがあります。

 政策は一般的にトランスジェンダーの兵士と軍の徴募官をもう一つの性へ転換することを一般的に禁止し、大半の個人が生まれながらの性で勤務することを必要とします。

 ホルモン治療を受けたり、すでにもう一つの性へ転換した性別違和感を持つ人たちは志願を禁じられます。

 木曜日の証言で、ミレー大将は政策について「なにより、民間社会の人たちは軍隊に入ろうとすることができて、陸軍隊員、海軍隊員、空軍隊員、海兵隊員になれるので、禁止はされていません。プロセスの中に入ると、医学と肉体的試験などを受けるでしょう」。

 「トランスジェンダーと特定されると、医学的状態の性別違和感を持つ場合はウェーバーを申し込めます。このウェーバーは、他の医療ウェーバーと似ていて、彼らが基準に合致するかを判断するために、医療の専門家による評価を受けることになります」。

 トランスジェンダーの人の軍隊での勤務に関する委員会への別の書面での回答の中で、ミレー大将は「陸軍で勤務するトランスジェンダーの個人に基づく重要な影響は承知しません」といいました。


 この記事を読んでも、明らかに軍の指導層はトランスジェンダーの人が軍隊に入ることを望んでいます。数年前からトランスジェンダー解禁に向けて調査研究を行い、禁止する理由がないとの結論が出ています。それを大統領が気に入らないと撤回したのですから、軍の大統領に対する感情はかなり悪くなったはずです。

 マティス長官の辞任も、直接的には同盟国に対する考え方の違いが理由でしたが、その前に、意に反してトランスジェンダー禁止の政策を施行させられたことがありました。マティス長官にとって、これ以上、意に反することを命じられるのは許容できなかったと思えます。

 米軍はトランスジェンダーの隊員を再び入隊させたいので、今後、さらに大統領と対立していくでしょう。内心、米軍高官たちは議会の力を借りたいのです。立場上、大統領には反対しにくいので、議会の力で大統領命令をひっくり返して欲しいのです。また、この件に関して何件か起きている裁判の結果にも期待しているはずです。

 近い将来、統合参謀本部議長がこの問題を理由に辞任、または大統領が議長を解任する事件が起きるかもしれません。普通、後者の方がアメリカ社会に与える影響は大きくなります。大統領は自由に将軍を解任できますが、そのために強い批判を受けることがあります。

 この問題には、さらに注目していく必要があります。

 


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