マティスがシリア撤退を批判

2019.10.15


 military.comによれば、元国防長官のジム・マティス(Jim Mattis)は日曜日、米兵たちが戦い続ける同盟者を置き去りにするよう強いられて、シリア北部から撤退するよう命じられたことで士気が落ちることを認めました。

 撤退からくる軍の士気への影響について尋ねられ、マティスはNBCの「Meet the Press」で、「我々は常にこれを懸念しなければならない」と言いました。

 イスラム国に対する戦いで米兵とともに戦ったシリア民主軍はいまや、米軍の撤退に引き続いた侵攻するトルコ軍に直面しています。

 「我々は戦線において、そして国防の観点から意味をなす政策を持たねばなりません」とマティスは言いました。

 退役した海兵隊大将は、外見的にはシリア民主軍を見捨てるよう命令されたことで彼らが感じている恥ずかしい思いに関する、シリアの現場にいる米兵がいくつかの報道機関に出した声明に直接言及しませんでした。

 シリア民主軍の訓練に関係していたシリアの氏名不詳の兵士は水曜日にフォックス・ニュースに「キャリアの中で始めて恥ずかしいと感じます」と言いました。「トルコは合意したことをやっていません。恐ろしいことです」。

 マティスは地元の軍隊との提携の本質は信頼だと言いました。

 イスラム国に対して大半がクルド人のクルド民主軍と提携を続けようとするなら、「信頼を再び植え付けることはこの時点ではアメリカ人にとって難しいでしょう」と彼は言いました。

 トルコはシリア民主軍の主要な戦闘部隊であるクルドのYPG(人民防護隊)をテロ組織とみなしますが、マティスはシリアの地域的な拠点からイスラム国を追い出す長く血塗られた作戦におけるシリア民主軍の犠牲を指摘しました。

 イスラム国に対するシリア民主軍との作戦で、アメリカは数十人の兵士を失いました。それぞれが悲劇です。一方で、シリア民主軍は11,000人が殺され、23,000人が負傷し多くを失いました、とマティスは言いました。

 彼はシリア民主軍のクルド人戦闘員を「同じ考えを持つ同盟」と呼び、「クルド人は戦いの負荷の大きな部分を実行しています」と言いました。

 アメリカはシリア民主軍と信頼を再構築できないだけでなく、イスラム国の復興は避けられないと、マティスは言いました。

 「我々は戦争を終わらせたいと望めるかもしれませんし、終わったと宣言することもできるかもしれません」と彼は言いました。「(バラク・)オバマ大統領が(President [Barack] Obama)がイラクの外で大変な目にあったように、兵士を引き上げることもできますが、敵は票を得ます。我々は軍事的にいいます」。

 彼はオバマが命じて、当時のイラクの首相、ヌーリ・アル・マリキ(Prime Minister Nouri al-Maliki)が支持した2011年のイラクの撤退に言及しました。撤退はイスラム国の脅威の出現をお膳立てすると批判されました。

 「そして、この場合では、我々が圧力をかけ続けなければ、当然、イスラム国は戻ってきます」とマティスは言いました。「彼らが戻ってくるのは絶対的に当然です」。

 「Meet the Press」へのマティスの出演は、進行中の彼の本「Call Sign Chaos: Learning to Lead」の宣伝ツアーの一部でした。

 シリアから米軍を引き揚げるつもりだというトランプの衝撃的な発表に引き続いて昨年12月に国防長官を辞任したマティスは、トランプを直接批判するのを避けるためにそれから慎重に声明の言葉を選んでいます。

 しかし、「Meet the Press」で、トランプがイスラム国が100%破壊されたという声明を繰り返しているにも関わらず、マティスは「イスラム国は打倒されていません」といいました。


 7月の世論調査で、退役軍人の57%は大統領が最高指揮官としての任務を担っている方法を承認するという結果が出ています。(過去の記事はこちら

 この結果は私には意外でした。次々とトランプに仕えた元軍人たちが辞任しているのに、退役軍人はトランプに期待しているのです。

 しかし、シリア撤退でこの数字は変化が出る可能性が出てきました。軍人たちが考えを変えることで、トランプへの国民全体からの支持にも影響が出るはずです。アメリカ・ファーストを追求した結果、同盟を裏切ることになったのです。

 シリア戦略はすでに望ましい状況を大きく逸脱して、今回の撤退の悪影響を克服することは難しいでしょう。ただでさえ旗色がよくないのに、トランプがとどめを刺したからです。

 クルド人がシリアとロシアを手を組むという予想外の状況も出ています。先がより読みにくくなっているのも間違いなく、すでに、当初私が思い描いたシナリオとは別物になっています。正直なところ、現状をどう受け止めたらよいのか、分かっていません。

 


Copyright 2006 Akishige Tanaka all rights reserved.