米乗員議員は隊員家族の自殺データも重視

2018.7.17


 military.comによれば、上院議員2人がデータを求める書簡を送ったあと、国防総省当局は軍人家族による自殺を追跡する議員の要求を満たしているといいます。

 この要求は2015年の国防権限法に含められていました。民主党議員でワシントン州選出のパティ・マレー上院議員(Sen. Patty Murray)とバージニア州選出のティム・ケイン上院議員(Sen. Tim Kaine)は7月12日に、データを追跡するシステムが存在するかに疑問を呈しました。

 「この法律は同省が軍隊の隊員の扶養家族の自殺と報告された死亡すべてについて指針を出し、指針の複写を議会に提供することを必要としました」と、国防総省報道官のマイケル・コーディ海軍中佐(Navy Cmdr. Michael Cody)はMilitary.comに対する声明の中で言いました。「国防総省は2015会計年度国防権限法の第567条の必要条件を満たしています」。

 ケイン議員とマレー議員は最近公表された国防総省の軍の年次報告書を、国防総省がデータを追跡できていない証拠として指摘しました。彼らは広範な報告書は軍人家族の中の自殺率の情報をまったく含んでいないと指摘しました。

 「国防総省は隊員の自殺に対処する数年間で大きな進展をしたのに、扶養家族の自殺に関するデータを収集するための全軍にわたる信頼できるシステムは未だにないようです」と書簡は述べます。

 しかし、コーディ中佐は国防総省は追跡処理を開発していて、それは昨年後期の公式な国防総省政策の中で議会に示したとMilitary.comに言いました。その政策は軍隊に隊員が個人記録の一環として報告した軍人家族の死亡と国防総省の自殺データバンクをクロス・チェックし、それから各四半期にそのデータを報告するよう求めます。

 コーデイ中佐は、国防総省はその情報が出る12月1日までに、下院軍事委員会のメンバーに、扶養家族に自殺の危険を訓練し、教育し、隊員を支援する方法、健康環境を促進し、自殺の包括的危険要素を減らすための資源、手法、アプローチについて概説すると言いました。


 先日、上院議員が国防総省に質問状を出したという記事が報じられていて、この記事はその続報です。

 こんな風に、隊員の家族についても、連邦議員から質問が出されるのがアメリカです。日本では、自衛官の自殺について話題になることはほとんどありません。

 殉職する潜在的危険性があることから、隊員の家族には特別な配慮が必要だとはよく言われます。幼い子どもがいる隊員が派遣されるときは、軍が家族を支援する仕組みがあります。

 しかし、そのプレッシャーは高いようです。湾岸戦争を指揮したノーマン・シュワルツコフの父親も軍人で、戦地に行くときに、彼に士官学校卒業記念の短剣をわたし、家族が危機に陥ったらこれで守れと言い渡しました。このことはプレッシャーになったと彼は回顧録で述べています。

 通常、軍人の自殺が問題視されますが、それと同様に軍人家族の自殺も問題とされるのです。こんな話は軍人が多いアメリカでは、様々な形で存在します。議員の関心事になるのも当然です。

 報告書に疑問が出たら、すぐにその考えを公表し、世論も喚起していくのは議員の仕事です。

 日本では、自衛官は被災者に暖かい食事を出し、自分たちは冷たい飯で我慢しているなどと「美談」を流す議員がいますが、本来なら戦闘糧食の内容(カロリーや栄養バランスなど)が適正かを防衛省に質すのが仕事のはずです。感情論で軍事を語るのは愚の骨頂です。

 

 


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