タンカー攻撃の記事の続報

2019.6.19


 BBCは新しい情報が入ると、過去に掲載した記事を更新します。BBCのタンカー攻撃の記事が更新されているようなので、もう一度、読んでみました。

6月13日に何が起きた?

 マーシャル諸島船籍のフロント・アルタイル(Front Altair)とパナマ船籍のコクカ・カレイジャス(Kokuka Courageous)は、爆発で揺り動かされたとき、両方ともホルムズ海峡を通過したあと、国際水域をとおって南東へ航行しているところでした。

 米海軍は、03時12分(GMT)にイランの沿岸から19海里(35km)南で攻撃を受けたというフロント・アルタイルからの連絡を受け、コクカ・カレイジャスは04時00分(GMT)にイラン沖21海里で攻撃を受けたと報告しました。

フロント・アルタイル

 タンカーは75,000トンのナフサをアラブ首長国連邦から台湾へ運んでいるところでした。所有者のノルウェー企業フロントライン(Frontline)は船上で爆発が起き、火災を起こしたと言いました。船上の乗員23人は怪我をせず、貨物船ヒュンダイ・ドバイ(Hyundai Dubai)に救助されたと、同社はつけ加えました。彼らはその後、イラン海軍艦でジャスク港(Jask)へ運ばれました。

 フロントライン社はタンカー船上の火災は緊急対応者により事件の1時間以内に消され、海洋汚染は報告されなかったと言いました。

 イランのメディアが公表した写真とビデオ映像はフロント・アルタイルの右舷の火事と、その上へそびえる黒煙の大きな列を示しました。

 衛星写真企業「Iceye」は、同社のデータが6月14日に海上の船の周辺に少なくない量の石油があったと言いました。

 フロントライン社は爆発の原因は不明のままながらも、機械や人的なエラーで起きた可能性を排除していると言いました。

 フロント・アルタイルをチャーターしていた台湾の国営石油精製会社「CPC Corp」は当初、船は「魚雷攻撃を疑った」と言いました。ヒュンダイ・ドバイの船長もフロント・アルタイルの船長が爆発は魚雷攻撃の結果だと考えたと救難連絡で報告しました。

 船の船体の損傷のクローズアップ写真は公表されていませんが、火事の消火を手伝ったタグボートの乗員は喫水線の真上に巨大な穴があったと無線がいうのを聞きました。

 米軍は、米航空機がイランのイスラム革命防衛隊(IRGC)のヘンディジャン級警備艇(Hendijan)と数隻のIRGC高速攻撃艇が05時09分(GMT)にフロント・アルタイルの周辺にいるのを観測したと言いました。

 米軍はイラン当局がヒュンダイ・ドバイにIRGC高速攻撃艇へ「乗員を引き渡せ」と要請し、ヒュンダイ・ドバイが要請に応じたことも報告しました。

 フロント・アルタイルは6月16日にアラブ首長国連邦のホール・ファッカーン港(Khor Fakkan)へ曳航されました。そこで、損傷が評価され、ナフサの移動が検討されるでしょう。

コクカ・カレイジャス

 タンカーの管理者「バーンハード・シュルテ船舶管理(Bernhard Schulte Shipmanagement)」は、船は「安全上の事件」に引き続いて右舷側の船体に損傷を受けていたと言いました。機関室の火事もあり、二酸化炭素で消火されました。

 乗員21人は予防措置として船を避難し、オランダのタグボート、コスタル・エース(Coastal Ace)に引き揚げられました。彼らは後に、誘導ミサイル駆逐艦USSベインブリッジ(USS Bainbridge)に移されました。同艦はコクカ・カレイジャスの救難連絡に応答した後、近くにいました。乗員1人が事件で軽傷を負い、ベインブリッジ艦上で応急措置を受けました。

 乗員は後にコクカ・カレイジャスに戻り、非常用動力を復活させました。

 タンカーは6月16日に安全にアラブ首長国連邦のカルバ港(Kalba)に到着しました。損傷の評価と船の貨物の移動の準備が港湾当局が標準の安全確認を完了したら実行されるだろうと、バーンハード・シュルテ船舶管理は言いました。

 同社はコクカ・カレイジャスの損傷の原因を推定しませんでした。しかし、船の所有者、日本の国華産業(Kokuka Sangyo)の社長は、乗員が救助される前に3時間の間隔で2回の爆発で攻撃されたと報告しました。

 堅田豊氏(Yutaka Katada)は6月14日、彼はタンカーが「飛翔物」で攻撃されたと考えると記者に言いました。

 「乗員は我々に何かが船に飛んできて、彼らが穴を見つけたと言いました」と彼は言いました。「それから、数人の乗員が2番目の発射を目撃しました」。

 堅田氏は米軍が粒子が荒いモノクロのビデオ映像を公表し、それが6月13日13時10分(GMT)にIRGCのガシュティ級警備艇がコクカ・カレイジャスの右舷、船体中央部の喫水線の上に取りつけられた「不発のリムペットマイン」を取り外したのを示すと言った後に話しました。コクカ・カレイジャスの乗員は機雷が発見された後に船を避難したと、彼はつけ加えました。

 6月17日、米軍はその主張を裏付けるために、隊員が撮った数枚のカラー写真を公表しました。

 新しい写真の1枚は、「IRGC警備艇の乗員によって不発のリムペットマインが取り除かれた後に残されたアルミニウムの緑色の複合材料を示すというものを示しました。

 機雷をそこへ取りつけるために使われたクギによって作られたとされる穴も見えました。

 別の写真はコクカ・カレイジャスの船尾の喫水線上1メートルの船体の損害を示し、それは軍が1.1m☓1.5m(3.6ft☓4.9ft)と測定し、リムペットマインの攻撃と合致すると言いました。


 コクカ・カレイジャスの飛来物は2回目の攻撃のときに目撃されたと記憶しましたが、この記事を読むと2回とも目撃されているようです。

 米軍が公表した写真に見える緑色の物体はリムペットマインから外れた磁石でしょうね。丸い磁石がいくつも爆弾の外縁についているが、ひっぱったときにひとつが外れたようです。クギの穴はよく写真ではよくわかりません。茶色の丸い円の部分のことでしょうが、そうだと確信はできません。

 飛来物が船体に磁石で貼りつくことは考えられないので、タンカー乗員の目撃は誤認かもしれません。しかし、証言をもっと詳しく聞きたいものです。どの方角から、どんな物が、どれくらいの速度で飛んできたのかは、まったくわかりません。

 とりあえずは、ここまで。

 

 


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