事故艦の当直士官が有罪を認める

2018.5.10


 military.comによれば、商船に衝突した時のUSSフィッツジェラルド(USS Fitzgerald)の当直士官は、火曜日の特別軍法裁判の訴訟手続で有罪を認めました。

 サラ・コポック中尉(Lt. j.g. Sarah Coppock)の仕事はUSSフィッツジェラルドの安全な航行を確保することでした。彼女への告訴によると、2017年6月17日に、彼女は任務の遂行に怠慢で、7人の乗員の死をもたらしました。

 フィッツジェラルドの指揮官、ブライス・ベンソン海軍中佐(Cmdr. Bryce Benson)は衝突の時点で艦橋にいませんでした。コポック中尉は日本の沖合で交通量が多い水域を通って操縦することに失敗しました。彼女は、連絡して、戦闘情報センターと調整し、指揮官へ特定の船との接触を報告して、混雑する交通状態で安全に操船し、そして差し迫った衝突をクルーに警告しなかったことで起訴されました。

 紙面印刷開始時刻の時点で、軍法裁判はワシントン海軍工廠で進行中でした。判決の詳細は入手できませんでした。

 コポック中尉はフィッツジェラルドに乗艦した匿名の下級将校と共に起訴されました。

 それらの隊員、重要な情報を収集して艦橋へ連絡するのを監督することに焦点を当てた仕事の戦術活動将校と水上戦調整官は、それぞれが3件の起訴――死をもたらした不履行を通じて任務遂行を放棄したこと、艦を危険にさらした怠慢と過失致死――を受けています。彼らは水曜日に共同で、彼らを軍法裁判に付するべきかを判断するために第32条の聴聞会を受けます。

 戦術情報士官は、艦橋と重要な接触情報を連絡し、安全速度と機動の勧告を行い、戦闘情報センターでの見張りの規範を実行し、艦橋の士官を支援する仕事をしなかったことで起訴されます。

 水上戦士官は、艦の活動を監視し、艦橋と戦術行動士官との連絡を維持する、USSフィッツジェラルドの戦闘情報センターで見張りに着く者たちを監督する任務をしなかったことで起訴されます。

 両中尉はUSSフィッツジェラルドの指揮官の服務規程に怠慢により準拠せず、彼らが監督する隊員が仕事を、戦術情報センターのための見張りを行うのを効果的に保証せずに、浸水した寝台区画で7人の隊員を死なせた過失致死で起訴されます。水上戦士官にとって、仕事は水上接触状況認識を維持すること、戦術行動士官と艦橋へ活動の勧告を提供すること、適切な見張りの規範が実行されるのを確実にすること、配置場所で適切に任務を行うことでした。

 3隻が進路を横切って進む危険を認識できなかったとき、フィッツジェラルドは日本の横須賀港の近くを航行していました。

 米海軍の報告書によると、それらは衝突の危険を示すのに十分に接近していました。2隻の船は衝突を避けるために機動を行い、1隻はとりわけ近くに来ました。報告書は、コポック中尉には間一髪になったあと、指揮官に警告する責任があったとのべました。ACXクリスタル(ACX Crystal)と呼ばれる3番目の船はそうしませんでした。

 ベンソン中佐は5月21日に第32条の予備審問が予定されます。彼は過失致死、艦を危険にさらした件と職務怠慢を含む起訴を受けます。


 ジョン・S・マケインの事故や既知の事実は省略しました。

 米軍の場合、起訴事実を認める場合が多く、全面否認はまず聞きません。自衛隊と違い、米軍は軍の中に犯罪捜査部を持っていますので、自ら警察活動も行います。艦や航空機の事故でも、詳細な報告書が作られます。起訴内容がしっかりしていて、反論するのが難しいくらいなのかもしれません。

 実名報道される点でも米軍は自衛隊と違います。この辺は自衛官にはかなりの甘えがみられます。業務上の過失はなんでも組織がかばってくれるという思い込みです。米軍では、事件を起こした場合でも、事故の被害を受けた場合でも、基本的に情報を公開します。

 組織がかばうという前提で仕事をすることで、自衛官にはプロ意識が育っていないのではないかとの疑いを、私は感じています。

 事故の詳細がこの記事でさらに分かってきました。やはり、艦橋がまったく機能しておらず、最新の機材もなんの役目も果たしていなかったようです。最初に感じた疑問は間違っていませんでした。

 


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