ウッドワードの新著がトランプを糾弾

2018.9.5


 military.comによれば、国防長官は伝説的なジャーナリスト、ボブ・ウッドワード(Bob Woodward)による大統領に関する衝撃的な新著に関して、記述の広範な否定を示す一連の当局者の中で最新の人です。

 新著「恐怖(Fear)」は今月中に発売される予定ですが、今日主要メディアが得た抄録はドナルド・トランプ大統領(President Donald Trump)の机から、彼がそれらに署名すると恐れ、書類をくすねる職員、トランプの弁護士が大統領に彼が法定で証言したらオレンジ色のジャンプスーツ(囚人服のこと)で終わると警告したこと、ジム・マティス国防長官(Defense Secretary Jim Mattis)が5年生か6年生並みと述べたとの衝撃的な説明を含みます。

 火曜日の夜、最初の報道が出てから数時間後に、国防総省はマティスに代わり、「Fear」の中で彼のものとされる「軽蔑の言葉」を否定する三段落の声明を出しました。

 「私は大抵は小説を読むことを楽しみますが、これは一意的なワシントンブランドの文学で、彼の匿名の情報源は信頼性を与えません」とマティスは声明の中で言いました。「……この政権に仕える中で、私が選挙で選ばれた最高司令官、トランプ大統領への侮辱を示したという考え、我が国防総省の中から最同僚のオフィスに対する軽蔑を許容したということは、誰かの豊かな想像力の産物です」。

 しかし、マティスは彼が高レベルでの議論でトランプの考えに反対していたことを認知されて登場しました。

 ウッドワードの本は、トランプがミサイル発射探知用の資産を含めて、なぜアメリカが朝鮮半島に資源を費やしているかを訪ねた中での、堂々巡りのやり取りを含むとされます。

 本の中で「我々はこれを第三次世界大戦を防ぐためにやっています」とマティスは応じたとされます。

 火曜日夜の声明の中で、マティスは議論と意見の開かれた競争を受け入れたると言いました。

 「現実世界における責任ある政策立案はもともと乱雑ですが、最良の選択肢を見つけるために我々がすべての仮定に異論を挟むことは不可欠です」と彼は言いました。……一年間以上にわたり、イスラム国のカリフのほぼ壊滅、NATO同盟国による前例のない負担の共有、北朝鮮からの米軍隊員の遺体送還、我軍の向上された準備を含め、これらの強固な議論と審議は重大な結果をもたらしました。我々の国防政策は議会から超党派的な支持を享受しました」。

 マティスの声明はウッドワードの本に関するホワイトハウスの2つの否定に続きました。

 マティスと同じく退役海兵隊大将のジョン・ケリー大統領首席補佐官(John Kelly)は、発表された本の抄録の中で、トランプを「ばか者」と呼び、ホワイトハウスの立場は「かつて経験した中で最悪」だったと述べたとされます。

 ケリー補佐官は声明の中で、彼はトランプをばか者と呼んだことはなく、大統領と「信じられないほど率直で強力な関係」を享受していたと言いました。

 「彼は常に私の立場を知っており、彼と私は共にこの物語がまったくの「BS」だということを知っています」とケリー補佐官は、雑語を用いて声明で言いました(訳注 BSは「bullshit」のこと。牛の糞、たわごとの意味)。「私は大統領、彼のアジェンダ、我が国に忠実です。これはトランプ大統領に近い人々を中傷し、政権の多くの成功から目を逸らさせるもう一つの無駄な試みです」。

 ホワイトハウス報道官のサラ・サンダース(Sarah Sanders)も、この本は捏造された物語に満ちていると言い、全面的な否定を発表しました。

 ワシントン・ポスト紙へのニクソン政権におけるウォーターゲート事件の報道で最も有名なウッドワードは、トランプの前任者、バラク・オバマ(Barack Obama)を含めて8つの政権について報じてきました。

 448ページの新著は数百時間の録音されたインタビュー、記録、バックグラウンドに依存しますが、トランプ自身とのインタビューは呼び物ではありません。火曜日にワシントン・ポスト紙が発表した録音された電話の会話の中で、ウッドワードはトランプに大統領にインタビューするためにあらゆる努力をしたと言いました。トランプは彼は要請をまったく受けなかったと主張します。

 2017年1月に国防長官になり、新しく就任したトランプ内閣の最初のメンバーだったマティスは、トランスジェンダーの隊員の禁止と国防総省の油断を捉えたとみられる宇宙軍の創設を含めて、いくつかのトランプの政策の動きにも関わらず、大統領と公に不和になることを避けてきました。

 ウッドワードの新しい説明によれば「国防長官は常に彼らが仕える大統領を選べるわけではありません」とマティスはある時に友人に述べたとされます。


 この本はぜひとも読んでみたいと思います。

 これまでトランプに関する暴露本は2冊、記事をいくつか読んでいますが、どれもトランプの悪評を裏づけるものばかりです。

 ウッドワードは調査報道で定評がある人で、どんな記述も裏付けをとります。すべて作り話だという政権幹部の声明は信じられません。

 マティスが言おうが言うまいが、トランプの幼児性は他の人たちも証言していることです。メモ程度の文章も読まない。テレビしか見ない。不満をツィッターに書き散らすなど、歴代の大統領がやらなかったような痴態を繰り返していることは否定しようがありません。

 マティスが述べている政権の成果も、文字通り評価できるのはイスラム国の壊滅くらいで、NATOについてはトランプが脱退をほのめかしたりして関係良好とはいえない状態で、北朝鮮から遺体の返還は最終目的ではなく、北朝鮮の核兵器放棄の駄賃みたいなもののはずです。本来、達成すべき目的は達成していません。

 アフリカでのテロの拡大、ロシアの強行政策への対処など、実行できていないものはいくつもあります。特に、大統領選挙中のロシアとの共謀に関して、トランプはプーチンに強い態度に出られない状態にあります。ロシアがこれを見逃すとは思えず、世界各地で進出を試みるはずです。

 そもそも、女好きのトランプがホワイトハウスという環境の中で、どうやって性欲を満たしているのかが疑問です。ファーストレディとは完全に冷めきっていますから、トランプはひとりぼっち状態です。まさかとは思いますが、その筋の女がホワイトハウスに出入りしていないかが気になるところです。それが暴露されたら、キリスト教会は完全に反トランプに回るでしょう。

 その前に、補佐官たちと激突して、彼らが閣僚を辞めたら、トランプ政権を誰が支えるのかが分からないところが恐ろしいと思っています。

 

 


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