哨戒機は再び低空飛行をしたのか

2019.1.25


 韓国軍が1月23日に海上自衛隊所属の哨戒機が離於島(イオド)の近くで韓国海軍の駆逐艦「大祚栄(テ・ジョヨン)」に対して「低空脅威飛行」を行ったとする写真5枚を公開しました。

 いずれも解像度が低く、検証が困難です。カラー写真は比較するものが見えず、海面までの距離を推定できません。赤外線写真はレーダーに付属するカメラから撮影したものと考えられますが、高度は分かりません。レーダー画面の文字、数字は読み取りが困難です。

 レーダーには座標らしいものが見えるので、モニタ上や上にプリントして読み取ってみました。

図は右クリックで拡大できます。

 無番号 北緯32度00分3秒 東経123度42分9秒
 ②ー① 北緯31度59分9秒 東経123度42分6秒
 ③ー① 北緯32度00分3秒 東経123度42分9秒

 無番号と③ー①は緯度経度が同じで、同じ写真かもしれません。

 これらの場所をGoogle Earthで見ると、このようになりました。青い線がそれぞれの国の排他的経済水域の境界です。黄色いのは日中暫定水域です。離於島は韓国と中国が領有を主張していて、排他的経済水域の境界で争いがありますが、この図には反映されていません。

図は右クリックで拡大できます。

 韓国は離於島周辺というものの中国には認められない表現です。先のレーダー照射事件と同じく、領有で争いがある場所での出来事ということになります。

 ②ー①と③ー①の間の距離は2.35kmですので、航空機の位置を測定したデータとしては疑問はありません。

 そのどちらも航空機の高度が200フィート(60.96m)だったと韓国が主張しているわけです。別の地点の高度がまったく同じとは考えにくいので、このレーダーの数字はかなり大雑把なのだろうと推定できます。韓国軍は高度を60〜70mだったと主張していることからも、あまり正確な数字ではないのかもしれません。

 

 


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