和平合意で南スーダン内戦は終結するか?

2018.8.29


 sudantribune.comによれば、南スーダンのSPLM-IOの指導者、レイク・マシャル(Riek Machar)は活性化された和平合意の最終書面への署名することを受け入れたと、スーダン外務省が火曜日夜に公表した声明で発表しました。

 スーダン外務大臣と交渉責任者エル・ダーデリィ・アーメド・マシャル(El-Dirdeiry Ahmed Machar)は8月30日木曜日に最終書面に署名することで合意したと、声明は言いました。

 「お返しに、スーダンの調停はレイク・マシャル博士がIGADに向けて為政権が議論される件について合意を調査するよう要請した点に応じることを誓約しました」と短い声明は強調しました。

 火曜日朝、マシャルのグループは閣僚会議や立法議会などの定足数を調べることを求めて最終書面に署名することを拒否したことは、閣僚が大臣55人へ増えた後に変わりませんでした。

 そこで、彼はこの点を再検討することを求めました。

 さらに、南スーダン反政府派同盟(the South Sudan Opposition Alliance: SSOA)共同声明の中で、彼のグループは恒久憲法を作るプロセスは政府が支配する国家憲法評価委員会(the National Constitutional Review Commission)ではなく、国家憲法議会(the National Constitutional Assembly)を通じてであるべきだと、それを繰り返しました。

 スーダンの交渉責任者は火曜日の先の声明の中で、SPLM-IOがあげた問題はハルツーム(スーダン政府のこと)・ラウンド協議の負託の一部ではないと言い、彼らはすべての党派の合意がない限り、これらの議題について議論を開くことはできないと強調しました。

 ジュバ(南スーダン政府のこと)はこの問題を議論することを拒否しました。

 同様に、南スーダン交渉団は、南スーダン人に10州から32州の間を選ばせる妥協を拒否しました。

 調停者はこれは州の数と境界線に関する意見の相違を解決しうると考えましたが、彼らはジュバが拒否したあとで、それを撤回しなければなりませんでした。

 SSOAとSPLM-IOは「それは調停者の公平さをうまく反映せず、プロセス全体に疑問を投げ入れるでしょう」といって、この点において調停の立場を非難しました。

 しかし、スーダンの外務大臣は、この問題はハルツーム・ラウンドに32州を含めることを決めたIGADの州と政府の長に知らされるでしょうと言いました。

 最終書面は南スーダン政府、SPLM-FD、その他の政治的党派(OPP)と、民間社会の代表者によって署名されました。

 SSOAが書面に関してその立場を再考するかは不明ですが、グループの指導者、ガブリエル・チャン・チャングソン(Gabriel Chang Changson)はSPLM-IOとの合同声明の中で、彼らは交渉のテーブルに残るべきだと言いました。

 最終書面は党派によって公式に署名される前に、IGADの指導者によって承認されなければなりません。

 党派は8月29日水曜日から9月2日になるまでに、実行マトリックスを議論しなければなりません。


 ようやく、南スーダン内戦は国内各党派によって和平合意文書への署名目前まで来ているようです。

 しかし、この記事を読む限り、まともな内容ではなさそうです。閣僚となる大臣の人数が55人なんて、機能するはずがありません。各党派の意見を入れないとまとまらないので、これだけの人数に膨れ上がったのでしょう。

 州の数は単なる数字の話ではなく、そこに住む部族に大きく関連します。下手に決めると、境界線を認めない者たちによる騒動が勃発し、それが大きな混乱へと拡大していくのが目に見えています。

 さらに、南スーダン政府がどこまで本気なのかが分からないのが、マシャルの右腕だった報道官のジェームズ・ギャトデッド・ダク(James Gatdet Dak)が未だに南スーダン政府の刑務所から釈放されないことです。

 私はマシャル派の動きの多くをダクの言葉を通じて知っていました。だから、彼が南スーダン政府に逮捕され、投獄されたときはショックでした。彼が殺されることを恐れました。

 2016年11月3日、ダクはケニア当局によって逮捕され、本国送還にされました。理由は、2016年7月にジュバで戦闘が起きた間に、民間人を守ることに失敗した当時のUNMISS指揮官だったケニアの将軍を批判する国連報告書を称賛したためでした。

 生命の危険がある場合、本国送還はしないのが国際常識ですが、ケニアには通用しないようです。ダク自身がケニア人将軍を批判した訳でもないのに、殺されるかもしれない場所に彼を送り返したのです。

 幸い、彼はまだ生きています。しかし、持病が悪化していると伝えられています。人権団体がかねてから釈放を求めていました。

 別のsudantribune.comの記事によると、6月27日に署名されたハルツーム宣言で釈放された政治犯の中に、ダクはおらず、彼の家族は南スーダン政府に釈放を求めています。

 これが我々が自衛隊を派遣した国の実情です。

 

 

 


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