合同演習中止で共和党も驚愕

2018.6.14


 military.comによれば、韓国との合同軍事演習の停止についてのドナルド・トランプ大統領(President Donald Trump)の火曜日の発表は、在韓米軍と彼の政党から驚かれたようですが、ジム・マティス国防長官(Defense Secretary Jim Mattis)はあらかじめ相談されたと言いました。

 シンガポールのサミットを離れる前の記者会見で、トランプ大統領は、北朝鮮の指導者金正恩(Kim Jong Un)との初期合意が非核化と和平を導くなら、韓国にいる28,500人の兵士の撤退について長期的な可能性を推測しました。

 「我々がとても包括的で完全な取り決めを交渉している現状では、私は軍事演習は不適切だと考えます」とトランプ大統領は、何十年もアメリカと韓国の準備を強化した合同軍事演習について述べました。

 「それは(北朝鮮が)とても高く評価したものです」と彼は言い、演習は費用があまりにもかかり、北朝鮮が挑発的だと考えると付け加えました。北朝鮮は伝統的に合同演習に不平を言い、侵略の練習であると非難しました。

 「軍事演習はとても費用がかかります」とトランプ大統領はいいました。「我々はそれらに大金を支払いました。我々はグアムから爆撃機で飛びます。これらの大きな飛行機が演習のために韓国へ向けて飛び、それから辺り一帯に爆弾を落とし、グアムへ戻るには長い時間がかかります。私は航空機について多くを知っています。それはとても高価です」。

 トランプ大統領は北朝鮮との関係緩和が最終的に、半島から米兵を撤退させることを可能にすることを望むとも言いました。「私は兵士たちを外へ出すことを望みます。私は兵士たちを祖国へ帰すのを望みます」と彼は言いました。「しかし、それはいまは方程式の一部ではありません。最終的にそうなるのを望みます」。

 大統領の演習中止は、ビンセント・ブロックス陸軍大将(Army Gen. Vincent Brooks)が率いる在韓米軍が今年後半に韓国人と乙支フリーダムガーディアン年次演習を行う準備をする時にありました。

 昨年、約50,000人の韓国兵と17,500人の米兵が乙支フリーダムガーディアン演習に参加して、世界最大の指揮統制演習だと宣伝し、北朝鮮の攻撃から守ることを目的としました。声明で在韓米軍は演習中止のトランプ大統領の発表についてガイダンスや事前の警告は受け取っていなかったと言い、韓国は当惑していると表明しました。

 「韓国のパートナーとの調整で、我々は現在の軍事態勢を国防総省とインド太平洋軍から更新されたガイダンスを受け取るまで続けます」と在韓米軍の声明は言いました。

 「この瞬間に、我々は(演習に関して)トランプ大統領の正確な意味と意図を理解する必要があります」と韓国の文在寅大統領(President Moon Jae-in)の官邸からの声明は述べたと、CNNは報じました。

 トランプ大統領の発言は連邦議会の共和党の同盟者の間に混乱を引き起こしました。ディフェンス・ライターズ・グループ(Defense Writers Group)の朝食会で、上院軍事委員会のメンバーでジョージア州選出の共和党議員、デビッド・パーデュー上院議員(Sen. David Perdue)は「私は今日、(大統領の演習中止によって)とても問題を抱えています」と言いました。

 「Breaking Defense」の記事によると、「私は驚きました」と彼は言いました。しかし、「私は大統領がこのように即席で言うものの100パーセントに同意したことがありません」。

 上院軍事委員会有力メンバーでロードアイランド州選出の民主党議員、ジャック・リード上院議員(Sen. Jack Reed)は声明で、トランプ大統領は「向こう側から来る非核化のための具体的なタイムラインのような大きな譲歩なしに、韓国との合同演習を慎むことに同意しました。それは我々の数十年の国防政策の防御政策でした」と述べました。

 報道官によれば、マティス長官は驚いた人たちの中にはいませんでした。「長官は目的を達成するために大統領と完全に団結しています。目的は半島の非核化です」と、国防総省主任報道官のダナ・ホワイト(Dana White)は言いました。

 「彼は驚きませんでした。トランプ大統領が演習を中止する前に、彼は相談を受けていました」と彼女は付け加えました。

 月曜日、マティス長官は国防総省の記者たちに、韓国から将来の米軍の撤退に関する議論はなかったと言いました。

 「ちょうど今、アメリカと韓国は(兵士の撤退について)従事しておらず、我々はこれに関して心を決める唯一の者たちです」と彼は言いました。

 「我々はいかなる米軍の縮小協議も従事していませんし、私は我々はこれが落ち着き、すべてを待ち、それから先へ進むと思います」。


 文中の「ディフェンス・ライターズ・グループ」は、50人のメンバーがいる世界中から集まった国防・国家安全保障担当の記者の組織です。

 米韓合同演習の中止はある程度、予測できたことだといえます。その理由は主に軍事的なものではなくて、トランプのケチくさい性格です。

 彼は金を失うことが大嫌いです。カジノホテルの経営でも、お客が大勝ちしてカジノが損をするとマネージャーたちに文句を言っています。ギャンブルは州政府の厳密な管理下にあり、イカサマはできません。ギャンブルは運に基づいたゲームであり、時にはディーラーが大負けします。トランプはそれが理解できないのです。いくら損をしてもカジノは客に金を払います。そうしないと客の信用を失うし、州政府から営業許可を取り上げられてしまいます。

 トランプは自分のホテルのレストランでチップを払いません。それが従業員の士気向上につながるとは考えません。

 地元の団体がチャリティーイベントを催すとき、地元との結びつきを優先するカジノは、無料で会場を貸すとか、チケットをたくさん買ってあげるとかして奉仕します。何か問題が起きたとき、地元がそっぽを向かないための工夫です。トランプはそれが理解できず、マネージャーたちに文句を言うのです。

 そんな人物にとって、金がかかる演習はしなくてもよいものだと映るのです。

 金正恩にすると、山ほどミサイルを発射して圧力をかけたのだから、その効果があったことを自国民に示せないと格好がつきません。

 どうせ未完成のミサイルです。放棄したって構いません。しかし、それに見合った成果が必要です。

 金正恩は南北統一なんか考えてもいないでしょう。持っていても意味のないもの(米兵の遺体・遺骨など)を返せば軍事演習を止めてもらえるのなら安いものです。

 しかし、議会にも事前に説明せず、ホワイトハウスだけで決めてしまったことに、議会は不愉快でしょう。議会だけでなく、在韓米軍にも連絡がなかったという点で、望ましいやり方が選ばれたとは思えません。これは今後、議会とホワイトハウスの軋轢を深めます。

 

 


 

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