事故原因はレーダーの欠陥なのか?

2018.5.12


 military.comによれば、イージス艦フィッツジェラルド衝突事故の被告弁護団は、事故は欠陥を抱えたレーダーが原因だと主張しました。

 長い記事なので、事故原因に直接関係がある、弁護団と検察官の主張の部分のみを紹介します。

 ACXクリスタル(ACX Crystal)は戦闘情報センターを驚かせました。衝突のまさに瞬間まで、甲板の数レベル下にあるセンター内の起訴された将校たちは、近くの船の危険に気がつかず、センターと艦橋は僅かな連絡しかとりませんでした。データはフィッツジェラルドとクリスタルから引き出され、クリスタルは衝突に至る軌道上に25から30隻の船を追跡していたことを聴聞会で示しました。フィッツジェラルドは4から5隻でした。

 情報センターに入る情報は最善でも、不完全でした。それについては政府と弁護団は同意しました。

 しかし、そこが話の分岐点です。

 11時間の聴聞会で検察官は、水上戦調整官イリアン・ウードレイ中尉(Lt. Irian Woodley)と戦術行動士官ナタリー・コームス中尉(Lt. Natalie Combs)が職務を遂行しなかったとし、ツールを適切に自由に使わず、十分に連絡をとらなかったことを表現しました。彼らは欠陥のある装備に無頓着で、直そうとしなくなり、艦橋と連絡をとらなかったと、検察官は主張しました。彼らがこれらの事柄を行っていれば衝突を防げたろうと、政府は強く主張しました。

 「29,000トンのコンテナ船、クリスタルが突然(レーダー)スクリーン全体を占めるのを想像してください」と、キャサリン・ソブリン少佐(Lt. Cmdr. Katherine Shovlin)は聴聞会の将校に言いました。「通信の故障があったのではありません。連絡がなかったのです」。

 被告弁護団は、将校は適切に動かなかった装備の有望な使い手だったといって反論しました。共に動作するレーダーと自動判定システムは低下した状態で動作したために、フィッツジェラルドの周辺の多くの船は現れませんでした。将校らは船の接近に気づきませんでした。問題は組織的で、艦は訓練したり、修理する時間がなく、一日20時間の作業で疲れ果てた隊員がいたと弁護団は主張しました。

 「フィッツは船の残骸でした。私は軽く述べていません」とコームス中尉の民間人弁護士デビッド・シェルドン(David Sheldon)は言いました。「そして、海軍はそれを知っていました」。

 「ここでの責めは単に艦長や副長にあるだけでなく、海軍にあるのです。そして、海軍はそれから目を逸らし、決して進めてはならない艦に対処しませんでした。その代わりに、海軍はこれらの将校に責任を負わせようとしています」と彼は言いました。


 レーダーの不調はこの事件で初めて聞く話です。イージスが商用コンテナ船の5〜6分の1しか船を探知できないとは、どういうことでしょうか。

 相手は巨大なコンテナ船です。イージス艦の何倍も大きいのです。それがレーダーに反応しないなんて、あり得るのでしょうか?。記録から、それは明らだとしても疑問です。

 かつ、見張りが話の中に登場しないのも疑問です。目視で見張りをする者たちは艦橋が認識するよりも遥かに多くの船の灯りが周囲に見えるのに気がつかなかったのでしょうか。また、速度を下げるべきだと、勧告しなかったのでしょうか。

 これでは、フィッツジェラルドは夜間にヘッドライトをつけずに疾走する車と大差なかったことになります。

 そして、クリスタルに気がついたときには、フィッツジェラルド側には手の打ちようがなかったという話です。

 いくらなんでも、間近に近づいたコンテナ船を見張りが見落としたとは思えません。

 米軍の安全管理がこの程度ということは、在日米軍を抱える日本にとって重要です。いつ事故が起きてもおかしくないということです。

 


Copyright 2006 Akishige Tanaka all rights reserved.