シリア撤退もクルド人の安全は確保?

2019.1.7


 military.comによれば、ドナルド・トランプ大統領(President Donald Trump)の国家安全保障担当顧問のジョン・ボルトン(John Bolton)は日曜日、シリア北東部からの米軍の撤退はイスラム国の残党を打ち負かすことと、トルコがアメリカと同盟するクルド人戦闘員の安全を保証することを条件としていると言いました。

 トランプが命令した撤退を再確認するためにイスラエルへ移動中のボルトンは、シリア北東部の米軍の撤退でタイムテーブルはないものの、それが無制限の約束ではないことを強く主張しました。

 「我々が達成したい撤退を左右する目標があります」とボルトンはエルサレムで記者に言いました。「タイムテーブルは我々が実行する必要がある政治的決断から生じます」。

 それらの条件はシリアでイスラム国の残党を打ち負かすことと、米兵と共に過激派グループに対して戦っているクルド人民兵の保護を含むと彼は言いました。

 トランプが同盟から広範な批判に直面し、数週間以内に行われたはずだったジム・マティス国防長官(Defense Secretary Jim Mattis)の政策による辞任からボルトンのコメントは縮小が遅くなったことの最初の公の確認となりました。

 トランプは12月中旬にアメリカがシリアで2,000人の軍隊すべてを撤退させると発表しました。トランプの動きは、トルコが米軍と共にイスラム国の過激派と戦ったクルド人戦闘員を攻撃することに道を開くとの恐れを生じました。トルコはシリア・クルドの人民防護隊(Syrian Kurdish People's Protection Units: YPG)を自国国境の中の武装勢力とつながるテロリストグループとみなします。

 月曜日にトルコに移動したボルトンは、アメリカはイスラム国グループに対する戦いにおいてクルド人の同盟をいかなる計画されたトルコの攻勢から保護するつもりだと言いました。彼は今週、トルコのレジェップ・タイイップ・エルドアン大統領(President Recep Tayyip Erdogan)に警告を送りました。

 「我々はアメリカとの完全な調整と合意なしに、軍事行動に着手すべきとは考えません」とボルトンは言いました。彼はトルコのカウンターパートとの会合で、彼は「彼らの目標と能力が何かを探し出そうとしていて、それは不確かなままです」と言いました。

 トランプはトルコがクルド人を殺すことを認めないと述べました。「大統領が言ったのは『我々と共に戦った者たち』です」。

 ボルトンはアメリカはクルド人の同盟に「いまは踏みとどまれ」と求めていて、ロシアやシリアのバシャル・アル・アサド大統領(President Bashar al-Assad)の政府から保護を求めることを控えろと言いました。「私は彼らが誰が味方かを知っていると思う」と彼は付け加え、クルド人について言いました。

 彼は統合参謀本部議長ジョセフ・ダンフォード大将(Gen. Joseph Dunford)が今週、シリアのアメリカのクルド人同盟の保護を求めるためにトルコのカウンターパートと交渉を続けるだろうと言いました。

 8月からシリアの交戦の特別代表を務め、先週に対イスラム国同盟の米特使に指名されたジム・ジェフリー大使(Jim Jeffrey)は今週、アメリカのクルド人同盟は見放されていないことを再確認するための活動でシリアへ移動すると、ボルトンは言いました。

 ボルトンは米軍はシリア南部のアル・タンフ(al-Tanf・kmlファイルはこちら)の重要な地域に、この地域で増加するイラン人の活動に対抗するために残ると言いました。彼はこの派遣の法的根拠を、大統領の憲法上の権限に合致するとして擁護し、「私は第2条の強力な信者です」と付け加えました。

 アメリカはアメリカが支援するシリアの反政府派が拘束する約800人のイスラム国捕虜の満足の行く決着もしようとしていて、ボルトンはヨーロッパと地域のパートナーとこの問題について追加協議が進行中だったと言いました。

 ボルトンは日曜日の夜にアメリカの縮小のペース、米兵のこの地域でのレベル、イラン地域的な拡張主義を押し戻すアメリカの関与を議論するためにイスラエルの首相、ベンジャミン・ネタニヤフ(Benjamin Netanyahu)と夕食をとることになっています。ボルトンはイスラム国と戦うためにシリアに拠点を置く一部の米兵は同じ任務でイラクへ移動し、アル・タンフの基地は残ったままと説明するとみられます。

 会合の前にボルトンの計画を公に話す権限がない匿名を希望した政権高官によれば、ボルトンはアメリカはシリアのイラン人の目標値のイスラエルの攻撃が「非常に役に立っている」とのメッセージを伝えました。


 文末のボルトンがエルサレム旧市街地の嘆きの壁を訪問したところは省略しました。

 シリア撤退で生まれる問題をボルトンが埋めに歩いているようです。撤退しなければ、こんな面倒はありません。

 クルド人の安全を保証するためにトルコとロシアと交渉するなら、それを有利にするには現地に米軍がいた方が簡単です。

 単に毎月かかる費用を節約したいからと、トランプ特有のケチ根性がシリア撤退の理由です。

 どう考えても喜んだのはトルコとロシアです。それを交渉でどうにかできるというのでしょうか?。クリミア半島で見せたロシアの狡猾さからすると、そんなことは無理に思えます。

 トルコの目標はクルド人の抑圧で、ロシアはアサド政権の存続です。どちらの目標もアメリカの目標と対立しています。

 ボルトンの戦略眼もこの程度かと失望します。

 

 


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