シリア撤退で大統領と国防大臣の見解が交錯

2019.10.21

 military.comに よれば、米軍がシリア北東部から急ぎ、雑然とした撤退をしたとしても、アメリカはいくらかの兵士をこの地域の油田の安全を守 るために残し、それらが武装勢力のイスラム国の手に落ちないようにするのを確実にすると、月曜日にマーク・エスパー国防長官 (Defense Secretary Mark Esper)は言いました。

 国防総省のチーフは、この計画はまだ議論の段階にあり、ドナルド・トランプ大統領(President Donald Trump)に示されていないと言いました。トランプは繰り返して、イスラム国は打倒されたといい、クルド軍のためのアメリカの支援を、中東から兵士を帰国させる、より大 きな目的の一環だと表現しました。

 エスパー長官はシリア東武から少数の兵士を残す提案は、大統領に修正の余地を与えるためで、最終決定されていないと強調し ました。

 「それを行う可能性についての議論がありました」とエスパー長官は、サウジアラビアに向かう前、アフガニスタンでの記者会 見で言いました。「人数やそれに類する決定はありません」。

 そうした計画が検討中であるという事実は、基本的にアメリカの同盟のクルド郡を押し戻すため、国境地域へのトルコ軍の侵攻 に道をひらく、政権が米軍を引き換えさせる突然の決定への大統領の共和党の同盟議員からの厳しい批判の中、全般的な戦略を未 だに整理しようとすることの、もう一つの兆候でした。

 ホワイトハウス当局は、共和党のリンゼイ・グラハム上院議員(Sen. Lindsey Graham)は、油田を守るためにシリア東部に米軍を維持する問題を提案し、トランプ大統領はその考えを支持したといいました。当局者は内部的な議論を話すために匿名で 話しました。

 エスパー長官は、主要な目標はイスラム国は油田の支配とそれらが生む利益を得ないのを確実にすることだと言いました。

 国防長官は、コバニ(Kobani)周辺の米兵は撤退しており、アメリカは撤退が進行しているときにシリアで米軍上空の戦 闘航空警戒を続けていると言いました。彼はアメリカは最近交渉された停戦を監視するために、可能な限り上空の偵察を用いてい ると言いました。

 トランプが中東での「終わりのない戦争」からアメリカ人を帰国させていると言っていますが、エスパー長官はシリアを去る米 兵はイラク西部へ行き、米軍はイスラム国グループに対する作戦を続けるだろうと言いました。

 土曜日にアフガニスタンに到着する前にエスパー長官が概説した計画によれば、兵士は帰国せず、アメリカは不穏な中東から去 ろうとしていません。イスラム国に対するシリアでの戦いは、かつてはトランプが捨てたアメリカの同盟のシリア系クルド人が先 頭に立っていましたが、隣国のイラクから米軍が引き受けるでしょう。

 エスパー長官は米軍がイラクからシリアへ対テロ任務を行うという考えを排除しませんでした。しかし、彼は同行の記者たち に、こうした詳細は徐々に答えが出るだろうと言いました。

 それなのにトランプは「米兵は戦闘・停戦地域にはいない。我々は石油の安全を確保した。兵士たちを帰国させろ!」とツイー トしました。

 共和党の大統領は先週、ワシントンはシリアでイスラム国の過激派に対して戦ったアメリカ人のパートナーとして数千人が死ん だクルド人戦闘員を守ることで賭けはしないと宣言しました。トルコは停戦の前にクルド人戦闘員に対してシリア北東部で1週間 の攻勢を行いました。

 「我々にとっては家に変えるときだ」とトランプはいい、シリアのその部分から米兵を取り除くことを擁護し、イランに対して 王国を守るのを助けるために、より多くの兵士と装備品をサウジアラビアへ送る彼の決定を称賛しました。

 それよりも早いエスパーの同行した記者へのコメントは、彼らがシリアから転進するときに米兵がどこへ行くか、対イスラム国 の戦いがどのようなものかをはっきりと説明した最初のときでした。エスパー長官は、彼がイラクのカウンターパートと約 1,000人の兵士をシリアからイラク西部へ転進させる計画について話したと言いました。

 トランプが言うように兵士が帰国しようとしていない事実について尋ねられたトランプの大統領首席補佐官代理、ミック・マル バニー(Mick Mulvaney)は、「はい、いずれはするでしょう」と言いました。彼は「Fox News Sunday」に「彼らを危険から話す最速の方法は、彼らをイラクに行かせることです」といいました。

 トランプは、トルコのレジェプ・タイップ・エルドアン大統領(President Recep Tayyip Erdogan)が、軍隊がトルコがテロリストと考えるクルド軍を押し返すためにシリアへ侵攻することになったと電話で明らかにしたあとで、シリアの約1,000人の兵士 の大部分を撤退させるよう命じました。

 撤退は数年間米軍とともにイスラム国と戦ってきたアメリカのクルド人の同盟をほとんど見捨てました。200〜300人の米 兵はシリア南部のアル・タンフ(Al-Tanf)の前哨基地に残ります。

 アメリカはイラクに2国間の合意の下に5,000人以上の米軍を持ちます。アメリカはそこでの戦闘作戦が終わった2011 年にイラクから兵士を引き上げましたが、イスラム国が2014年に国の広範な一帯を支配し始めたあとに戻りました。イラクの 米軍の数は、一部のイラク人が2003年に始まった戦争の間にアメリカが占領したと考える何年もあと、国内の政治的に微妙な 問題のために少数のままです。

 エスパー長官は来週、対イスラム国任務の方法を話すためにNATOの会合で他の同盟国と会談すると言いました。

 米特殊作戦軍がイスラム国を追跡するためにシリアで片側的な軍事作戦を行うのかと尋ねられ、エスパー長官は、それは同盟国 とそのうちに議論するであろうオプションだと言いました。

 日曜日、米下院議長、ナンシー・ペロシ(Nancy Pelosi)は、シリアで深まる危機について話すために、米議員にグループにヨルダンを訪問させました。

 ヨルダン国営通信社は、アブドラ二世国王(King Abdullah II)はアメリカ人との会談の中で、シリアの領土的統合を守り、難民が安全で自主的な帰還を保障することの重要性を強調したと言いました。
 トランプの思いつきの決定のおかげで、現場が混乱しているのがよく分かる記事です。

 エスパー長官がやろうとしているのは、大統領の体面を保ちながら、ダメージを最小限にすることです。大統領の命令どおりに 動いているように見せかけながら、できるだけ以前の体制から変わらないようにすることです。

 こんな体たらくで、まともな外交政策など行えるわけもなく、プーチン大統領の高笑いが聞こえてくるようです。オバマ政権で は、こんな支離滅裂は起こりませんでした。見ているものがまったく違います。

 


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