トルコの砲撃が米軍付近に着弾

2019.10.12


 military.comによれば、ニューズウィークが金曜日に、侵攻したトルコ軍とアメリカが支援したシリア民主軍の戦いが激化するとき、トルコ国境を越える砲撃が米特殊部隊が活動するシリア北部の街に落ちました。

 砲撃がユーフラテス川西岸で、シリア北東の陸上侵攻から約45マイルの、ほとんどがクルド人の町、コバニ(Kobane)の米軍にどれくらい近いかは明らかではないと、国防総省とイラクのクルド人情報筋を引用してニューズウィークは報じました。

 犠牲者の報告はありません。

 金曜日午後のトルコ政府発表の声明で、当局は米軍の観測所を故意に狙っていないものの、トルコ軍は米軍の陣地から約千メートルの丘の上のテロリストの陣地へ自衛のために発砲していたといいました。

 「砲撃の前に、米軍基地への損害を避けるためにあらゆる種類の予防策がとられた」と声明の翻訳版はいいます。「アメリカによる我々への問題の伝達の結果として、攻撃が生じました。アメリカと同盟への発砲はまったくありません」。

 米軍はシリア北東部から撤退しているものの、統合参謀本部議長のマーク・ミレー大将(Gen. Mark Milley)は金曜日、トルコ軍はシリアの全米軍の正確な位置を与えられていて、彼らは自分を守る権利があるといいました。

 トルコ軍はシリア全土の米軍の位置の座標を持っています。

 「彼らは米軍がいる場所を正確に知っています」と、ミレー大将はマーク・エスパー国防長官(Defense Secretary Mark Esper)と一緒の国防総省での合同記者会見でいいました。

 彼は、「我々は自衛権を持っています。それは明白で誤解の余地はありません」とつけ加えました。

 後に国防総省で、米当局者は複数の報道機関に、コバニの砲撃の原因はまだ確認されていないといいました。

 国防総省での記者会見で、ミレー大将とエスパー長官は、トルコの「平和な春作戦(Operation Peace Spring)」は当初、合計約50人の米兵がドナルド・トランプ大統領(President Donald Trump)の命令で撤退したユーフラテス川西岸のタル・アブヤド(Tal Abyad)とラス・アル・アイン(Ras al-Ayn)の二つのシリア北東部の町に焦点に置いたといいました。

 撤退は議会で、この行動はシリアの最後の地域的な拠点からイスラム国を追い出す上でアメリカと連携した大半がクルド人のシリア民主軍への裏切りを意味すると言った、トランプに最も近い共和党の同盟議員から厳しい批判を起こしました。

 金曜日早くのMilitary.comとのインタビューで、元国防長官アシュトン・カーター(Ash Carter)は、撤退はイスラム国に対して成した利益を無駄にする危険があるといいました。

 イスラム国との長い戦いにおいて、イラクではイラク治安軍、シリアではシリア民主軍と提携することは、必要な勝利を達成し、いまや(トランプ政権は)それを引き渡していると、カーターはいいました。

 トルコの侵攻の3日目、ミレー大将はトルコの攻勢は地上部隊に関しては比較的制限されていたといいました。「作戦は国境を超えた陣地に対する固定翼と無人の航空機による空爆、砲兵と戦車による直接射撃を含みました」とミレー大将はいいました。

 彼は約1,000人のトルコ兵と、普通はシリア自由軍(Free Syrian Army)として知られるシリア陸軍の非正規兵が越境したと見積もりました。

 侵攻地域の外側のシリア民主軍の部隊のいくつかが攻勢に対抗するために北へ移動していたと、ミレー大将はいいましたが、アメリカとシリア民主軍によるイスラム国残兵との合同の戦いは続けられると強調しました。彼は、シリア民主軍がまだ数千人のイスラム国捕虜を擁する収容所の管理を維持しているともいいました。

 「我々はトルコの侵攻に反対し、強く失望させられ、侵攻はシリア民主軍というパートナーを厳しい方向へ置いた」とエスパー長官は記者会見でいいました。

 彼は「トルコの衝動的な行動があっても、我々はアメリカとのシリア民主軍とのパートナーシップを捨てていません」とつけ加えました。


 最後の2つの段落は過去の経緯の説明なので省略しました。

 コバニという街は本当に小さな街なのですが、イスラム国がアルカイダから分派して、はじめて行った本格的攻撃の目標となりました。街を守るのは女性が主体のクルド人部隊で、指揮官も女性でした。なぜかマスコミは米軍が支援活動をはじめたのに冷笑的で、守りきれるわけがないという態度でした。私は適切に空爆を行えば、攻撃を撃退できると主張し、クルド人は街を守り切りました。その経緯はこのサイトで何度もお知らせしてきました。

 そのコバニが今度はトルコ軍に攻撃されていると聞くと、複雑な心境になります。

 トランプの戦略の第一は「コスト削減」です。金がかかっていると思うと、すぐに財布の紐を締めます。問題は必要なコストまで削減しようとすること。何が必要なのかが判断ができないことです。そのため、不適切な戦略を決め、修正もできません。ビジネスマン時代の癖が、大統領になってもそのまま生きています。

 米軍が撤退したら、トルコが動き出すことくらい、事前に予測できましたが、トランプには分からないのです。自分の希望的観測はそのまま真実だと思い込む頭しか持ちません。

 もともと、アメリカのシリア戦略は時期を逸して始まりました。2年は遅かったといえます。さらに、アルカイダが入り込み、そこからイスラム国が生まれ、ロシアもシリアに肩入れをはじめました。もっと早くにやっていれば、シリア内戦を解決し、その他の問題も起こさなかったかもしれません。トランプにはそんな経緯は頭になく、自分の感覚だけで判断を下してしまいます。そして、周囲にはとれを止める人がいません。一刻も早く、トランプを大統領の座から引きずり下ろすしかないのです。

 


Copyright 2006 Akishige Tanaka all rights reserved.