北極星3号に関する記事

2019.10.7


 military.comが先日の北朝鮮による弾道ミサイル発射に関する記事を掲載しました。その中から性能に関係する部分だけを紹介します。

 北朝鮮が潜水艦発射弾道ミサイルと説明する北極星3号(Pukguksong-3)の水曜日のテストは、昨年早くにアメリカとの交渉がはじまってから北朝鮮の最も注目を浴びる兵器の発射です。一部の専門家は北朝鮮がアメリカに交渉が再び失敗したら何が起きるかをみせようとしたといいます。

 朝鮮中央通信社(KCNA)はミサイルが潜水艦や艀やその他の水中の打ち上げプラットフォームから発射されたかどうかは詳しく述べませんでした。北朝鮮の写真は上昇し、海から煙の上に輝く火炎ミサイルを吐くのを示しますが、打ち上げプラットフォームは特定できませんでした。

 ソウルの極東問題研究所(Institute for Far Eastern Studies)のアナリスト、キム・ドンヨブ(Kim Dong-yub)はフェイスブックに、ミサイルは水中発射のために造られた艀から発射されたようだといいました。彼はミサイルは開発中で、配備する前に潜水艦から試射されなければならないといいました。韓国国防部は、北朝鮮のミサイルは最大高度910キロで、約450キロ移動したといいました。国防部当局は、ミサイルはここ数ヶ月で北朝鮮が試射した他のどの短距離兵器よりも高く飛んだといいました。

 KCNAは垂直モードで打ち上げられ、試験は隣国の安全保障に敵対的な影響を持たなかったといいました。標準の軌道で発射したら、ミサイルは1,500~2,000キロを飛んだとキムはいいました。彼は北極星3号は中距離ミサイルだといいました。北朝鮮はアメリカとの交渉に入ってから中距離―長距離をテストしていません。

 北極星は北朝鮮の兵器庫の中の固体燃料ミサイルです。北朝鮮は北極星1号を2016年に水中プラットフォームから初めて打ち上げ、その時に金正恩は「完全な核攻撃能力」を得たといいました。一年後、北朝鮮は地上配備型の北極星2号の試射を行いました。

 そうした発射は対応に足りるだけ早くに探知するのは難しく、北朝鮮が潜水艦からミサイルを発射する能力を持つことは、アメリカとその同盟国にとって脅威です。固体燃料の使用は兵器の機動性を増します。


 北朝鮮が潜水艦発射型の弾道ミサイルを開発していることは、以前から知られているところです。その脅威はアメリカではなく、日本と韓国に向けられます。

 潜水艦による発射を防ぐ手は十分にあります。こちらも潜水艦で北朝鮮の潜水艦を追跡しているからです。弾道ミサイルを搭載した潜水艦が出港したら、日韓米いずれかの潜水艦が探知します。攻撃して撃沈することは容易です。

 しかし、今回、自衛隊が探知を十分にできなかったのは、イージス艦を日本海に配備していなかったためと報じられています。 その理由が、最近、ミサイルの発射が減っているからだというのですから呆れます。

 以前にも、テポドン2号が1段機体が爆発して落下したときも、2隻もイージス艦を派遣しながら、1隻を日本海と沖縄付近に配備したために、軌道を探知できませんでした。間抜けもよいところです。北朝鮮は南に向けて発射すると発表しており、韓国は領海内に入らなければ海自艦が領海付近まで接近してもよいと声明を出していたのに、東京にテポドンが向かう可能性があると考えて、無用な場所に配置したのです。あまりにも低い高度で墜落したため、沖縄沖のイージス艦は軌道を探知できませんでした。

 こんなことをやっている自衛隊ですから、潜水艦発射ミサイルが完成しても、大したことはしないかもしれません。

 防衛省も、日本に脅威はなかったなどと、適当なコメントしか出していませんから、本当に不安です。通常兵器では北朝鮮を恐れる必要はありませんが、彼らが本当に使える核ミサイルを完成させたときのことは、日本国民に十分に知らされていません。

 


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