違いすぎる日米の訓練環境 
                                  
                                    2019.6.26 
                                   
                                  military.com によれば、数百人の海兵隊員はこの夏、大都市訓練センターでイギリス軍兵士と合流します。そこは技術に精通した敵と民間人でいっぱいの人が多い街で戦う海兵隊員の能力を試すでしょう。海兵隊の作戦コンセプト (the Marine Corps' Operating Concept)」は、軍が市街中心部で戦うために配置されず、訓練されず、装備されていないことを見出したと、エドワード・レスリー少佐(Maj. Edward Leslie)はMilitary.comに言いました。
                                  次世代の戦闘 
                                  
                                  過去の体験への積み重ね 
                                   海兵隊員は市街戦に馴染みがありません。
                                   訓練センターの面積は東京ドーム約87個分です。センターの映像がありました。                                  
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                                        図は右クリックで拡大できます。
 
                                    
                                   
                                    基地の管理棟がたくさん並んでいるのではなく、それぞれのほとんどが典型的な建物を模した訓練施設です。住宅地、高層階の建物、鉄道駅、工場、破壊されたり水没した家屋などが並んでいます。研修に来た部隊が宿泊する兵舎もあります。さらには広大な空き地があって、そこでは航空機の墜落現場が再現できるように、本物の航空機が用意されています。
                                   高額の費用をかけて建設しているわけですが、訓練は実戦に近い形で行う方が効果があるとの考えから、本物そっくりの建物を用意しているのです。陸上自衛隊も全国各所に市街地訓練場を建設しています。宮城県にある王城寺原演習場の写真を見ると、数棟の建物が並ぶだけの訓練施設であることがわかります。これだと、単一の建物への突入訓練はできても、市街地での戦術を学ばせることはできないということになります。まして、地下道の移動などはできないでしょう。
                                  
                                    
                                      
                                         
                                      
                                        図は右クリックで拡大できます。 
 
                                    
                                   
                                   東富士演習場の市街地訓練場のビデオ映像を見ると、この建物が単なるコンクリートとブロックで造られていて、色も塗られていないことがわかります。ホテルを模したらしい建物のドアには「客室2−4」という表示がありますが、本物のホテルなら、こういう表記ではないでしょう。
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                                   こういうところに日米の訓練の考え方の違いが出ています。米軍は過去の経験をもとにそれを訓練場に再現して、新しい戦術の研究のためにも使います。日本の場合、その目的がよく分からない。単なる予算の問題ではなく、考え方の問題だと思うのです。